勝利
「・・・は?」
意味が、分からなかった。
「それで、俺を騙せるとでも思ったか?」
「いや、事実だ。このゲームには・・・明かされていない役職がある。それが、ワシの役職・・・『管理人』だ」
「その名前からしたら、どう考えても市民サイドそうだが?」
「管理人は、扱いは市民。ただ、人狼の手助けをする役職だ。人狼ゲームで言う、狂人に似た役職じゃな。ワシが、ここまで殺し屋を追放させようとしなかったのもそれが理由じゃ。市民を纏める行為とは裏腹に、ワシはずっとお前の手助けをしていたんじゃ」
「なるほどな。それは、本当なんだな?・・・本当なら、その武器を捨てて、俺の手を取れ」
そう言って、俺は手を差し出した。もう片方の手は、万が一不意打ちを突かれても対処できるように、ナイフを握っておいた。すると、ラズは段々と歩を進め。
「これで、いいか?」
がっちりと、俺の手が握られた。
「交渉、成立。じゃあ、お前のことを信じるとするよ」
「・・・となったら、あとはもうなんだっていい。市民は投票する暇もないだろう。何故なら・・・学園内最強のワシが、人狼サイドに付いたからな」
「あぁ。やることは決まった」
「その前に・・・問わせてくれ」
「なんだ。まだ何かあるのか?」
「結局、お前が何者かがわかっていない。本当に・・・お前は何者なんだ?」
その問いに、俺は当たり前の返答をする。
「俺は、Fクラス。最弱クラスに所属する、無叶大和さ」
それからは、もう酷い有り様だった。
「ははっ。流石最強」
あいつの動きは凄まじかった。次々と生徒を蹂躙していき、既に多くの生徒が死亡した。
「なんで・・・最強がそっちの立場にいる・・・!!」
「考えたらわかることじゃろう。ワシは、人狼サイドなんじゃ」
俺も、ラズも。殺していく。誰も、会議を開く暇なんてない。だって、俺たちがその隙を与える前に殺しているから。
「あぁ・・・。お前達が、馬鹿で良かったよ」
「いやまぁ普通、殺し屋が一人しかいないなんて誰も考え付くはずがない。それこそ・・・ワシのような最強でないとな」
どれだけ頭の回転が速い奴でも、流石にその可能性を考え付くことすら出来なかっただろう。
それからも、殺し続けた。気が狂うくらいには、生徒を殺し続けた。それは、ラズも同じで・・・。
「これが、ラストだ」
最後に残ったのは、Sクラスの生徒。
「お前がそっちサイドなら・・・そりゃあ勝ち目ないだろ。そこのFクラスは所詮Fクラス。お前だけだったらなんとか出来ただろうが・・・。はぁ。お手上げだ」
「Fクラスだからって・・・油断していたらだめだぞ?こいつは・・・」
<<ベチャ・・・>>
ラズが言い切る前に、殺してしまった。流石に、バレてはいけない。
「まだ話し終わってないって言うのに。まぁ、いいか」
そうして、最後の生徒を殺したことによって。
「殺し屋の勝利。殺し屋は、無叶大和。そして、第3の役職・・・管理人は、ラズ。二人の勝利。報酬は、後々配布する」
俺は、勝利した。この、デスゲームに。
「よくやったな。大和」
「お前こそな。良いように逃げてくれて助かった」
そうして。次の瞬間。視界が朦朧としていき・・・。
気づけば、現実世界に戻ってきていた。
「無叶大和。ラズは学園長室に来るように」
その放送が鳴り響いたため、俺は学園長室に足を運んだ。
「失礼しまーす」
中に入れば、既にラズが待機していた。
「まずは、おめでとう。君たちたった二人で、約2000人の生徒を全員殺したことを、称えよう」
「ありがとうございます」
「そして、次に自己紹介をしよう。私の名前は、神聖。この実力主義の学園の、学園長を勤めている。さぁ。話は終わって・・・。勝利した君たちには、報酬を与えるとしよう」
報酬・・・か。莫大な利益と言っていたから、金だろうか。ただ、金を貰ったところで、生活が変わるかと聞かれたらそうでもない。何故なら、俺はFクラス。金があっても、扱いは不遇だ。だから、金を貰っても意味がない。
「ラズ。お前は、学園内で最強の生徒だ。それに、金も多く配布していることから、もう既に多額の金を所有していることだろう。だから、お前には”特別なランク”を与える」
「特別な・・・ランク?」
「あぁ。Sクラスよりも上で、お前さんたった一人しか存在しない・・・ランク。その名もEAだ」
「ありがとうございます」
「エンペラーエースの授業などは、後々個々で伝えるとする。そして次は、大和」
「はい」
「お前さんは、Fクラスの生徒でありながら、よくも他の生徒全てを殺した。中には、AクラスやSクラスの生徒もいたのに・・・。それに、推理力が優れていた。Fクラスとは思えないような推理をしていたな。その、二つの功績を称えて・・・お前さんは昇格することにする」
「昇格?」
「あぁ。これから、お前はAクラスに所属して貰う」
「は、はぁ?それはいくらなんでもやりすぎなんじゃ・・・」
「おそらく、ラズなら納得のランクだろう」
「大方、納得ですね。私は、十分Sクラスの実力はあると思いますが・・・」
「Sクラスに昇格させるには、まだ早いだろう。もう少し、経験が必要じゃないかと思ってな。その結果、Aクラスに昇格させることにした。というわけだ。話はそれだけだ。もう、戻ってもらって構わない・・・が。大和。お前は少し残れ」
「は、はい」
そう言われたので、俺は学園長室に留まることにした。まだ、何かあるのか・・・?




