第54話「どこに行ってもケチがつく」
「──結論からいうと、諸々ダメじゃった」
ぶふぉっ!
「げほげほっ! だ、ダメって、な、なんでぇ?!」
「きったないのー……」
あ、ごめん。
メガモールのフードコートで食べてたクレープを、おもくそ議長に吹っかけちゃったー♪
「……で、なんて?」
「うむ、ダメじゃった──って、ちょっとぉぉ!……いったぁ?! な、なんで? なんで、今、クレープ投げた?!」
あ、つい。
「いや、ぶっかけると怒るし」
口に中にあったのは吹いたし、あとはもう投げるしかないじゃん?
「いや、怒るわ! って、怒らなかったほうじゃぞ?! わりと寛容に許したほうやぞ?! なのに、今さっきのお前は完全にワシにクレープ投げたからな──あ、いだだだ! め、目に入ってきたー」
「あーごめんごめん、これで拭きな」
「おう、すまんな──って、これ、クレープの包み紙じゃろうが! ぐぁーもう、顔ベッタベタなんじゃがぁぁ!」
わははは!
親切にしてもらえると思ったのが運の尽きよー。
「いや、もう……! あ、くそ、髪にからまってきたんじゃが、もー……」
「まぁまぁ、そんなプリプリしないでー」
「お前、サイコパスか? 一連の流れ全部お前がやったんじゃからな?」
はいはい、わろすわろす。
「ったくもー。話を戻すが、議会で色々確認したところダメ──……って、おーい! そのコップに水をいったん置け!」
「えー」
投げれないじゃん。
「投げんな、投げんな。……怖いなーもー。あと、さりげなく、ホルスターから銃をゴトッとテーブルに置くのやめてくんない」
ゴトッ♪
「いや、お話しやすくするために銃は必要じゃん?」
「どこのマフィアの手法じゃ、ったく……話が進まんから、頼むぞ」
「はいはい」
はー……と、顔中をクリームまみれにしてため息をつく議長さん。
「で、じゃ。……結論から言ってしまったわけじゃが、まずは謝らせてくれ」
「んっ」
じゃきんっ。
「いや、介錯を求めとるわけじゃないからな?! 言葉での謝罪じゃから、とりあえずその銃を置け。スライド引くんじゃないわッ」
「わーったよ」
話が進まないしね。
「こっちのセリフなんじゃが、まぁそのだ……。議会の中でも結構な数の議員お前の功績を認めて、予算についても承認は下りそうになったんじゃよ」
「ふむ」
でも、下りてないと。
「ただ、保守系の議員がのー。やれ、本物じゃないだの、そんなのでたらめだのとなー」
「我も確認しとるんじゃがのー」
「ルルもみたー」
隣のテーブルでは仲良くそばを啜っている二人がいて、じろりと議長を睨む。
「それも問題視されとる。ドラゴンが余計なことしたんじゃないかとなー」
「ああああーん!!」
怒るな、怒るな。
ルーフデス、すていすてい。
「どうどう」
「どうどう、じゃないわ、ナガセー! コイツ、我を馬鹿にしおったぞー」
「それはしょうがない」
「ぬが?!」
っと、
ルーフデスなドラゴンは置いといて。
「でも。実際ベヒモスのチッコイの持って帰ったよ? 十分は証拠でしょ? そも、あのゴルドの大穴を調査すればわかる話じゃん」
「それなー」
何か言いにくそうな議長。
「多分、保守系の連中もわかっとるんじゃよ。……まぁ、なにを言ったとて、反対する連中っておるじゃろ?」
「……あぁ、」
いるなー……。
なるほど、そう言う輩か。
日本にもいたわ、●●はんたーい! って叫ぶだけの奴ら。
「その手合いじゃからのー。多分、どれだけ証拠を積み上げても無駄じゃよ」
「げーっ……それ。何人くらいいるの?」
「半数よりちょっと少ないくらいじゃな」
めっちゃおるがな……。
「しかも、その手の連中は口が達者での──オマケに目ぇパッキパキで人の話を聞かん。そんなもんだから、日和見の中立の連中は、目を付けられたくないから迎合しがちなんじゃよ」
うわー。
もー……どこかで聞いたような話で、いやな親近感湧くわー。
「アンタも苦労してんのねー」
「めっちゃしとるぞー」
そう言う意味ではコイツだいぶマシだな。
「よーし、わかった!」
オネーサンに任ッせなさ~い!
「まーてまてまて、お前、どこいく気じゃ? その銃は何じゃ? 拳銃だけじゃなくてマシンガンまで持ってどこへ行くー!」
ん?
そんなん決まっってるやん。
「一発、8mm南部弾ぶちこみゃー、反対意見が一個消えるでしょ?」
「うぉぉぉおい! それ全部にやるつもりか?!」
「とーぜんっしょ」
異世界まで来て我慢するかーい。
私はあの「●●はんたーい!」とか、「環境ラブー」とかいって、法律で暴力から守られているのをいいことに好き放題する連中が大っ嫌いなのだ!
SNSとかで見るたんびにこうしてやりたかったぜ、げっへっへー。
「いやいや、まてまてまて! 待ってっての! 気持ちはわかるし、ワシもいっそやりたいが、色々まずいじゃろ!」
「どこがー?」
汚物は消毒だよ。
「ど、どこがって……そ、そりゃあ、犯罪じゃろ?」
は~~ん??
「犯罪を裁けるのは、強者側の話だよー」
私を誰だと思ってんだかー。
チハたん持ちの私を裁けるもんならやってみろっつの。
「う、うぬー。た、たしかにこの街にお主を止められるもんはそうはおらんが……、その子のことはどうする?」
「む」
それがあったな。
「報酬のこともそうじゃが、その子の受け入れもまぁ、例によって半分ほどで否決じゃ」
「あっそ」
なら遠慮はいらない。
「だから、待てというにー!」
「あーん?」
「はぁ……。とりあえず、話は最後まで聞け。お主の功績は誰もが認めるところじゃ、ただほれ──……このところ立て続けに色々起こりすぎじゃろ? なのでマッチポンプ……ようは自作自演を疑う者もおるということじゃ。ドラゴンの件なんか、とくにそうじゃな」
「我、関係なくね?」
ぶっすーとした顔のルーフデス。
いや、関係なくは、なくなくない。
「というわけで、じゃ。午後に臨時議会が開かれるでの──そこにお前を証人喚問しようと思うがどうじゃ?」
「証人喚問~?」
えー?
なんか犯罪者扱いしてね?
「しとらんしとらん。むしろ、英雄じゃ──。一部はギャーギャー言いよるが、大半は内心認めとる。なにせ、お主はベヒモスを倒し、ドラゴンを味方につけとるでなー」
ドラゴン……。
あ、コイツか。
「ん? それって英雄だなんだというより──」
「うむ。ビビっとるだけじゃな」
たはー!
笑わせるね。
「それなのに、反対って、舐めてんの?」
「舐めとるんじゃろうなー。ワシは、利用すれば多大な利益をもたらし、一応話も通じる相手じゃから、いいから言いうこと聞いとけっていってんだがのー」
うーん。
当たってるけど、ぶっちゃけすぎ。
だけど、まぁ、いいか。
話をするだけなタダだしー。
「いいよ、わかった、議会に行けばいいんだよね?」
「うむ。呼び出しするまで近くで待機しとれ。その時になった証言台に立たせるゆえ」
はいはーい。
そんなこんなで証人喚問に応じるつもりだったんだけど──。
「はい、どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
──とりあえず、議会のドアを蹴破っておいた。




