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UNSTOPPABLE GIRL

 厳冬を越えればどの集落でも農作業が始まる。

 大した商品作物のないこの保守的な寒村においては、商業革命も宗教革命も科学革命も大きな影響力を持たず、人並みの寿命の人間達は、一生工程もさほど変わらない農作業に従事し続ける。

 客人の劉音も同様である。いくら知恵を出せても鍬を振れないで生きていけるほど甘くないのである。

「劉さんやい、あんた土いじりに慣れてないね。どこに行っても官僚ってのはよっぽど楽な商売なんだな」

「耕したことがないのが私の矜恃なんだよ、クソッタレ」

「それにしても英語だけはわしらより上手いな。肉体労働が嫌なら賭け事なんかやめて路銀を貯めてさっさと出て行ったほうがいい暮らしできるんじゃないのかい?」

「百姓に負けっぱなしで出ていけるか。出るならお前らの身ぐるみ剥いでから出ていくさ」

「奴隷にならないうちに出てったほうがいいと思うんだがのう。あんたと同じ頃に売られてきたあの女の子。どうにも口が聞けないらしくてな。一度奴隷になっちまうと、農作業から台所からぜーんぶやらされるし、小遣い銭ひとつ要求できん」

「それにしてもイングランドの村ってどのはどこもシケているな」

「ついこの間まで内戦していたからね。王様も殺されちまった。領主も不在だし代官も大した仕事はしない。よそのことなんてよう知らないが、うちがとびきり貧しいってわけじゃないだろうね」




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「スポンサーのつく仕事なんて久しぶりですね」

「太い客になってくれるといいねぇ」

 統一感のない派手な格好をした集団が、森の中で談笑していた。

「ターゲットは金髪の少女。通称『マシン』。納期は3日後に指定の街で、ですね」

「隊長。私、殺したくない。無駄な犠牲」

「だいじょぶだいじょぶー。俺らだって無益な人殺しなんかしないよ。弾も剣も安くないし、資源は活用しなきゃ立ちいかないさ」

 目元に仮面をつけた男が、締まらない声で号令した。

「はーい働きアリ共ぉ。仕入れに行くぞぅ」

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次回「ミュルミドン」

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