↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペース・ロック  作者: 祈鈴銀
悪虐搾取組織殲滅編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/101

第95話 ヒトデナシ

とある惑星の駐屯地。

現在複数の惑星を巻き込んだ星間戦争が起きていた。

今ここでは、物資を運ぶものや待機しているもの、唯一の安らぎを堪能しているものと多種多様であった。


「おう!飯行こうぜ!」


「おっ、いいねぇ〜!娼婦も来てるみたいだし、今日は祭りだな!」


「いいね!行こう行こう!アイツも誘うか?」


「いやぁ…アイツ付き合い悪いし…いいや別に。」


兵士の言うアイツ。

テントの下で、静かに一人オセロをしている黒髪の男。

ガンテの事だった。

時折腕を組んだり、悩んだりしながらパチパチと石をひっくり返している。 

普通将棋とかチェスじゃねぇの?

なんか真面目な顔がシュール。


(聞こえてるってつーの…。)


なにも、ガンテは周りに一回も誘われたことがない訳では無い。

全て断ってきたのだ。

次第に周りは誘うことはやめた。


「………………。」


次の一手を考えるガンテ。


「よし………ここか…。」


白の石に手を伸ばした、その時だった。


「そこ動かしてもうたら、ここの白が黒なってまうぞ。」


顔を上げると、そこには老け顔の人間が立っていた。銀之助である。

銀之助は、パンやおにぎりをこれでもかというぐらい詰めた袋をぶら下げていた。

 

「……………………。」


「無視かいな。パン食うけ?おにぎりにするけ?」


「……………………。」


徹底的に無視を決め込むガンテ。


「お前、飯食うた?取り敢えずこれ置いとくで。食べや。」


銀之助はテーブルにパンとおにぎりを置き、その場を去った。

そして何かに気づき戻ってきた。


「……………。」


無言でパンを入れ替え、再びどこかに行った。

食べたかったのを渡してしまったのだろう。

もしくは、お気に入りを一人オセロ野郎に譲るのが惜しくなったか。

なんにせよダサい。






数日後。


「……………。」


離れた場所で食事をとるガンテ。

相変わらず一人だ。

食べ終わった後はもちろん一服。

胸ポケットからタバコを取り出し、ライターをつける。


ガチッッッッッッッ


石が潰れた。

空を見上げため息。

些細なことであるが、確かに嫌にはなる。

すると、目の前にライターが差し出された。


「使うけ?吸うやろ?」


「………………。」


ガンテは無視し、指パッチンで火をつけた。


「おっ、火遁使いかいな!かっこええわぁ〜。」


よっこいしょっと…と、隣に座る銀之助。

至極当然の面持ちでタバコを吸い始めた。


「俺魔法そんな使われへんからなぁ。治療魔法とかやったらできるんやけどな。魔力も低いし、地球人やからの。」


「………………お前衛生班か。」


「ん?せやで。確かガンテ…やっけ?特科やんな?」


初めて言葉を返したガンテ。

銀之助はとくに気にせず会話を続けた。

ありがちな、「やっと喋ってくれた」等のセリフを吐くことはなかった。

言葉を投げたら投げ返してくれた。

ただ、それだけである。


「地球人か…そりゃいじめられるわな。」


「けったいなもんやでホンマに。ガンテはかっこええし、んなことないわな?」


「…………俺もだよ。魔力も10万パワーしかねぇし。バカにされてる。」


「10万!???!!イーヒッヒッヒッヒッ!!!」


数値を聞き、笑い出す銀之助。

鼻毛出てる。

ガンテは眉間に皺を寄せ、不快感を露わにした。


「俺1500やで!100倍近くあるやんけお前!ダッヒャッハッ!!!」


つい、口を開きポカンとしてしまう。

たった1500?

あって無いようなものではないか。

しかし、それがなんだというのだ。

ガンテはまた沈んだ顔に戻った。


「誰に言われたんだ。」


「ん?魔力?確か〜…俺が…20過ぎたあたりにーーー」


「違う。お前俺に絡んでるだろ。誰かに言われたんだろ。馴染ませるように声かけろって。」


「えっ?別に?俺が勝手に声かけてるだけやけど…。」


「勝手に?あぁ…わかった。お前、自分に酔ってるんだな。俺みたいな日陰者に声をかけてる自分がカッコイイと。」


「………………。」


「やめてくれないか?そういうの。気持ち悪いんだよ。俺が声をかけてくれなんて頼んだか?」


「極端やなぁ、ゼロヒャクやないか。そんな身構えんでもよくない?」


「うるせぇよ。もうバカにされんのは嫌なんだよ。」


「してへんがな。」


「…………………。」


流れる静寂。

2人は同時に次のタバコに火をつけた。


「なんで軍人なったんや?俺はシンプルに金がなくてやな。就活もしたけど…アカンかったわ。親父も心臓やってるから働かれへんし…年金もろてるけど。」


「年金………か。恵まれてんな…地球は。」


「お陰さんでな。まぁ、宇宙貿易始まって取るの難しなってもうたけど。」


「………………俺の弟も障害者でな。」


「……………。」


「この戦争が激化したのが理由で、家族で違う惑星に引っ越した。でもその翌日にその惑星も巻き込まれた。その時に両親は死んで…弟は、よその家族助けようとして四肢が吹き飛んだ。」


「そっか…………体が先に動いてもうたんやの。自分を顧みず、他者を優先したんや。中々できることやない。」


「その家族も結局死んだけどな。」


「……………………。」


「弟の面倒も見なきゃならんし、今は金がいる。俺も似たようなもんだ。」


「今…弟さんは誰が見てくれてるんや?」


「教会。つっても向こうも金がいる。なんでこんなことお前に話したんだろな。」


目を瞑り、ポケット灰皿にタバコを押し付け火を消した。

気まぐれで余計なことを話してしまった。

その時、後ろから兵士たちの声が聞こえてきた。


「うわ、ガンテじゃねぇか…。アイツ誰かとつるむことなんかあんのかよ。」


「隣のアイツ確か地球人だよな。落ちこぼれ同士でお似合いだわ。」


「まぁいいや。飯行こうぜ飯。」


ガンテは振り向くことなく、露骨に嫌そうな表情を浮かべゆっくりと立ち上がった。

ズボンについた砂ぼこりを叩き、その場を離れようとしたその時。


「おぉー!お前ら飯行くんけ?!俺らも混ぜてくれよ!」


なんと銀之助が兵士たちに声をかけていた。

信じられない行動に驚くガンテ。

兵士もタジタジである。


「えっ?え……ちょ………。」


「まぁまぁええがな!同じ駐屯地おるんやし、接点あったほうがええんちゃうか?のぉ?ガンテ!」


「え…………て、俺【ら】?!俺も入ってんのかよ!?」


「せやせや!当たり前やろ!アイツもええわな?よっしゃ、ほな行こうや!」


ガンテが何か言っているが、それを無視し話を勝手に進める銀之助。


「え…………まぁ………別にいいけど…よ。」


バカにしてきた兵士も勢いに負け、全員で食堂に向かった。

銀之助とガンテは既に食事は済ませてある。

腹を満たすために絡んだのではない。

野次を機会に変えたのだ。

ガンテもなんやかんやで文句をいいつつ、腕を引っ張られていった。

後にこの男たちは、かけがえのない戦友となるのであった。






2週間後。

遂にやってきた。

本来、銀之助たちは駐屯地での待機組であった。

戦争が激化し、人手が足りなくなったので全員が現場に赴くこととなった。

訓練は十分こなしてきた。

後は実戦で動くのみ。


「遂に来ちまったか…。」


「ガンテ…後方爆撃は頼んだぞ…!!!」


「俺ら巻き込むじゃねぇぜ!!!」


「怪我した時は頼むぜ銀之助!」


「おう…任せろや…!!!」


あの時バカにしてきた兵士たち。

それが今や、盃を交わした仲間たちだ。

背中を預け最前線を走るもの。

その背中を護るもの。

預けられた背中を治療するもの。

それぞれが拳を合わし、生きて帰ることを誓い合った。


「よしッッッッッッッ!!!お前ら準備はいいか!!!敵の首を取りに行けッッッ!!!」


隊長の叫びを聞き、全員が敬礼。

そして戦いの火蓋は切って落とされた。


「突撃いいいいいぃぃぃぃッッッッッッッ!!!!!!!」


ウオオオオオオォォォォォオオオオオオオオォォォォッッッッ!!!!!!!!


5時間後。


外で激しい爆撃音何度もが響く。


「後方爆撃隊ッッッッ!!!撃てッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!」


ドガァァァァッッッッ!!!!!!


(よし………!!!この流れ…!!!これなら前線部隊が予定通りに動けるッッッッ!!!)


ガンテは爆遁で正確にルート上のトラップや遮蔽物を撃ち抜いていた。

粉々に吹き飛んだ瓦礫を踏み倒し、前線部隊は突き進む。

順調だ。

ガンテは次の一発のために、杖を握り魔力を練った。

その時。


「前方からなにか飛んでくるッッッッ!!!」


その声を聞き、すぐに爆遁で撃ち落としたガンテ。

しかし、なにかおかしい。


(なんか今………当たる直前で爆発したような…。)


バラララララッッッッ!!!!!


直後、飛んできたそれが空中で無数のミサイルに分裂。

魔法が付与されていたのだろう。

しかも、最悪なことにミサイルの標的はこちらではなく前線部隊に向かっていった。


「や…………ヤベェッッッッッッッッッッッッ!!!!!」


ガンテはすぐに魔力を練り直し、そのミサイルを撃ち落としていく。


ドバアアアアアアァァァァァン!!!!!!


パラパラ…………


目の前は巨大な煙で覆われた。

これではどうなっているか目視ができない。

少し出過ぎた真似をしてしまったか。

ガンテ含む、爆撃隊は電遁で状況を確認することにした。

魔法が前提の戦争。

レーダーなどは役に立たない。

機械はジャックされやすいからだ。

電遁をやったところで、敵軍も対策はしているだろう。

しかし電遁は機械ではなく人間技。

レーダーよりも強く働く部分がある。


(………ッチ…、反応しねぇ…。)


ブォンッッッッッッッッッッッッ


煙が一気に晴れた。

ミサイルが爆撃隊に突っ込んできたのだ。


「しまっ……………!!!!!!」


なんとかバリヤーを張ったはいいものの、ガンテは両肩を負傷した。






バタバタバタバタバタバタバタバタ!!!!!!


衛生テントでは、衛生班が休むことなく走り回っていた。

ガンテはまだなんとか一人で歩けるので、自分でキャンプに戻った。


「………………ッッッッ。」


絶句。

そこには、軽症のものから重傷のものが大量に運ばれていたのだ。

この時は魔力ドリンクなどという便利なものは存在しない。

いや、存在はしているがまだ研究段階。

負傷者は魔法と少し発達した医学で治すほかない。


「あ………銀之助………て………な………………。」


銀之助が必死に治療を施している兵士。


(ガンテ…後方爆撃は頼んだぜ…!!!)


アイツだった。

下半身が吹き飛び、上半身は大火傷。

しかし、銀之助が魔法をかけてくれているのだ。

大丈夫。心配はいらない。


「………………………。」


なぜかその場を離れる銀之助。

そして次の兵士の治療にかかった。


「おい………なにしてんだよ銀之助…。まだ治療中だろ………。死んじまうぞッッッッッッッッッッッッ!!!!!」


「…………………。」


見向きもせず、銀之助は黙って治療を続ける。

ガンテは両肩の痛みを堪えつつ、強く揺さぶった。


「聞いてんのかよ銀之助ッッッッ!!!!オイッッッッッッッッ!!!!!」


「邪魔すんなガンテ…………!!!!!」


「邪魔って…………ソイツの治療も大事だけどよッッッッッッッッ!!!!!なんで途中でやめたんだよッッッッ!!!!!アイツ死ぬぞッッッッ!!!!!」


「もう死んでる……………………ッッッッッッッッ!!!!!」


「…………………………は?」






銀之助たちが現場に赴いて4日と14時間。

戦争は終盤を迎えていた。

敵軍はほぼ壊滅。

こちらの勝利と言ってもいい。

敵軍は銀河政府に裁判にかけられるだろう。

こちらの惑星解放軍兵員総数65485人。

現在の生存数…10639人。

あの時、銀之助とガンテと食事をした兵士たち。

誰ひとりとして、もうこの場にはいなかった。


「…………………。」


一人、魔法戦車ヴァルキュリアに寝そべりタバコをふかす銀之助。

夜空を見上げ、なにを思っているのか。


ザッザッ…


「…………ん?」


「隣…いいか銀之助。」


「ガンテ…………おう………。」


ヴァルキュリアに登り、銀之助の隣に寝そべるガンテ。


ゴロゴロ!!!

ドサッ!!!


狭くて転げ落ちた。

大人しく、横に並んでいたヴァルキュリアに寝そべった。


「大丈夫か?」


「おう……なんとか……。」


「…………………。」


「…………………。」


静寂。

夜風が傷ついた2人の心に染みる。

宇宙梟がピャーモスコスコスピャーモスコスコスと鳴いている。


「………あの…さ…。」


「どした?」


「………悪かった…あの時…。」


ガンテは、次々と運ばれてくる仲間に魔法をかけてはすぐに切り替える銀之助に苛立ちを覚えた。

そして怒りのまま、言いたくもないセリフを吐いてしまった。


『人を助けずに、なにが衛生兵だ』


ずっと心に引っかかっていた。

すぐに後悔と自責の念に襲われた。


「………悪かった……。」


「……………戦争やからの…。気にすんなよ…。」


「……………。」


「……………。」


「あと………さ…。」


「…………ん?」


「お前に…………謝らねぇと………。」


「……なにをなよ。」


「衛生兵のお前に…………【人を殺させた】こと………。」


「…………………。」


衛生テントに突如として突っ込んできた敵軍兵士。

全身に爆弾を巻き付け、片手に握る杖を振り回す。

自爆兵だ。

衛生兵含む周りの負傷者は青ざめ、パニックに陥った。

ガンテはすぐに飛びかかった。

しかし、両肩の痛みのせいで動きが鈍り左目を抉られてしまった。


「戦争のルールなんざ知るかよおおぉぉ!!!!ここ吹き飛ばしゃあ、俺らの勝利が近づくッッッッッッッッ!!!!!消し飛べやナードどもッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


ゴギッッッッッッッッッッッ


「な………………銀之助……………。」


なんと銀之助がとっさに動き、自爆兵の首をチョークスリーパーでへし折ったのだ。

床に倒れ、痙攣する自爆兵。

しかしまだ生きている。 

この程度では死なない種族なのだろう。

銀之助はあるものを手に取った。


「みんなあっち向いててくれ。」


手に取ったのはノコギリ。

銀之助は手際よく、相手の首を切断した。

その時の顔。

ガンテ曰く、あの優しい気さくな男が、恐ろしい獣に見えたという。






「俺………お前会ってから……ずっとずっと……迷惑かけてきて………でもお前は………会いに来てくれたエレンにも優しくて………なのに俺はずっとーーーーーーー」


「もうやめようぜ。」


「…………え?」


「もう……………やめよう…。」


怒っているわけでもなければ、呆れているわけでもない。

銀之助は目を閉じ、静かにそう呟いた。

ひどく落ち着いた心を癒すような優しい声。

ガンテはそれ以上、なにも言えなかった。


「また明日も…俺ヴァルちゃんの上におるからよ。せやからその時…………将来の夢でも語ろうぜ。」


「……………………将来…かぁ………。なぁ銀之助…なんでお前は…………そんなに強いんだ……。」


「……………………。」


「……わかんねぇよな…そらそうだよな………。俺さ…感謝してんだよ…。あの時…お前に…声かけられてなかったら………今頃……。」


「……………………。」


「…………聞いてんのかよ……って……寝てやがる…………俺も寝るか……。」


ガンテは静かに瞼を閉じた。


プスプス……………パチパチ……………


「…………ん?……………おいッッッッッッッッッッッ!!!!!燃えてる!!!!!銀之助お前燃えてるってッッッッッッッ!!!!!!」


タバコの不始末には気をつけようね。






3日後。

解放軍の勝利に終わった。

戦争期間わずか2カ月。

歴史を見れば、こんなにはやく終わった戦争は多くない。

瓦礫や泥の除去。

住民の安否確認。

負傷者の手当て。

解放軍は後片付けに追われていた。

銀之助は衛生兵の仕事ではなく、バラバラに飛び散った仲間の死体回収の仕事を上司に押し付けられた。

理由は明確。

差別だ。

一番魔力が低い人間ということもあり、一番の汚れ仕事を任されたのだ。

既に銀之助の瞳は、真っ黒に染まっていた。

ガンテも自ら志願し、ともに回収班として働いた。

そして解放軍は解散。

各々がそれぞれの道に旅立った。


「やっと………やっと………人の死を…戦争を見なくて…済むんだよな…………。」


「おう。これからや、ガンテ。」


小綺麗な服装の2人。

やつれてはいるが、顔にどことなく安堵を感じる。

銀之助はすぐにでもカフェを開きたかったが、ちょっとだけ企業勤めを経験したい気持ちもあった。

それでダメなら、カフェを開くのだとか。


「ガンテもカフェ出来たら働かんか!来てくれよ!エレンも一緒にさ!!!」


「俺は……………いや、やめとくぜ。さすがにお前に甘えすぎだ。」


「えー…んなことないのによー。」


口をとがらせる銀之助。

それを見て笑うガンテ。

2人は熱い抱擁を交わした。

連絡先は既に交換済み。


「元気でな…ガンテ。」


「お前もな…銀之助。」


長く短い戦争期間。

得たものもあるが、失ったものがあまりにも大きすぎた。

忘れたいが、忘れるわけにはいかない。

あの時の絆は永遠なのだ。

銀河鉄道に乗り込むガンテに手を振る銀之助。

さらば友よ。

また会う日まで……………


「…………よし!!!俺もやるか!!!見ててくれよ銀之助!!!みんな!!!」






半年後


ガンテは頭を抱えていた。

仕事が決まらない。

決まっても続かないのだ。

あの時培った人間力。

それが通用しない。

ガンテは気づかなかったが、PTSDを患っており、それ故会社の人間と関係を構築できずにいた。

ちょっとの事で怒り、ただの勘違いから喧嘩に発展。

軍人時代に稼いだ金は、エレンのこともあり底をつきかけていた。

何度も役所に出向いた。

相談した。

だが返ってきたのはたった一言。


【若いんだから働け】


それだけではない。

銀之助の連絡先をなくしてしまったのだ。

探せど探せど見つからない。

すぐに携帯に登録すべきだった。

なぜしなかったのだろう。

今さら後悔しても遅い。

銀之助から連絡が来ないことにも腹が立つ。


「親友じゃ…………なかったのかよ…………。」


プルルルルル


「ッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


携帯がけたたましく鳴った。

すぐに応答ボタンを押し、耳に当てた。

銀之助かもしれない。

期待に胸が膨らむ。


「もしもし!!!」


[ガンテくんだね?あの星間戦争で爆撃隊として勝利に貢献してくれた。]


「えっ…………あ……はい………。」


違った。

聞こえてきたのはあの頼もしい声ではなく、野太い男の声。


「あの…どちらさまで…?」


[申し訳ない。名乗るのが遅れた。私は銀河政府防衛大臣のゲルゥ。]


「…………はぁ……防衛大臣…そんな方が何の御用で…?」


[まことに勝手だが、君の現状を調べさせてもらった。仕事が決まらないようだね。決まったとしても、すぐに衝突してしまうと。]


「……………切りますよ。」


[最後までどうか聞いて欲しい。民間では君の素晴らしさがわからんのだ。嘆かわしいことにな。そこで、君の力を是非借りたい。どうだろうか?]


「…………………。」


[それにエレンくんのこともあるだろう。それなりの報酬は約束する。話だけでも聞きにこないか?]


後ろではスヤスヤとベッドに眠るエレン。

ガンテは、しぶしぶ了承した。

ゲルゥは日程と迎えを送ることを伝え、電話を切った。

そして翌日。

約束通り、迎えが来た。

黒服のサングラス男3人。

怪しさ満点だが、とにかく金が必要だ。

警戒しつつ、UFOに乗り込んだ。

仕事内容を尋ねても、黒服は「現地でお伝えします」と同じセリフばかり。

ガンテは諦め、腕を組み寝ることにした。






「よく来てくれた。粗茶だが飲んで欲しい。」


ゲルゥは小さめの会議室に案内し、ポットの茶を湯飲みに注いだ。


「……………………。」


「心配するな。毒などは入っていない。」


「そうみたいですね。ところで仕事ってなんです?」


「早速その話か。やる気満々で素晴らしい。やはり若いとはいいものだ。」


別にやる気があるわけではない。

シンプルに仕事内容が気になるだけだ。

訝しみつつ、出された茶に口をつける。

普通の玄米茶だ。


「これを見てほしい。」


ゲルゥは書類の束を見せた。

厚さからして、100枚ほどだろうか。

1枚1枚に顔写真が貼られており、大人から子どもまで老若男女様々である。

名前や住所、身長から魔力数値まで個人情報が書き込まれている。

気になるのが、細胞関連や内臓関連の謎のサイン。


「なんですこれ?」


「単刀直入に言うとだな………………………全員消してほしいんだ。」


「……………………………は?」


「つまり、【暗殺】を頼みたい。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。