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スペース・ロック  作者: 祈鈴銀
悪虐搾取組織殲滅編

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94/101

第94話 殺れるもんなら殺ってみろ!!!

銀河政府官邸。

廊下をズカズカと歩く男。

その足取りから、相当な怒りを感じる。


バンッッッ!!!


ノックもせず、乱暴に開けられたドアの先。

そこには、初老のウサギが腕を組みながら立っていた。

ウサギ男は、ゆっくりとこちらを振り向いた。

酷く落ち着いた佇まいである。


「どういう事だポテロン官房副長官ッッッ!!!説明しろッッッ!!!」


「これはこれは…ブッサイック官房長官。どうされました?」


「どうしたもこうしたもあるかッッッ!!!なぜ申請も通さずSWRの派遣を許可したッッッ!!!」


なんちゅう名前してやがる。

怒りをあらわにするブッサイック。

どうやら、SWRは上層部の許可なく派遣されたようだ。


「宇宙裁判クラスの問題だぞッッッッッッッ!!!」


「…………………。」


「黙ってないでなにか言ったらどうなんだポテロン官房副長官ッッッッッッッ!!!!!!」


「地球は…私の娘が世話になりましてね。」


「………………は?」


「娘のボーロ。親に黙って素性を隠し、勝手に参加した宇宙トーナメント。それも1回戦敗退。できることなら、もう少し頑張って欲しかったところですが。」


静かに微笑むポテロン。

ブッサイックは、眉間に皺を寄せ怪訝な表情を浮かべていた。


「そのかわり、娘はかけがえのない友人を手に入れた。その友人が戦っているんです。」


何が言いたいのか。

それでSWRを送ったというのか?

ただの私情ではないか。

ブッサイックが口を開くも、ポテロンは遮るように話を続けた。


「戦っている相手はあのヴィルホーンなんです。今まで何回逃げられてきたか…。今度こそ、叩き潰す時でしょう。だから送りました。なにか?」


拳をフルフルと震わせるブッサイック。

副長官の分際で、長官の自分に対しなめた態度。

澄ました顔も気に入らない。


「送るならばその地域に連絡をすべきだろうッッッ!!!えぷしーたうんは作業所なんだ!!!利用者も支援員も急にSWRが来たら驚くだろうッッッ!!!」


そのセリフを発した瞬間、空気が変わった。

こちらを強い目で見つめるポテロン。


「今なんと?」


「だ…………だから…、その地域に連絡を…………。」


「その後です。」


「えぷしーたうんの利用者や支援員が…………あっ……。」


「おかしいですね。私は【地球に派遣した】としか言っていません。なぜえぷしーたうんの名が?」


「データを…………データを見たからだ…!!!履歴が残っているからな…!!!」


「…………………なるほど。」


「俺は長官なんだ。閲覧権限は持っている。なにがおかしいッッッッッッッ!!!」


立場的に当然だろう。

しかし、ポテロンはずっと表情が変わらない。

強い目で見ている。


「これ、なにかわかりますか?」


ペラッ


右手に掲げた書類。

一体なんだと言うのか。


「SWR派遣届ですよ。私は一度たりとて、電子上で彼女らとはやり取りはしていない。」


「………………ッッッッ!!!」


「連絡を受けたのは電話です。貴方がその電話をジャックした…と言うなればまだわかりますが…電子上で一体何を見たと言うのです?」


汗だくのブッサイック。

それを見たポテロンは、暖房でもつけましょうか?と気を利かせてくれた。


「墓穴を掘りましたね。ウサギでもないのに穴掘りが上手な方だ。」


「クソウサギがああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


ブッサイックは懐から魔銃を取り出し、ポテロンに構えた。


「やはり…。ヴィルホーンと繋がってますね…ブッサイック官房長官。いや、ブッサイック………。」


ブサイクブサイク連呼するのやめろ笑うから。

しかし、ここまで来てしまったら答え合わせである。


「黙れ黙れ黙れッッッッッッッッ!!!!!ここでお前を撃ったとしても、俺は罪に問われることはないッッッ!!!ポテロン官房副長官はヴィルホーンと繋がっていた!!!そしてSWRを勝手に派遣!!!銀河政府を内側から壊そうとした!!!そう言えばいい!!!」


「ブサイクな筋書きだ。」


「そうかそうかッッッッ!!!それが遺言かッッッッッッッッ!!!クサレウサギには持ってこいのセリフだなぁッッッッ!!!」


部屋に発砲音が響く。

引き金が引かれた。


ガクンッッッッッッッッッッッッ!!!!!


「なにッッッッッッッッ!???!!」


目ん玉をひん剥くブッサイック。

魔銃の弾道は途中で折れ曲がり、自分の後ろに消えていった。


「見させてもらいましたよ。ブッサイック官房長官。」


「お…………お前………メルトロン将補………な、なぜここに………!!!!!」


「オントギの地方大臣が吐いてな。ドーワ村の政党批判を理由に、結託して国家権力による見せしめ。平和な村を地獄に変えた…。どれだけ腐ってるんだお前。」


キャプテン・バルカンの元同期であるメルトロン。

あの時は中尉だった階級も、今や将補に昇格。

そしてメルトロンの後ろから、ゾロゾロと銀河警察と宇宙刑事が部屋になだれ込んできた。

うろたえるブッサイック。


「ブッサイック。」


「な………なんだ…ポテロン…………!!!」


「銀河政府は、この銀河全ての生きとし生けるもののために存在しなければならない。それを壊そうとするものは…ここに必要ない。」


より一層、ポテロンの目力が強まった。

そして心で祈った。

SWRたち、地球で戦っている会ったこともない娘の友人たち。

どうにか生き延びてくれ。

こちらはこちらで、戦わせてもらう…と。


「観念しろ…ブッサイックッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」






「ダーヒャッハッハッハッハッ!!!!!そんな棒切れ出してどうすんだよオルァッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


ルナティックの猛攻。

ゴルズは棒術を用いて、反撃のタイミングをうかがっていた。


「足元お留守だぜゴルズさんよぉッッッッ!!!」


まるで鞭のようなローキック。

ゴルズは先読みをしていたのか、脛を構えブロックを試みた。


グニュッグニュッッッッ


「な…………ッッッッ!!!」


ドガッッッッッッッッ!!!!!


ルナティックの蹴りが軟体動物のように変形し、ゴルズの側頭部に炸裂。

続けざまに腹にボディブローを受け、勢いよく後退り。


「ヒュ〜、硬ってぇ〜。それに…久しいな…その鉄遁。」


ゴルズの側頭部。

そしてスーツで見えないが、腹も鉄遁で固めていた。


「ハァ………ハァ…………、テメェ…その蹴り…………。」


「まるで全盛期そのもの…ってか?よ〜くお気づきで。俺もクソガイジどもから抽出した魔薬を打ち込んでんだ。だからずっと若いまんま。お前とは違ぇんだよ老いぼれ。」


「だから気色悪いほど若ぇのか…………。見た目はガキで中身はジジイ。趣味悪いなおい。」


「見た目が可愛いショタなのは元からだけどな。それに趣味が悪い?それ、全銀河の金持ちにも言ってることになるけど、大丈夫そ???」


「金持ち…?」


魔薬はなにもドーピングだけではない。

若返りの効能もあるのだ。

全ての化粧品やサプリメントに入っているわけではないが、薄めたコスモトニンを混ぜている製薬会社や化粧品メーカーも銀河中に存在しているのだとか。

それに一部の富裕層。

ブッサイックやヴィルホーンと直接取り引きをしている。

主成分の出どころを知った上で…だ。


「老いってのは嫌だよなぁ?どんだけ金持ちでもあの世には金は持っていけねぇ。いつまでも若くいたいもんなぁ?」


「若返り…見た目だけにとどまらず、細胞そのものを若くできんのか…。」


「その通り!!!意味わかんねぇもんな?人は必ず死ぬ。生まれたその瞬間から、死に向かってる。死ぬために生きてるみたいなもんだ。そんなバカバカしいことがあるか?」


シュルルルルルッッッッ……


ゴルズの足になにか絡まった。

ルナティックの毛髪。

頭皮から伸びたものを操っているのではない。

切れた髪がひとりでに動いているのだ。


「グッッッッッッッ!!!!!」


髪に引っ張られ、宙ぶらりん状態。

ルナティックは一瞬で間合いを縮め、執拗に顔面を殴打。

鉄遁でカバーするも、なにごとにも限界がある。

次第に硬度は下がっていってしまう。


「可哀想なもんだよ。俺はいつまでも若々しく、お前は還暦の腐れジジイ。」


ガッッッゴッッッ!!!


「なにが孫に囲まれて縁側で茶だ。無様に死というものを受け入れ抗うことを忘れたロートル。情けねぇもんだ。かつての【狂黒のゴルズ】と呼ばれたお前はどこにいったんだろうなぁ?」


ベギッッッッ!!!!

ガゴッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!


「そんだけ死を受け入れるスタンスならよぉ…………今ここで死ねや老害ッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


ルナティックの貫手。

相変わらず狙いは顔面。

目を貫くつもりなのだろう。


ガシッッッ!!!


「ッッッ!!!!!」


ゴルズはその貫手を掴み、ルナティックの指の間に自分の指を絡めた。


「借りるぜ。」


シュババババババッッッ!!!


相手の手を利用した印。

ゴルズは口から火遁・火炎爆羅《かえんばくら》を勢いよく発射。

またもやルナティックは火だるまになった。


「腕も縛れば良かったのにな。詰めが甘いんじゃねぇか?」


足に絡まった髪の毛もついでに燃やし、長身のドスを口寄せ。

そしてルナティックを目にも留まらぬスピードでバラバラに斬り刻んだ。


「黒葬羅岸《こくそうらがん》斬り。」


ズバッッッッッッッッッッッッ!!!!!!


肉片が次々と床に落下。

ドチャッという音が生々しい。

出来ることならば完全捕縛。

そんなものは理想論。

現場を知らない者の常套句。

相手はヴィルホーンのボスであるルナティックなのだ。

やることはひとつ。

即殺。

元ヤクザの首領ということもあり、ゴルズの心にはわだかまりや後悔の念など微塵もありはしなかった。


「終わりがあるから人は儚い。でも同時に、終わりがあるから安心もできる。永遠に続く生命なんざ、それこそ虚無だろうよ。」


終わった。

あとはビンカンソを待つのみ。

しかし油断はできない。

火遁で散らばった肉片を焼き尽くすため、ゆっくりと振り向いた。


「……………………。」


言葉を失った。

目の前には、十数人に増えたルナティックがこちらを見て嘲笑っていたのだ。


「「「悪いな?終わりがない俺は醜くて。」」」


「…………悪いな…終わりがある俺は美しくてよ。」


増殖したルナティックが一斉に飛びかかる。






えぷしーたうんのグラウンド。

ビンカンソの部下たちが避難指示を出し、それに従う支援員たち。

中にはパニックになる人もいたが、周りの友達である利用者らがハグしたり手を握ったりして宥めていた。

テロ自体は街中で起きているので、離れた場所にあるえぷしーたうんに被害はない。

あくまで、グラウンドにおいてのはなしではあるが。


「…………………。」


周りをキョロキョロと見渡すエレン。

それに気づいたスンシーが声をかけてきた。


「どうしたのエレンくん?!大丈夫!?」


「おっぱい揺れてる…じゃないや!!!スンシーさん、ガンテ見てない?!」


「ガンテさん?いや…見てないけど…。」


エレンは少し怖い顔になった。

スンシーはこんな状況だから怯えていると思っているがそうではない。

ガンテから目を離してしまった。

地下に行ったことは明確。

僕の失態だ。

こんな初歩的なミスをするなんて。

スンシーが抱きしめてくれているからおっぱいの感触が味わえているのが、複雑である。

そして少しラッキーと思ってしまっている自分がいる。


「これ、みんな施設の中に避難したほうがいいんじゃないの?!?!エレンくん待ってて!!!警察の人に声ーーーーー」


「施設はダメだよッッッッ!!!!!」


つい声を荒げてしまった。

驚くスンシー。


「え……エレンくん?」


「とにかく施設はダメだッッッ!!!警察の人たちも施設に案内してない……うぅ…だから…その………テロは目立つ建物を狙う!!!爆撃されるかもしれないから!!!」


頭の悪いスンシーでも理解できた。

しかし、それで止まらないのがまたスンシーである。


「それじゃあヤビーさんが心配!!!確かトーチーさんを探して施設に行ったはず!!!ガンテさんも一緒かも!!!」


「ちょッッッッッッッ……!!!!!ダメだって言ってんじゃんよッッッ!!!!!待って!!!誰かぁぁぁぁぁ!!!!!あの爆乳止めてええぇぇぇぇッッッッッッッ!!!!!!!」


エレンの叫び声を聞き、施設に向かおうとするデカチチに気づいた婦警が腕を掴み制止。

中にはビンカンソが向かったから無線でヤビーの事を知らせるとスンシーを無理やり納得させた。

ほっとするエレンだが、心のざわつきは続く。

ガンテはヴィルホーン側の人間なのだ。

ポーズトッポを後ろから刺すはずだ。

それに…銀之助も狙うはずである。


「ガンテ……………!!!銀さん………ごめん……………!!!」






後ろで激しい衝突音が響く。

クエスチョナーとグレートが戦ってくれているのだ。

逃げたガンテは、十中八九ボスの元に向かっているのだろう。

銀之助は全力で追いかけていたが、途中で見失ってしまった。


「どこ行ったんなアイツ!!!」


ビュンッッッッ……………


「ん?なんやあれ…………ッッッてぇ!!!ッッッッッッッぶねぇぇぇぇぇッッッ!!!!!」


スレスレで回避。

目の前からスペツナズが飛んできたのだ。


「危ないやろがお前よおおおおぉぉぉぉッッッッッッッ!!!!!ホンマに殺すぞクソボケええええぇぇぇぇぇッッッッ!!!!!!」


だんだん小学生みたいになってきた銀之助。

するとまた目の前から先ほどのようにスペツナズが接近。

キレながらこれも回避。


「ん?」


なんか光ってる。

刃の部分、柄の部分。

ナイフ全体が光っている。


「あ、ヤベ。」


ドバアアアアアアァァァァァンッッッッッ!!!!


爆発。

銀之助は爆風で前方に投げ出され、ゴロゴロと転がっていく。


「ウオオオオオオォォォォォ!!!!!!!」


軍属時代で得た経験で、頭部を守りながらの回転。

受け身を取りたいがそれどころではない。

そのままゴロゴロと部屋の入り口に進む銀之助。


ドサァァァッッッ


「痛ッッッッッッッ…………あ?」


顔を上げると、部屋の奥にガンテが仁王立ちしていた。

ポケットからまたスペツナズを出そうとしている。


「もうやめろやガンテ。次投げてきたら俺お前に鼻くそ投げるぞ。」


危険度のレベルが違う気がする。

しかし、ガンテはポケットから手を離した。

鼻くそつけられるのが嫌やったんかな。


「…………また幹部出てこんやろな。」


「安心しろよ銀之助ぇ…。やっと…正真正銘二人っきりだ…。」


ニィ…とほくそ笑むガンテ。

真っ白なだだっ広い空間。

銀之助に流れる嫌な汗。

ここはガンテのフィールドだ。

なぜならば…


「怖いか…銀之助?そりゃそうだよな…俺の【爆遁】に適してるもんなぁ…この部屋。」


「…………………。」


「俺さ、実を言うとあのクエスチョナーとかグレートとか言うやつらが来てくれてホッとしたんだ。」


「………は?」


「あの幹部のデスパとエルクール。アイツら趣味悪くてな。お前の目と心臓狙ってたろ?本当は嫌だったんだよ…。」


それを聞いて胸をなでおろす銀之助。

幹部に嫌々動かされていたのだろう。

これで一安心である。

ここからやり直せばいい。


「…………そうか、ほな…これからーーーー」


「お前を壊していいのは俺だけだからな?そうだろ?」


「なんやねんお前!!!!!!!!!」


違ったわ。


ズコー!!!


キレながらワチャワチャする銀之助。

それを見て、冷静に笑うガンテ。


「こんな形でお前を殺すのもどうかなって思うところではある。」


「思うところではあるところではないやろ。」


「あんまり聞かない日本語だな?まぁいいや。しかし、お陰さんでめちゃくちゃだ。」


「こっちもじゃ。」


「まさか、堂々とポーズトッポのヤクザどもが乗り込んで…こっちの幹部が次々と撃破されるとは…。警察にも連絡は回ってる。SNSでもえぷしーたうんの内情暴露で大騒ぎ…。ここまで発展したのは…………」


「エレンやろ。」


「そう、出来損ないのクソ弟のお陰だ。」


話を要約しよう。

エレンは、次のコスモトニン抽出対象として自らトーチーを推薦した。

ヴィルホーンとしては、正直誰でもよかったのでそれを承諾。

そして、エルクールに地下に連れて行かれた。

それはなぜか。

エレンは、トーチーが常につけているマッドサイエンティストのキャラクターのキーホルダーに目をつけたのだ。

トーチーの推しであるそのキャラ。

作業中でも休憩中でもトーチーはそのキャラの愛を語っていた。

他のグッズを集めていたり、その作品そのものの大ファンなのだ。

それを一番聞いてくれていたのは誰でもないヤビー。

ヤビーが白目をむこうがなんであろうが、トーチーは愛を語っていた。

そして、遂に訪れた今日。

トーチーがエルクールに連れて行かれる日。

エレンはマジックチョーカーで事前に隙を見て、推しであるそのキーホルダーに魔法をかけた。

【空間反発魔法】である。

地下は壁を通らなければ進めない。

その壁はヴァイスがつくった空間魔法。


一つ、トーチーが壁を通った時、そのキーホルダーが反応して空間に穴を空ける。


二つ、グラウンドにいたヤビーがこの場にトーチーがいないことに気付く。


三つ、施設の廊下の奥まで確認する。


四つ、廊下に落ちたキーホルダーに気付く。


そして大事なのが…


五つ、ヤビーが壁に手をかける。


六つ、パラボラン含む外部の【戦える】ものが気付く。


これらが全て通ることにより、内部への潜入が可能となる。

はっきり言って、博打もいいところだ。

賭けも賭け。

どれかが一つでも欠けたらその時点でゲームオーバー。

そしてエレンはその賭けに勝った。






「酷い弟だよな?思わないか?仲良くしてた利用者の友達…それも女の子を犠牲にしたんだぜ?男のやることじゃないよなぁ。」


「…………………。」


「なんだよ。腹立つ顔してんなお前?」


「なんでお前そのこと知ってん。」


「……………………。」


「なんでそんなに事の経緯知っとんねん。得意げにべらべら喋ってるけど。お前、知ってて見逃してたんちゃうんか。」


「……………………。」


「それともう一つ。」


「…………なんだよ。」


「お前なんか…………わざと俺を煽ってるように見えるんやさっきから。まるで………」


「まるで?」


「俺に【嫌われたい】かのような…。」


静寂。

ガンテはうつむき、一言も喋らない。

銀之助はただただそれを見つめていた。


「……………だよ。」


「えっ。」


「なんなんだよ…お前マジで…………。」


「なんやねんって………なんやねん…。」


顔を上げたガンテ。

悲しみ、憎しみ、苦しみ、切なさ、それら全てを出したような表情であった。


「じゃあ教えてやるよ…お前と別れたあと…俺の人生がどうなったか…どう壊れたか…俺が人じゃなくなった瞬間を全部教えてやるよッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!」


語りだしたガンテ。

その内容は、この世の闇そのものであった。


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