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記憶ばいばい  作者: 紙とペン


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6/11

第6章 正しい朝

 次の朝、悠一は目覚まし時計の音が鳴る一分前に目を覚ました。午前五時二十九分。まぶたは重くない。頭はすっきりとしており、寝起き特有のだるさもない。

 部屋は整っていた。白い壁、黒い机、灰色のカーテン。ベッドのシーツには皺ひとつない。机の上にはノートパソコンと手帳と万年筆が置かれており、棚には数多くの本がひしめき合って並んでいる。本の高さ順にそろえられ、背表紙の色まで計算されているようだった。悠一はこの男の生活を見て、無駄がないと思った。埃も、匂いもない。生活というより、展示室のような部屋だった。

 悠一は起き上がった。その瞬間、記憶が流れ込んできた。名前は、白石公平。四十歳の弁護士であり、独身。都内の法律事務所に所属し、企業法務と相続案件を主に扱っている。成績は優秀でもちろん遅刻はなし。失言もなく、仕事の約束を破ったことは一度もない。酒での失敗はなく、借金や浮気もない。それは正しい人生だった。最初から間違えない人生だった。悠一は、胸の奥に小さな安堵が広がるのを感じた。

 成功者の人生は重すぎた。穏やかな人生は空っぽだった。誰にも責められない人生は寂しすぎた。愛されている人生は、期待が怖かった。ならば、間違えなければいい。誰にも責められないように、最初からすべて正しく選べばいい。人を傷つけず、約束を破らず、感情に流されず、正しい手順で、正しい言葉を選び、正しい距離を保つ。そうすれば、失敗しない。そうすれば、誰かを泣かせることもない。

 洗面所へ行くと、鏡の中に細い男がいた。顔立ちは端正だが、冷たい顔つきをしている。髪はきれいに整えられ、髭の剃り残しはない。目つきは鋭く、表情には隙がなかった。悠一は鏡に向かって、軽く笑ってみた。口角は上がっているものの、目までは笑っていないその笑顔を見て、悠一は少しだけ怖くなった。

 だが、すぐに思い直した。これくらいでいい。人に好かれようとするから間違える。親しみを持たれようとするから、期待される。期待されるから、裏切ってしまう。ならば最初から他人と距離を取ればいいだけの話だった。

 朝食は、決まっていた。無糖ヨーグルトとゆで卵、それから全粒粉のパン一枚にブラックコーヒーだ。冷蔵庫の中は整理されていて、食材には小さなラベルが貼られており、そこには賞味期限やら開封日やら摂取予定日が書いてあった。食卓に座り、無言で食べる。テレビやスマートフォンは一切見ず、食事だけに集中する。

 それが白石公平の習慣だった。悠一はパンを噛みながら、妙な物足りなさを覚えた。誰の声もしない。パパ、と呼ぶ声もなければ妻のため息もない。もちろん子どもの足音はしない。ただ、正しい咀嚼音だけがある。

 午前七時十五分に部屋を出た。駅までの道も記憶通りだった。信号の待ち時間から改札までの最短経路と乗るべき車両のみならず、降りたときに階段に近い位置、すべてが頭に入っている。電車は混んでいたが、公平は吊り革につかまる位置まで決めていた。人にぶつからず、降りる人の邪魔にもならず、座席の前に立って無用な期待もしない。

 正しい場所、正しい姿勢、正しい沈黙を保っていた。

悠一は周囲を見てみると、人々はみな、少しずつ乱れていた。眠そうな会社員の鞄の持ち方、イヤホンをした学生の立ち位置、化粧をしている女性の表情、ベビーカーを押す母親の服の皺、それらが気になった。以前なら、そんなことは思わなかったはずだが、白石公平の記憶は、世界の不完全さに敏感だった。間違いや矛盾を見つけ、それをその人の弱点ととらえる。それが仕事のやり方であり、同時に白石公平の生き方となっていた。

 法律事務所は、丸の内のビルに入っていた。受付を通り、カードキーでフロアに入る。白い照明がガラスの会議室を照らしており、その中は静かなキーボード音が鳴るだけで、誰も大声で話さない。

「白石先生、おはようございます」

 若い女性事務員が頭を下げた。名前は藤野亜紀。二十五歳の、今年で入所二年目になる。仕事は丁寧だが、時々確認が甘い。公平は以前、彼女の書式ミスを厳しく指摘したことがある。それ以来、彼女は公平の前では緊張しながら話すようになった。

悠一は軽くうなずいた。

「おはようございます」

「九時からの相続案件ですが、資料を会議室に入れてあります」

「その資料の内容は確認しましたか?」

「はい」

「以前指摘した相続関係説明図の続柄表記は?」

「修正済みです」

「戸籍の不足はどうですか?」

「ありません」

「念のため、開始前にもう一度確認してください」

「はい」

 藤野は小さく頭を下げた。その肩が、わずかに縮こまっていた。悠一はそれに気づいたが、悪いことを言ったとは思わなかった。むしろ、正しい指示である。ミスを防ぐためには必要なことだ。優しく言って間違いが残るくらいなら、厳しく言って正しく仕上げる方がいいと感じる。それが親切というものだからだ。

 午前九時、相続の相談者が来た。相談相手は五十代の兄妹だった。父親が亡くなってからの遺産分割の話し合いが進まないらしい。兄は不機嫌そうに腕を組み、妹はハンカチを握りしめていた。会議室に入った瞬間から、空気は重かった。

「では、事実関係を整理します」

 悠一は資料を開いた。

「お父様がお亡くなりになったのは、今年の二月十日。法定相続人はあなた方お二人で遺言書はなし。主な財産はご自宅の土地建物、預貯金、有価証券である。ここまではよろしいですね」

 兄がうなずく。妹も小さくうなずいた。

「問題は、不動産をどちらが取得するかです」

 悠一は淡々と言った。妹が口を開いた。

「あの家は、母が亡くなってから私がずっと通って、父の世話をしていました。兄はほとんど来なかったんです」

 兄が顔をしかめる。

「仕事があったんだよ」

「私だって仕事してた」

「お前は自宅から近かっただけだろ」

「近いからって、全部私がやって当然なの?」

 声が震えていた。悠一は二人を見た。これは法律問題である前に、感情の問題だ。悠一はそう思った。そして、白石公平の記憶が答えを出した。

感情に踏み込むな。法律の範囲に戻せ。

「お気持ちは分かります」

 悠一は言った。しかし、その声には気持ちというものが感じられなかった。

「ただ、お父様の介護の負担が直ちに相続分に反映されるわけではありません。寄与分が認められるには、通常期待される程度を超える特別の寄与が必要です」

 妹の顔がこわばった。

「つまり、私がやってきたことは意味がないってことですか」

「そうは申し上げていません」

「でも、そういうことですよね」

「この場合には、法的に慎重な判断が必要です」

 兄が少し勝ち誇った顔をした。妹は黙った。その沈黙の中に、泣き声に似たものがあった。悠一は一瞬、言葉を探した。

あなたがしてきたことに意味がないわけではありません。お父様にとっては、きっと大きな支えだったはずです。法律とは別に、そこは切り分けて考えましょう。

そう言えばよかったし、言ったとしても何の問題もないはずだった。しかし白石公平の口は、正しい言葉を選んだ。

「本件では、まず不動産評価額を確定させることが優先です」

 妹はうつむいた。その後、相談は一時間で終わった。兄は満足そうだったが、妹は最後までほとんど話さなかった。会議室を出るとき、妹が小さく言った。

「先生は、正しいですね」

 悠一は足を止めた。

「ありがとうございます」

 そう答えた。だが、妹は笑っていなかった。

「正しい人に相談すると、自分が悪いみたいになりますね」

 その言葉を残して、妹は出て行った。悠一は会議室に立ち尽くした。悪いのは自分ではないし、自分は法的に正しい説明をした。期待を持たせるような曖昧なことは言いたくなかったし、感情に寄り添うふりをして、結論を濁す方が不誠実だ。しかし胸の奥に、細い棘のようなものが残った。

 正しい人に相談すると、自分が悪いみたいになる。

 その言葉を投げかけられて、かつて自分が紗季や航太にしていたことと同じことをしていると、悠一は初めて気が付いた。自分は間違っていないということを、仕事で疲れているといった理由で固め、そうやって、正しさの後ろに自分を隠していた。

 昼休み、悠一は事務所近くの店で蕎麦を食べた。ひとりだった。白石公平は、誰かと昼食を取ることが少ない。誰か別の人と食事をすると時間がずれてしまうので、誘われたとしても断る。蕎麦は美味かったが、ただ栄養を摂取しているだけのようでもあった。隣の席では、若い父親と小さな男の子が食事をしていた。男の子は箸をうまく使えず、蕎麦をぽろぽろこぼしている。

「ほら、こう持つんだよ」

 父親が笑いながら教えていた。

「できない」

「練習だよ」

「パパやって」

「自分でやってみ」

 男の子は口を尖らせながら、もう一度箸を持った。その不器用な手を見て、悠一は胸が苦しくなった。今までの人生で関わってきた子どもたちの姿が頭に浮かんだ。

航太、陸、黄色い傘の子、莉子。

 悠一は急いで蕎麦を食べ終えた。

 事務所に戻る途中、歩道橋の上で足が止まった。自分の足の下を色々な車が流れていく。その向こうに、黒い看板が見えた気がした。だが瞬きをすると、ただの薬局の看板に戻った。

 その日の午後、また藤野がミスをした。企業買収案件の資料で、日付が一か所だけ古いまま残っていた。大きなミスではなく、提出前に見つかったので直せば済む話だ。だが白石公平の中では、それは許されないことだった。

「藤野さん」

 悠一は資料を机に置いた。

「ここ、確認しましたか」

 藤野は顔色を変えた。

「すみません。見落としていました」

「見落としでは困ります」

「申し訳ありません」

「この資料は先方役員にも出ます。日付ひとつで、こちらの管理体制が疑われます」

「はい」

「なぜ確認したと言ったんですか」

 藤野は黙った。周囲の職員たちは、こちらを見ていないふりをしている。悠一は言いながら、自分の声が少しずつ冷たくなっていくのを感じた。そこまで言わなくていいと思う自分がいたが、止まれなかった。

「確認したと言った以上、確認できていなかったでは済みません。分からないなら分からないと言ってください。できないならできないと言ってください。曖昧な返事が一番危険です」

「……はい」

 藤野の目に涙が浮かんだ。その涙を見た瞬間、悠一は息を止めた。自分は怒鳴っていないし、間違ったことも言っていない。正しい指摘をしただけだ。それなのに、目の前の人間は泣いている。悠一はそのことに違和感を覚えるのであった。

「すみませんでした」

 そう言って藤野は小さく頭を下げた。自分の前で、小さくなっていく声にいたたまれなくなり、悠一は何か言おうとした。次から気をつければいいですくらいの言葉をかけられたはずだが、しかし、白石公平の記憶が邪魔をした。

 ここで優しくすれば、指摘がぼやけるんだ。再発防止のためには、曖昧にしない方がいい。その正しさが、親切を止めた。藤野は席へ戻り、悠一は資料を手にしたまま、自分のデスクへ戻った。

 その夕方、所長に呼ばれた。所長は六十代の男で、穏やかな顔をしていた。

「白石くん、少しいいかな」

「はい」

 応接室に入ると、所長は茶を出した。

「藤野さんのことだけどね」

「日付のミスでしょうか」

「それもあるが、君の言い方の話だ」

 悠一は背筋を伸ばした。

「必要な指摘をしたつもりです」

「うん。内容は間違っていない」

「では」

「内容が間違っていなくても、人は傷つくよ」

 悠一は黙った。所長は続けた。

「君は優秀だ。判断も早い。仕事も正確だ。依頼者からの信頼もある。ただね、君と一緒に仕事をすると、息が詰まると思うな。みんな少しずつ萎縮していく」

「萎縮?」

「そうだ。君は間違えない。でも、君の周りの人は、間違えることを怖がるようになる」

 悠一は湯呑茶碗を見た。湯気が細く上がっている。

「それは悪いことでしょうか」

「程度によるね」

「ミスを恐れることは、仕事上必要です」

「その通り」

「なら」

「でも、間違いを犯さない人間は、簡単に人に助けを求められなくなる」

 茶碗に伸びる悠一の手が止まった。所長の声が遠く聞こえた。

「白石くん。正しさは大事だ。でも、正しさだけでは人を救えないことがある」

 悠一は、やっと声を出した。

「では、間違ってもいいと?」

「違う。間違った人を、その場で終わりにしないということだよ」

 応接室が静かになった。その言葉は、悠一の胸の奥深くに落ちた。自分はどうだっただろうか。一度失敗した人生を、すぐに終わりにしてきた。子どもの泣き声に応えられなかったら、約束を守れなかったら、どれもその場で終わりにした。

 続ければよかったのか。間違えたあとに戻ればよかったのか。やり直すとは、別の人生へ逃げることではなく、同じ人生の中で次の一歩を選ぶことだったのか。

 その考えが浮かんだ瞬間、悠一は怖くなった。それを認めれば、今まで自分がしてきたことはすべて逃げだったと認めることにもなるからだ。

「分かりました」

 悠一は言った。

「以後、気をつけます」

 所長は、少し寂しそうに笑った。

「君は、そう答えると思ったよ」

 その夜、悠一は事務所に残った。誰もいないフロアで、パソコンの画面だけが光っている。藤野の机には、修正済みの資料が置かれていた。付箋に小さく文字が書かれている。

 確認しました。申し訳ありませんでした。

 悠一はその文字を見つめた。謝らせたかったわけではない。いや、本当にそうだろうか。謝られることで自分の正しさを示したかったのではないか。自分が間違っていないことを、誰かに認めさせたかったのではないか。

 ふと、デスクの電話が鳴った。夜の事務所に、ベルの音が響いた。悠一は電話を取った。

「はい、白石法律事務所です」

 わずかな沈黙のあとに、子どもの声が聞こえた。

「先生」

 悠一の喉が詰まった。

「誰ですか?」

「先生は、正しいですか?」

 男の子の声だった。航太のようで、陸のようで、図書館の男の子のようでもあった。

「何の話ですか」

「正しかったら、助けなくてもいいですか?」

 悠一は受話器を握りしめた。

「誰なんだ」

「正しかったら、帰ってこなくてもいいですか」

「やめろ」

「正しかったら、泣いてる人を見なくてもいいですか」

「やめろ!」

 叫んだ瞬間、電話は切れた。フロアにまた静寂が戻った。悠一は荒い息を吐いた。受話器を置くその手は震えていた。

 帰ろう。

 そう思った。この人生は危険だ。正しい人生のはずなのに、息ができない。間違えないように生きているのに、誰かを傷つける。それはこの人生が悪いからだ。白石公平という人間が、自分に合っていないだけだ。もっといい人生がきっとある。

 悠一は鞄を手に取り、事務所を出た。廊下の照明は薄暗かった。エレベーターホールへ向かう。その途中に、黒い引き戸があった。法律事務所の廊下にあるはずのない、古い木枠の引き戸が。そして黒い看板に白い文字で、

 ゆうらん堂

 と書かれていた。悠一は立ち止まった。もう驚かなかった。むしろ、このときを待っていた。そう気づいて、自分が少し嫌になった。扉の向こうから店主の声がした。

「お疲れさまでした」

「まだ終わっていない」

「ええ。どの人生も、本当は終わっておりません」

 悠一は眉をひそめた。

「どういう意味だ」

「いえ。こちらの話です」

「次だ」

「次は、どのような記憶をご希望ですか」

 悠一は答えようとして、言葉に詰まった。

 成功はいらなかった。穏やかさも違った。自由も寂しかった。愛されることも怖かった。正しさも苦しかった。

 なら、自分は何が欲しいのか。何なら満足できるのか。悠一は言った。

「何も感じない人生がいい」

 店主は黙った。

「嬉しいとか、苦しいとか、期待とか、後悔とか、そういうものがない人生だ」

「何も感じない人生…ですか」

「ああ」

「それは、あまりおすすめしません」

「おすすめなんか聞いていない」

「そうですか」

「感情があるから間違えるんだ。楽しもうとするから失望する。親切にしようとするから、できなかったときに苦しくなる。なら、最初から何も感じなければいい」

 店主の声は、少し低くなった。

「本当に、それでよろしいですか?」

「いい、それでいい」

 悠一は引き戸に手をかけた。

「早くしろ」

 扉が開いた。店内の光は、いつもより少し暗かった。棚の瓶も、あまり輝いていない。店主は帳場の奥に立っていた。その顔には、笑みがなかった。

「何も感じない記憶もございますよ」

 店主は棚の奥から、透明な瓶を取り出した。中には何も入っていないように見えた。

 光も、煙も、色もない。ただの空瓶だった。いや、完全な空ではない。よく見ると、中で何かがゆっくりと揺れている。透明なものが、透明なまま動いているように見える。

「これを飲めばいいのか」

「はい」

「名前は?」

「ありません」

「誰の記憶だ」

「誰でもありません」

 悠一は店主を見た。

「どういう意味だ」

「記憶というより、余白というべきでしょうか」

「余白?」

「そうです。感情の薄い場所です。痛みも喜びも、遠くなる場所です」

「それでいい」

 悠一は瓶を受け取った。瓶は冷たかった。これまでの瓶とは違う。手のひらの温度が吸い取られるようだった。店主が言った。

「一つだけ」

「何だ」

「何も感じない人生では、何も選べません」

「選ばなくていい」

「選ばないことも、選択ですよ」

「説教はもういい」

 悠一は瓶の蓋を開けた。匂いはなかった。本当に何もない液体だった。飲み込んでみても、喉を通った感覚すらほとんどなかった。ただ、胸の奥にあった棘が少しずつ消えていくのがわかった。

 藤野の涙や所長からの言葉を初め、航太の声や莉子の手、黄色い傘。

 それらが全て遠ざかっていく。

 その感覚は非常に楽だった。こんなに楽なら、もっと早くこの人生を選べばよかったと悠一は思った。そして、思ったのかどうかも、すぐに分からなくなった。

 店内の鈴が鳴った。

 からん。

 からん。

 音はしたが、もう怖いという感情はなくなっていた。目の前から光が消え、闇が来る。そこで悠一は目を閉じた。最後に、店主の声が聞こえた。

「よい人生を」

 その声にも、もう何も感じなかった。次に目を開けたとき、悠一は白い部屋にいた。窓はなく、時計やベッドもなかった。壁も床も天井も、すべて同じ白だった。身体はあるし、呼吸もしている。しかし、自分が誰なのか、すぐには分からなかった。ただ不思議と分からなくても、不安はなかった。

そしてその白い部屋の中央に、黄色い傘を抱えた小さな男の子が立っていた。

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