闇夜に輝く銀の腕-5
ミカサ:「なに、なに?!」
交戦ポイントから離れた場所で【イカルガくん】数体に護衛されていたミカサは轟音がした方向へと視線を向けた。
先ほどまでマキナの【ガンクロウ】と交信していた為、状況はそれなりに確認していたがいきなりの大きな音に思わずそちらに視線を向ける。
視線の先には【ヘカトンケイル】が“何か”を投げたのかクレーンの様な腕の一部を前方に突き出している様な姿勢となっており、投げたと思しき場所の方へ視線を移すと警察の車両が忙しなく動いている様子が見える。
セーイの状態がどうなっているのか現状では確認しようがない。
自分のやろうとしていることがマキナや他の人たちに迷惑を掛ける可能性があるのは十分わかってはいる。
だけどもほんの少しの間だけでも会話をしたミカサとしては彼女のことを放っておけなかった。
やっていることが自己満足なのはわかっている。
偽善とも独善とも言われるかもしれないのもわかっている。
それでも彼女をそのままあのままにしたくない。
マキナ:『――――ミカサ』
通信機からマキナの声が響く。
視線を通信機の方へと向けるミカサにマキナは声を掛ける。
マキナ:『ミカサ、今でもあの巨大なレイヴンのオペレーター・・・セーイという名の少女を救いたいと思ってますか?』
ミカサ:「マキナ・・・」
マキナ:『答えて』
一瞬ともほんの少しだけとも云える様な時間、ミカサは少し考えた。
マキナのこの質問、彼女は本気で聴いている。
基本マキナの質問は一般知識の欠如や不足を補うことを目的としたものが多い。
とはいえ、時折ではあるが本気の質問をしてくることもあった。
内容こそ大したことではないと思えたものでもその時の彼女の表情や声色は真剣だったからだ。
今回の質問もそれと同じである。
彼女はミカサの“本気”を聞いているのだ。
同情や境遇による憐憫も確かにあるのは事実。
それで助けたいと思うのも確かだ。
だから彼女が答えるべき言葉は決まっている。
ミカサ:「無茶なのはわかっている。けどあの娘を助けたいの・・・お願いマキナ」
マキナ:『――――わかった。ミカサが本気なら私も可能な限りのベストを尽くします』
ミカサの覚悟の言葉を聞いてマキナはそう答える。
そこへ割り込む様に通信が入り、ロングスカウターの声が聞こえた。
ロングスカウター:『やれやれ、二人だけで話を進めないでくれ。作戦としては難易度は高いが【アガートラーム】を使うのならば可能性は高いだろう』
ミカサ:「ロングスカウターさん」
ロングスカウター:『マキナ少尉。一瞬だけでも【ヘカトンケイル】の動きを止めてミカサ女史の声が聴ける状況を作ってくれ。可能性は低いだろうがやらないよりかはマシだろう』
マキナ:『了解』
ミカサ:「皆さん、ごめんなさいそして・・・ありがとうございます」
ミカサの言葉に無言でサムズアップするイカルガくん達。
作戦としてはあまりにも無謀だが【ブリューナク】は正規の軍隊ではないが故のスタンドプレーが可能なのだ。
色々と問題はあるがセーイという少女の存在は今後にも置いても重要な立ち位置に入るだろうとロングスカウターが【マーナ=マークリル】司令部と話を付けた末の決断でもある。




