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転生したトリマーがもふもふ尻尾なケモ耳娘と旅に出る  作者: ひょーう.CNP


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36話 VS巨大トレント

 信じられない光景を目の当たりにして立ち尽くしていた3人だが、現実に引き戻してくれたのがシェミィだった。

 後ろより服を引っ張られハッ!と思考を取り戻したカエデは、俺とメイランの肩を叩く。


「ご主人様、メイランちゃん。急いでサンビークに戻って報告しないと」

「あ、あぁ、そうだな。衝撃的すぎて固まってた……急いで戻るぞ」


 サンビークへと戻る為に後ろへ振り返った瞬間、カエデは俺達が動き出すのを静止させた。


「待って、この感じ……もしかして、囲まれてる……?」

「う、嘘だろ!?」


 周囲を目を凝らして見てみると、木に化けてるトレントが俺達の周囲を囲っていた。

 巨大トレントにも気付かれてしまったようで、その周囲に居たトレント達も俺達の所へと集まってくる。


「ごめん、気付かなかった……」


 カエデはトレントの動きに警戒しつつも、気配に気付けなかったことに後悔しているのか少し悔やむ顔をしていた。

 あんな衝撃的な物を見てしまっては、周囲の事まで気が回らなくなるのも仕方ないだろう。


「周囲の警戒を怠ったのは俺達全員の責任だ。気にする事はない……が、これはどうするべきか……」


 俺とメイランは飛べるから逃げる事は出来るだろうが、カエデとシェミィを置いていく訳にはいかない。

 もし仮にカエデとシェミィが逃げきれなかった場合の事を考えると、逃げる選択肢はない。


「戦うしか、ないか」


 俺はナイフを手に取り、3人は背中合わせになって攻撃に備える。


「ギギギギギ!」


 巨大トレントがギギギと鳴くと、一斉にトレント達は根っこを鞭のように振り回しながら伸ばしてきた。

 俺とカエデはジャンプで躱し、メイランは上空に飛び上がった。


「俺はあのでかいのを相手してくる、2人は周りのトレントを俺に近付かせないように討伐してくれ! メイラン、最悪火魔法やブレスを使って構わないから、焼き払え!」

「了解!」


 山火事になる恐れもあるが、そんな事を言っている場合じゃない。

 これだけでかいトレントに集団と化したトレントの大群、いつかは森を抜け出して周辺の村や街に襲いかかる可能性も否定出来ないしな。


「ご主人様、アイツらかなり異様だから気を付けて! こっち終わらせたらすぐ加勢にいくから!」

「あぁ、そっちも気を付けろよ!」


 カエデとメイランとは分かれ、俺は巨大トレントに立ち向かう。


「ギギギギギ!」


 巨大トレントは枝を大量に伸ばして攻撃してくる。

 根っこの先も地面から突き出したりはしてくるが、根元自体は動かそうとしていないのが確認出来た。

 巨大トレントの根元は野ウサギの住処になっているし、多分それでだろう。


「くそ、枝が邪魔過ぎる」


 狼人族の運動神経のお陰で躱すことは出来るが、ひっきりなしに枝が飛んでくるので、アクセルブーストによる加速攻撃がなかなか難しい。


「ならば、風刃!」


 風の刃を飛ばすも枝を数ヶ所切った所で刃が消失してしまい、残念ながら本体には届かなかった。


「くそっ、届かないか。たかが数本枝を切った所で痛くも痒くもない感じだし……やっぱり火か」


 俺はドラゴン族に変身し、空に飛び上がってから火球を口に発生させて解き放つ。

 火球が巨大トレントに向かっていって枝を燃やしていくが、土だらけの根っこの先で火球を弾き爆発させてきた。

 根っこの先が燃えるが、地面に擦り付けて即鎮火された。


「まじか……ならこれで、どうだ!」


 続けて口に炎を貯めてブレスを放つ。

 炎のブレスがトレントを襲うが、根っこの先で振り払いをした風圧でブレスを消されてしまう。同時に燃えていた枝も消火される。


「炎対策は出来てるってか……っ!?」


 巨大トレントが震え出したと思ったその瞬間、頭に生えている葉っぱを大量に飛ばしてきた。

 避けられないと思い咄嗟に手をクロスにして防御体制になるが、鋭い葉っぱが腕、足、身体を切り刻んでいく。


「ぐっ!?」


 ドラゴン族変身により防御力がUPしていたお陰で耐えられたが、人族のまま受けてたらやばかったかもしれない。


「ヒール!」


 身体中に出来た傷をヒールで癒していくが、この間にも枝の攻撃は続いており、何とか避けている。

 俺は無詠唱でイメージするだけで魔法を発動出来るので、多少移動しながらでも魔法は使える。だから回復は問題ない。

 しかし、それが出来るのは初級辺りの簡単な魔法に限られる。

 ブリザードのような中級魔法になるとイメージする集中力が必要になり、移動が出来なくなってしまう。

 例えるならば、算数や数学を頭で解きながら走ったり出来るか?をイメージして欲しい。

 簡単な算数なら考えながらでも移動は出来るだろうが、難しい数学なら考える事に集中してしまい足が止まる、こんなイメージだ。

 初級魔法でこのトレントを倒せるとは思えないし、かといって中級魔法を準備する暇もない。

 ヒールだって魔力を使う以上、長期戦も危うい。


「このままじゃジリ貧だ、魔力が切れてやられてしまう。」


 魔力ポーションは用意してあるが、このままでは先に使い切ってしまう未来しかみえない。

 1人での攻略は難しい……となれば援軍が欲しい所だが、枝の攻撃が緩くなった際にカエデ達をチラ見しても、向こうは向こうで苦戦しているように見える。なにせ数が多いもんな。


「……どうする?」


 攻撃を緩めさせるなら、俺が出来る事と言えばブリザードを放つ事だ。

 しかし、ブリザード放つには少し立ち止まる必要がある、その隙をどう作るか……。


 いや、待てよ? 火球やブレス攻撃した際に根っこで弾いて爆発させたり、根っこで振り払う風圧で消火させてたな。その際、枝攻撃は止まっていた気がする。


「やってみるか」


 俺は枝を避けつつ再度ブレスを吐き、巨大トレントに消火を強いる。

 予測通り巨大トレントは根っこを振り払い消火した際、枝攻撃は止まっていた。この好機を逃す訳にはいかない。

 素早くブリザードのイメージを脳裏に浮かべ、集中する。


「いけ! ブリザード!」


 俺はブリザードを放ち、相手の素早さを低下させた。

 トレント自身は移動する訳ではないが、氷の冷えは行動を鈍らせる事が出来る。


 俺は素早く降下し、狼人族に変身し巨大トレントへと駆ける。

 枝攻撃や根っこ先攻撃が来るが、ブリザードで行動が鈍っているので避けるのは容易い。

 持ち前のスピード全て躱し、胴体に向かって風を纏ったナイフで攻撃。

 ようやく巨大トレントに一撃を入れる事に成功した。


「ギギギャァァ!」

「まだまだ!」


 俺は連撃や風刃を使いどんどんダメージを入れていく。攻撃は厄介だったが、防御力はそれ程高くないようだ。

 木の根と枝との攻防で危ない場面が出てきたので、一旦連撃を止めて離れる。

 ブリザードの素早さダウン効果が切れてきたようだ。 


 巨大トレントの攻撃を警戒していたのだが、急に攻撃が止む。


「……なんだ?」


 木の根の先端が急に全て引っ込み、野ウサギの巣穴に入っていく。

 すると木の根の先端に野ウサギが多数刺さっており、生き血を吸い始めた。


「!?」


 巨大トレントの傷が少しずつ癒えていくのが見えた。


「生き血で回復!? そんなのアリかよ!?」


 やばいと思い駆け出そうとするが、葉っぱ攻撃に阻まれる。

 ドラゴン族へ変身して火球を放ち、回復行為を中断させたのだが……苦労してようやく与えれれた傷が半分以上癒えているように見えた。


 これは、野ウサギも何とかしないとやばいかもしれない。

ご覧頂きありがとうございます。

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