夏日の狂想曲(サマーデイズラプソディ)-3
ナツミは息を切らしていた。
キャリアトレーラーの上に乗っていたとはいえ、固定されていない荷台の上で射撃してるのもあってか揺れまくりで普段よりもしんどさを感じるのもあった。
通信越しにトレーラーの運転をしているノリコの悲鳴が聞こえていたが無視していたというかそこまで気が回らない。
【ピースキーパー】の両腕で保持している【ヴァリアントガン】の弾数も残り少ない様子となっている。
そもそもからして暴徒鎮圧用のショットガンを【レイヴン】用に設計していることもあってか威力もその分、強力な為、使用許可もさることながら発砲などに関しても報告書を書かなければならないぐらいには強力なのがこの【ヴァリアントガン】だ。
【ワークスレイヴン】は本来、武装などの所持は原則禁止されているが警察用の機体に限ってのみ必要最低限の武装は許可されている。
しかし日本では法律などの都合などもあり、発砲や使用運用に付いても制限や許可の問題が付きまとう。
発砲に関しても色々と制約があるのは場合によっては思う所もあるだろうがその後の書類処理などの責任を取れる人間がいるのならば話も変わってくるはず。
ミユキ:『ナツミ、大丈夫?』
ナツミ:「正直、気分は最悪・・・揺れも激しくてノリコだと吐くわよ確実に・・・」
指揮車からの相方であるミユキからの通信に少し悪態をつく。
身体的に問題はないと感じたのもあってか、ミユキは呆れを交えた苦笑をしながら指示を飛ばすべく言葉を掛ける。
ミユキ:『もう少し行けそう?』
ナツミ:「微妙ね、【ヴァリアントガン】自体の弾数も心許ないし、あのデカブツ仕留めても他がね」
自身の視線だけを周囲を映しているモニターへと向けるナツミ。
先程、白いALが銀色の光を発して黒い【サイクロプス】の内の1体の脚を破壊している。
敵とは思ってはいないがあまりにも強力な装備を有しているだけに警戒はしておくべきなのかもしれない。
それはミユキも同じだと思ったのか、それだけに指示を渋っている様子が見える。
これ以上の戦闘活動はそもそも【ピースキーパー】の仕様的にもそろそろ限界が近い。
あのデカブツが自滅する形になるのであればそれで良いのだが周囲にいる【レイヴン】に関してはそうもいかない。
先程まで暴れていただろう【WL】やあの巨大なレイヴンへの警戒からか距離を取っているカク坐した機体以外の黒い【サイクロプス】。
そして右腕から銀色の光を発したあの白いAL。
不安要素が多すぎるのもあってかミユキも指示の判断に困っているのも無理もない話だ。
このままジリ貧となればいずれこちらが力尽きるのも必然。
そこへミユキとナツミの通信に割り込む様に別の人物の声が聞こえる。
ロングスカウター:『割り込みすまない。少しよろしいか?』




