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スペース・ロック  作者: 祈鈴銀
悪虐搾取組織殲滅編

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第93話 腐れ縁

壊れたドアの破片を蹴り飛ばし、ズカズカと部屋の中を進むゴルズ。

その度に、片手に持つ酒瓶がチャポチャポと揺れる。


「お、なぁんだお前…。ドアの前にいたのかよ。勢いでぶっ飛ばしちまった。悪いな。」


「勢いでねぇ〜……!!!そのドア外開きだろうがよ…………!!!!!」


睨みつけるルナティック。

奇襲を受け少し動揺している自分にも、乗り込んできた相手にも殺意が募る。

膝をつき、立ち上がろうとしたら先にゴルズが目の前に座った。


「よぉぉいしょっとぉ〜…。」


「あ……………?」


「いやなに、久方ぶりの再会…そんで今からドンパチやるんだ。その前に少し語り合いでもどうかなってよ。」


「語り合いだぁ?」


「この部屋には俺ら2人。最終どっちかがくたばるわけだ。少しでも吐き出せるもん吐き出したほうが、後腐れもないだろ?」


「………………。」


「そう睨むなや。それとも…あの天下のルナティック様が余裕がなくてビビってるなんてこたぁねぇよな?」


因縁の再会。

顔面の古傷が疼くには疼くが、なぜか今日一番落ち着いている。

腹の中はわからないが、コイツには負ける気がしない。

以前は確かに負けた。

だが今回こそ必ず殺す。

わざわざ向こうから来てくれたのだ。

盛大に殺してやろう。


「…………な〜にが悠長に語り合いだボケ。まぁ、敢えて乗ってやるよ。いつでも殺せるしな。」


「そうこなくっちゃな〜!どうだ?古傷疼くか?」


「ああ、お陰さんでなぁ?今日に至るまでずーーーーーーっと疼いてるよ。地べたに這いつくばって泥水すすったこと未だに覚えてらあ。」


「そう言うなよぉ。俺もお前に胃袋半分と肺と腎臓片っぽもっていかれてんだからよ。」


チャポッ………


「あ?」


「さっき言ったろ?これでも一発どうよって?おら。」


「…………………。」


ゴルズはこれ見よがしに酒瓶を揺らす。

この部屋に似つかわしくない、心地よい酒の音が響く。


スンスン………


「……………テメェ毒塗ってやがるな。」


「ぁん?」


「俺の嗅覚なめんなよ。テメェんとこのジェリーとかいうクソ女、確か毒遁使いだったろ。」


なめんなよ、とルナティックはキレながら笑みを浮かべる。

直接嗅かずに毒を見抜く嗅覚。

作戦失敗か。


「あっちゃ〜!!!バレちまったか!!!」


ヒュンッッッッッッッッ


「あ???」


ガシャアアアアアアァァァァンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!


不意打ち。

ルナティックは左顔面に思いっきり酒瓶を叩きつけられた。

そのまま横に吹っ飛んだのを確認したゴルズはタバコに火をつけ、液体塗れのルナティックに投げつけた。


ボウッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!


火だるまのルナティック。

アルコール度数がめちゃくちゃ高い液体が入っていたのだろう。


「なぁ〜にが悠長に語り合いだボケ。んなもんするかアホが。」


酷ぇ。

しかし、相手は悪虐非道のヴィルホーン。

それもボスであるルナティックなのだ。

筋や義理を通す必要性など、一体どこにあるというのか。

いや、向こうはどんな手を使ってでも悪事を働くのだ。

むしろ、その道理に則ってやるのが義理というものではなかろうか。

卑怯は卑怯で返す。

上等だ。


「そんな余裕ぶっこいて寝てたらよぉ…………。」


ボンッッッッ


ブンブンブンブンッッッッ!!!!!


ゴルズは口寄せで鎖鎌を召喚。

分銅をぶん回し、狙いを定める。


「隙だらけだっつーのッッッッッッッッ!!!」


ビュンッッッッ


ジャラララララララッッッッッッッッ!!!!!


上手いことルナティックの腕に分銅が絡まった。

お次は引きずり回し、壁や床に叩きつけ最後に鎌で斬り裂いてやるだけだ。


「そろそろ…………起きようやお坊ちゃんよぉッッッッッッッ!!!!!」


ガッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!


「ッッッッッッッッ!????!!」


動かない。

メラメラと燃え上がりながら体を起こすルナティック。

左腕に絡まった分銅。

ゴルズは両腕に渾身の力を込め引っ張っているにも関わらず、相手の片腕一本に力負けしているのだ。


ブォンッッッッッッッッッッッッ


ルナティックは右手で炎を振りはらい、完全に掻き消した。

ゴルズは埒が明かないと判断し、鎌を投げつけた。


バシッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!


投げつけられた鎌を上手いこと掴み、分銅ごと破壊。

そして次第にルナティックの抉れた左顔面と焼けただれた皮膚がグジュグジュと再生。


「残念だったなあ…今のが最初で最後の俺を殺せるチャンスだったのによ……。この屈辱…どう償おう?」


「………………治ったからいいじゃねぇか………。」


「酷いなあお前……心の傷はそう簡単には治らねえんだぜ?」


「…………ハッ……お前に心なんざあったのかよ…。」


「それがあるんだよな。皮肉にも、どれだけ外道に堕ちようと………人は人だ。」


ルナティックはうつむき、えずき始めた。

ダメージからくる吐き気ではないだろう。

なにかする気だ。

そんなものに付き合う道理はない。

ゴルズは素早く印を結び、大量のクナイや手裏剣、投げナイフなどの飛び道具を召喚。

躊躇は一切ない。

ゴルズはそれら全てを投げつけた。

本当は一気に近づき、直接ぶっ叩きたいが用心するに越したことはない。


ザクザクザクッッッッッッッッ!!!!!


ズッッッッッッッッッ!!!


ブシュッッッッッッッッッ!!!!!!


全身に武器が突き刺さり、まるでミノムシのような姿のルナティック。

しかし、痛がるどころか怯むことさえしない。


「………少しは痛がれや………!!!」


ガランガランッッッッ


「ふぃ〜…………お待たせえ……ゴルズちゃん♪」


それに間に合わなかった。

吐き出したもの。

血管のようなものが浮き出た、棒状のなにか。

それがガコンガコンと自動的に変形。

そして浮かび上がったと思えば、ルナティックの頭上で停止した。

正方形だが、まるで天使の輪っかを彷彿とさせる。

その歪な形に嫌な汗が流れるゴルズ。

非常に悪い予感がする。


「さあて、どうやって死にたい?」


「……………孫に囲まれて、縁側で茶飲みながら………かな。」


「あら残念、それは無理。」


「だろうな。」






「な………どないなっとんねん……!!!」


息を切らしながら、ビンカンソがたどり着いたのはえぷしーたうんの玄関を進んだ廊下の奥。

グラウンドでは、部下に利用者や支援員たちがパニックにならないように避難指示を出させていた。


「大丈夫かいな兄ちゃん!!!」


目の前には、壁にもたれるC.B。

脈もあれば息もしている。

しかし意識がない。


「経絡秘孔でも突かれたんかいな…。おいッッッ!!!至急応援を頼むッッッ!!!おい聞いとんかッッッ!!!おいッッッ!!!」


無線の感度が悪いのか、向こうの声が途切れ途切れだ。

すると、壁の向こうから誰かが汗だくでやってきた。


「ハァ……!!!ハァ……!!!え………なにがどうなって………貴方…警察の方ですか!??!」


「誰な兄ちゃん!???!!ていうかどっから出てきたんな!???!壁透き通らんかったか!???!」


「え……その……ヤビーと申します!!!えと……とにかく大変なんですよ!!!」


「落ち着け兄ちゃん!!!なにがどう大変やねん!!!」


現れたのはヤビーだった。

状況説明をしようとしているが、少しパニック状態だ。


「来てくれたか!!!説明は僕がしましょう!!!ゴードンと申します!!!」


「また壁から来よった!!!なにがどないなっとんねんて!!!」


ビンカンソもパニックであった。

そんなビンカンソの両肩に優しく手を置きゴードンは事の詳細を語りだした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「……………………。」


ゴードンは腕を組みながら、ゴルズたちが連絡した警察を待っていた。

携帯を確認すると、街中でテロが起きているとSNSが良くも悪くも盛り上がっていた。

そちらにも警察は手配されるはず。

これではえぷしーたうん到着に時間がかかるだろう。


「それまでは動けんか…。」


カツ…カツ…


「む?」


「お疲れさん。確か…清掃のゴードン…だよな?」


「貴方は…確か支援員のガンテさん…か。どうしてここに?」


「銀之助から連絡が来てな。信じられんし…今でも動揺してるが………そんなこと言ってられねぇ。入り口のC.Bに事情を話して入れてもらった。」


「そうか!!!しかし…動けるのか?貴方は支援員、それにこの地下に関してなにもわからないだろう。」


「心配すんなや。俺、銀之助と同期の元軍人だぜ?それに電遁ぐらい俺でもできる。任せてくれ。」


ガンテはそう言うと、ゴードンの腕に触れた。

心強い。

途中、横たわるヴァイスを一瞥したが何も言わずに先を進んでいった。

問題はその後だった。


「…………ん?」


空間がおかしい。

先ほどまで閉鎖空間のように感じていたが、それが綺麗さっぱり消えたような感覚。

不審に思ったゴードンは、ヴァイスに注意しつつC.Bが構える入り口に戻った。


「C.B、さっきなにやら空間に違和感………なッッッ!!!C.Bッッッ!!!おいッッッ!!!どうした!!!!!!!」


C.Bは気を失っていた。

ゴツゴツとした手のひらを当て、血液や魔力の流れを調べると、どうやら経絡秘孔を突かれたであろうことがわかった。

それも、かなり正確にだ。

そこでゴードンは察した。


「ま…………まさか…………!!!!!」


ガンテだ。

スパイだったのだ。

あまりにも普通を装った演技。

完全に騙された。


ウワァァァァァァァッッッ!!!


後ろから悲鳴が聞こえてきた。

この声は聞き覚えがある。

支援員のヤビーだ。

休憩時間にたまに会話をしたことがある。

なぜそのヤビーの悲鳴が聞こえてきたのか。


「なんだなんだ次々と!!!」


ゴードンが壁の向こうに渡ると、なんとヴァイスがヤビーの服を掴んでいたのだ。


「テメェ………ごろ………じで…………や………る!!!!!!」


ゴードンと勘違いしているのだろうか。

なにやら、片方の拳の周りが陽炎のように揺らめいている。


「た………助けてッッッッッッッ!!!!!」


ヤビーの助けを求める声に反応したゴードン。

再びヴァイスの顔面に拳を叩き込んだ。

殴られたヴァイスは痙攣し、気を失った。

顔面陥没サイズは最終的に18cmとなった。


ズコー!!!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「そして今に至る。」


「なるほどな………よくわからんが、よくわかった。変な感覚や…。ほな!!!ヴィルホーンの連中逃げよるかもしれんやんけッッッッッッッ!!!」


「可能性はある………!!!しかし!!!そうさせんために今、友が乗り込んでいるんです!!!」


「ポーズトッポの連中と、カフェのもんらやな…!!!わかったッッッ!!!そろそろSWRが到着するんや!!!それまで持たせんとアカン!!!」


「SWRッッッ!????!」


スペース・ワイド・レスキュー。

略してSWR。

銀河政府直属の上層特殊部隊。

なぜそう簡単に要請ができたのだろうか。

頭に疑問が浮かぶも、今はそれどころではない。

ゴードンはどう動けばいいかビンカンソに尋ねた。


「兄ちゃんに先に地下潜ってもらいたいけど、中どうなっとるんかわからんしの………!!!クッソ……………!!!」  


「私が…………案内しますよ…………。」


振り向く3人。

C.Bが目を覚ましたのだ。

頭を押さえ、フラフラの体。

本来安静にしなければならないが、状況が状況である。

それに止めても止まらないだろう。

C.Bはそういう男なのだ。


「兄ちゃん大丈夫かいなッッッッ!!!」


「えぇ……なんとか……。空間ロックは………秘孔を突かれたので上手く魔力が練れません………。でも……ジェリーさんとマヤさんが私の背中を通じて作った地図………うろ覚えですが…記憶しています…。」


「よっしゃぁぁぁッッッッ!!!ほな、悪いけど頼むッッッッッッッ!!!!!!」


C.Bは汗を流しつつ、笑みを浮かべた。

本人もキツイのだろう。

メモ帳にフニャフニャではあるが、地図を描き始めた。

一刻を争うのだ。

どうにか耐えてくれ。

そして、はやく着いてくれSWR!!!






「指図すんなぁぁぁぁ???!!??!わけわからんこと言うてるんとちゃうぞクソガンテッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!」


珍しく激昂する銀之助。

当然だ。

かつての戦友そして親友であるガンテが敵なのだ。

その男が、重傷のモチェットを雑に掴んでいる。

渡せと言ってもその気がないのであれば、冷静でいられるわけがない。


「わけわかんねぇか、そうかそうかッッッッッッッッ!!!じゃあわかるように言ってやるよッッッッッッッッ!!!!!前向いて進んでるお前が気に入らねぇんだよッッッッッッッッッッッッ!!!!!」


「前向いて………???そりゃ………前向くしかないやろうがッッッッッッッッ!!!!!嫌でも人間、人生生きなアカンのやからよッッッッッッッッ!!!!!」


「凄ぇなお前!!!!!憧れるよ!!!!!俺がどんな道を歩んできたのか知りもしねぇでそんな能書き垂れてるんだからよおおおおぉぉぉッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


「お前が聞いてきたんやろがしばくぞボケええええぇぇぇぇぇッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


やかましい2人。

巻き込まれてるモチェットが可哀想である。

うるさすぎてもう死んでんじゃねぇの。


「ハァ…………ハァ………!!!」


「ハァッッッッ…………ハァッッッッ…!!!!」


息を切らす2人。

銀之助としては、はやくモチェットを治療したい。

かつて衛生兵だったという経験からくるものもあるだろうが、それ以前に仲間なのだ。

助けない選択肢などあるはずがない。


「ガンテ………!!!とにかくモチェット渡してくれ……!!!話はその後や…!!!」


「人質だぞ?渡すわけねぇだろうが。それに話し合うことなんざねぇよ。今ここでお前死ぬんだからよ。」


こめかみに血管が走る銀之助。

拳を握りしめ、プルプルと体を揺らす。


(すまん、モチェット…ちょっと辛抱してくれ…。)


「……………あ?」


「ガンテ………お前、なにがあったんな。」


銀之助は深呼吸をして心を落ち着かせた。

無理やりにでも会話に持ち込み、ガンテを諭すつもりなのだろう。


「覚えてるけ…。あの戦車の上で語り合ったやろ。衛生兵と特科…。軍役が終わったら………お互いなにしようかって……。それで俺はカフェをなんとか作った……。」


「……………………。」


「お前、言うてくれたやんけ…。いつか俺のカフェにコーヒーしばきに来るって………。なんで来てくれんかったんや………。それに、前に久しぶりに会った時……言うてくれたやんけ…………。」


「………………………。」


「お前、さっき俺に前向いて〜て言うてたけどよ…俺もここまで来るのにどんッッッッだけ苦労してきたか………。」


「………苦労か。」


「せや…。仕事はクビ切られた。それで貯めてきた金でなんとかカフェを建てれた…。それまで道中、どんだけしんどかったか………。どれもこれも、前にお前に言うたことを実行するため……なにより、お前に来てほしいからやんけ………。」


「…………………俺に。」


「そうじゃよ、当たり前やろて。………先にエレンが来てくれたんや…。いつか、兄さんも連れてくる言うてな………。」


「エレンが……………。」


目に光が再び宿るガンテ。

エレン、と聞いた途端表情が変わった。

やはり兄弟なのだ。

唯一の肉親。

そんなエレンが先に、トリスコーヒー一杯しばいたのだ。


「俺は……………俺は………………。」


「ガンテ。」


顔を上げるガンテ。

銀之助が手を差し伸べている。


「戻ってこいよ。」


「戻…………る。」


「せや、戻ってこい。正直、お前になにがあったんかわからん。せやから………コーヒーでもしばきながら語れや。アホンダラ。」


あの時と同じだ。

軍属時代。

周りに溶け込めず、一人でオセロをしていた時。

その時初めて、声をかけてくれた…あの時の銀之助と全く同じなのだ。


「………………。」


手を伸ばし、一歩…また一歩と前に出るガンテ。

過去になにがあったのかはわからない。

それでも、またやり直せばいい。

そしてモチェットを離そうとしたその時であった。


「ダ・メ・で・す・よ♪ダマされちゃあ♪」


瞬時に声のする方を向く銀之助。

天井に人影が2つぶら下がっている。


「ガンテともあろう人が…そんな安っぽいクッサイ演説に飲まれてどうするんです?」


「…………エルクール…デスパ…。」


エルクールとデスパは器用に着地。

ガンテの両隣に並んだ。


「やはり危険ですねぇあの男。たかが地球人で魔力1500パワーと侮っていましたが…どうやら幻術を使うみたいで?」


「いいや、アレは幻術というより詐欺に近いでしょうよエルクール。厄介ですねぇ。」


喋り方もキャラも似てるのやめてくれへんか。

2人はガンテの肩に手を置き、歩みを止めさせた。


「……………サンキュー。危うく飲まれるところだったぜ。」


銀之助を見下すガンテ。

あともう少しだったのに。

最悪だ。

それだけじゃない。

幹部が目の前に3人もいるのだ。

こちらは銀之助一人のみ。


「ところでガンテ、ヘロシティーを知りませんか?」


「アイツならボスの元に向かった。」


「ボスの元にですか…。あの人も勘違いが甚だしいですからねぇ。【自称右腕】だとかなんとか。妄想が激しい人は困ります。」


「右腕と左腕は我ら、ディザスター兄弟ですのにねぇ。」


兄弟だった。

ガンテは静かに目を閉じ、話を続けた。


「ルフェアが逝った。」


ポカンとする2人。

誰のことかわかっていない様子である。


「えと…………ルンペン……?誰です…?」


「ルフェア、だ。アボリカルの元の名だ。」


ポンッと手を叩くデスパ。

エルクールもどうやら理解した様子。


「そう言えばそんな名前でしたね!しかし……死んでしまいましたか。あんまり役に立ちませんでしたね。ベイル…雑に造ったんですかねぇ。というか、なぜ元の名前呼びで?」


その問いには答えず、ガンテは更に続けた。


「マヤとジェリーも片付けておいた。ナトリのやつは知らん。デイドリーが殺したんじゃないか。」


「な…………マヤちゃんとジェリーちゃんを…………???!それにナトリくんもやと………!???!ガンテ、お前どういうことなッッッッ!!!」


「さぁな。もう時間もねぇし………死んでもらうぜ…銀之助。」


雰囲気が変わった。

一切の迷いを感じられない。

両肩のクソ兄弟も、笑顔でドス黒いオーラを放っている。

3vs1。

そのうえ人質あり。

今の銀之助は、蛇に睨まれた蛙どころではない。

絶体絶命そのもの。


「………………ッッッッ!!!」


構えを取る銀之助。

それを見て嘲笑う3人。


「町田銀之助の目玉、貰ってもよろしいでしょうかエルクール?」


「では、私は心臓を。いいですねガンテ?」


「好きにしろ。じゃあ………死ね。」


バッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!


一斉に3人が襲いかかってきた。


(クッソッッッッッッッッ!!!!!やるしかないかッッッッ!!!!!!)


銀之助は覚悟を決め、印を結んだ。





          【問題】


タイルはタイルでも、七夕にかつやくするタイルってなーんだ?


「ッッッッ!???!」


「ッッッッ!!!!!」


「なんです急に………?????」


         ブッブー


        正解は…………


グォングォングォングォングォングォングォンッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!


3人の頭上。

巨大な燃え盛る三角形のエネルギーが猛スピードで接近。


「しま…………ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


驚愕するガンテ。

時すでに遅し。

3人は三角形のエネルギーに巻き込まれ派手に吹っ飛んだ。


「ま……………まさか………これって………。」


「悪いな銀之助。待たせた。」


颯爽と現れた男2人。

一人はスラッとしたボクサー型の高身長男、もう一人は筋骨隆々の時計顔。

いつも見る顔ぶれだ。


「クエスチョナーッッッ!!!!グレートッッッッッッッ!!!!」


「捕まってる利用者助けてたら、時間かかっちまった。でも、全員なんとか解放はしたぜ。…………生きてる利用者だけだけどな………。」


憂いげな表情のクエスチョナー。

隣のグレートも同様である。


「…………サンキューな、2人とも……。ちなみにさっきの答え、なんなんや?」


「ん?あぁ、アルタイルだよ。織姫と彦星ってな。七夕だろ?」


「なるほどなぁ………ッッッて!!!モチェット!!!モチェットは!???!巻き込まれたんちゃうか!???!!」


「ここにいるじゃないか。しっかりしろ銀之助。」


よく見ると、グレートが抱きかかえているではないか。

どうやって救出したのかと尋ねると、どうやらグレート自身の動きを時間魔法で早送り、クエスチョナーの技がぶつかる前にガンテから奪い取ったようだ。

それにモチェットの傷は完全に治っていた。

グレートが魔力ドリンクを飲ませたのだろう。


ガラガラ…………


「ちょ〜っとこれは……許せませんねぇエルクール………。」


「恥かかされましたよ…………生きては……返せませんねぇデスパ……。」


殺意マシマシで瓦礫を押しのけるディザスター兄弟たち。

ガンテは無表情で崩れた天井を眺めていた。


「さぁて、これで3vs3だぜ。……ってぇ!!!あの黒髪逃げやがった!!!」


クエスチョナーの目に映るはガンテの後ろ姿。


「銀之助、なんか訳ありなんだろ?ここは任せて行ってくれや。」


ポンッと背中を押すクエスチョナー。

銀之助は頷き、ガンテを追いかけた。


「お待ちなさいッッッッッッッ!!!」


「黙って行かせるとでもお思いで?」


銀之助の前に立ち塞がる2人。

しかし、心配は無用。

なぜならば……………


ガシッッッッッッッッッッッ!!!


「むッッッッ!!!!!!」


「お前の相手は俺だエルクールとやら。」


「………………時計星人……フフフッッッッ、時計星人の心臓はまだ食べたことありませんねぇッッッッッッッッ!!!!!!」




ザッ………………


「お前はこの俺…クエスチョナーが、お相手しますぜ?」


「三下の異星人風情がッッッ……………!!!目玉ないじゃないですかッッッッッッッッッッッ!!!」


そこかよ。

クエスチョナーとグレートはモチェットを巻き込むまいと、相手を掴んだまま壁をぶち壊し移動。

銀之助は、背中を友に預け走る。

相手はヴィルホーンの幹部。

いくらあの2人が強いと言えど、油断すれば一瞬であの世行きだ。

それでも、友のために立つのが情。

それ即ち……………


友情であるーーーーーーーーー
















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