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スペース・ロック  作者: 祈鈴銀
悪虐搾取組織殲滅編

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第89話 照らせ光遁!!!

あの日以来、モチェットは心に重くのしかかる気持ちを忘れないでいた。 

忘れられるわけがないのだ。

毎晩、夢に出てくる仲間たちの姿。

ワーマンコ警察学校での楽しくも厳しかったあの時代。

笑顔で肩を組み、永遠を誓いあった過去。

それが次の瞬間、あの凄惨な光景に変わる。


「〜〜〜ッッッッッッ!!!!!」


ベッドから飛び起きるのはほぼ毎日のこと。

汗だくで時刻を確認。

2時28分。

丑三つ時だ。

毎晩、目が覚める度に胸が締め付けられる。


「大丈夫だ…安心してくれ…必ず、必ず犯人を捕まえる…!!!」


モチェットは冷蔵庫に冷やしてある天然水をコップに注ぐ。

これを飲んで、また横になる。

そしていつものように仕事に行く。

仲間たちへの思いを抱きながら。






「は……ぇ…、捜査………打ち………切り……?」


上司に告げられた、あまりにも残酷な現実。

理解が出来ない。

あの事件は、ただの事件ではない。

警察が3人も殺されているのだ。

それも、惨殺である。

到底受け入れがたい話である。

それに、あの日からたったの一年しか経過していない。

打ち切りになるわけがないのだ。


「意味がわかりません…警察が……僕の同期が殺されているんですよ!!!それが…!!!たったの一年で打ち切りってどういうことですかッッッ!!!」


署内に響く怒号。

上司はひどく冷静にモチェットを鎮める。

それがかえって、腹が立つ。

まるで自分が理不尽に怒っているように感じるからだ。


「それに!!!打ち切りなんて知れ渡ったらそれこそ市民が安心できないでしょうッッッ!!!時間はかかれど、必ず犯人を捕まえーーーーー」


「すまん…、言い方が悪かった。打ち切りではない………。だから………もう………大丈夫だ…。」


「………………は?」


なにが大丈夫なのだろうか。 

全く理解も納得もできないが、モチェットは仕事に戻された。

パトロールに警察署での電話番。

頭にモヤがかかりつつ、業務をこなすのであった。

そして後日、とても嫌な形で上司の言葉の意味が判明する。


[昨年発生した警察官惨殺事件の容疑者としてーーーーー]


自宅のテレビで流れているニュース。

そこには、手錠をかけられ顔に布が被せられている犯人が映っていた。

捜査は打ち切りになったのではないのか?

近所やSNSでは、やっと安心できるだの、死刑にしろだのと盛り上がっていた。

しかし、モチェットは大きく開いた目でずっとテレビを見つめていた。

布からほんの少し、顔を覗かせる犯人。


「…………誰だ……コイツ………。」


ウィンプが装着していたボディカメラ。

モチェットはしっかりと確認したのだ。

ほんの一瞬しか映っていなかったが、まるで犯人の見た目が違う。

益々意味がわからない。

今思えば、上司は少しやつれていた。


「まさ……………か…………。」


あくまで、現時点では憶測だ。

しかし、これ以外に考えられない。

モチェットはテレビをつけたまま、家から飛び出した。

今すぐに確認したいことがあったのだ。







「今までお世話になりました。」


「いや……こっちのほうこそ。」


モチェットは警察を辞めた。

自主退職だった。

あの日、自宅を飛び出し向かったのは職場。

結論から言うと、オマタ警察署内には目的のものは見つからなかった。

そこで、情報を得るために奔走していたのだが、何かを察した上司に止められた。

モチェットは義憤を感じていた。

ニュースに映っていた犯人の顔。

ボディカメラで確認した人物とは大きく違う。

そして問い詰め始めた。

元より達者な会話運び。

上司は根負けしたのか、激しい憎悪を抱くような事実を語りだした。

モチェットの想定通りだった。

いや、それを上回る邪悪さだった。

それを聞き、退職を決断したのだ。


「モチェット…わかっているだろうが…変なことはするなよ…。お前はいい奴なんだ…。奥さんのことも考えてやれ…。」


「ありがとうございます。この間離婚しましたよ。」


「離婚って……離婚届置いて家出ていっただけだろう…。役所に届けてるかわからんぞ。だからーーー」


上司が言い終える前に、モチェットは深く頭を下げその場を後にした。

上司はなにも言わず、その後ろ姿を見送ったのだった。


「………………。」


ウィンプたちを殺害した犯人。

その正体。

とある銀河警視庁の息子だったのだ。

この事件の流れを要約すると、【偉いさんの息子が犯人だったからこれで終わりね】というもの。

つまり、権力による圧力・隠蔽。

これだけ。

許せるわけがない。

犯罪を取り締まるのが警察なのではないのか。

捕まえ、市民を安心させるのが警察なのではないのか。

腐っている。

モチェットは毒遁が使えず、周りを腐らせることはできなかった。

一方、この警察という組織は既に腐っている。

もうなにも信じられない。

なにが司法だ。 

なにが権力だ。

立場ひとつで、犯罪者は犯罪者にはならない。

クソったれ。

正規の方法で罪人を裁けないのならば、やることは決まっている。

モチェットは空を見上げ、十字を切った。


「神様…どうか…どうかこの僕に………」


人を殺させてくださいーーーーーー






モチェットはオルベロン銀河という場所にいた。

そこで機会を窺っているのだ。

ウィンプたちを殺した猟奇殺人犯の抹殺。

喫茶店でコーヒーを飲みながら、窓を見つめる。

景色を楽しんでいるのではない。


「…………。」


ここのオススメは、プリン・ア・ラ・モードとクリームコーヒー。

わざわざ別の惑星、それも別の銀河からの来訪。

頼まない手はない。

店員も気さくに、このセットを宣伝した。

しかし、モチェットが頼んだのはブラック一杯のみ。

宇宙は広いのだ。

こういう客もいるだろう。

店員は不思議に思ったことだろう。

どっちやねんてね。


(来た……………!!!)


一気にブラックを流し込み、店を後にした。

すぐに動けるように、オススメセットを頼まなかったのだ。

本当は食べたかったはずである。

堪能したかったはずである。

モチェットは甘党なのだから。


スタ…スタ…


確かな殺意を抱き、目標をロックオン。

ゆっくりではあるが、確実に着実に近づいている。


「でよ〜、その女吐きやがって!!!オーバードーズだっけか???」


「汚ったねぇ〜!!!そんなやつとセックスするなしwww」


ダーヒャッハッハッ!!!


笑っている。

笑っていやがる。

それも、話を聞く限りかなり下品なものである。

肩を並べ、笑っている仲間たちも共犯者とわかっている。

こいつらは全員、いわゆる【上級国民】。

罠にはめた上での警察官殺し。

なのにのうのうと生きている。

ここにいるのは旅行ではなく、雲隠れ。

親や身内が動いたのだろう。

子が子なら、親も親か。

ゆっくりと、確実に着実に目標に近づく。

あと20m程度。

この距離でも殺せないことはないが、周りの一般人を巻き込みかねない。

自然を装うのだ。

後ろから追い越し、その際に殺す。


(……………………。)


仕事は辞めた。

受理されているかわからないが、離婚もした。

金も全て、親と元妻に送った。

今までこんな俺を愛してくれて、ありがとう。

モチェットは心を殺し、クズどもを追い越した。

いや、追い越そうとしたのだ。


ガシッッッ!!!


「ッッッ!!???」


急に肩を掴まれた。

完全に油断していた。

心臓が飛び跳ねるほど驚き、後ろを振り返る。


「悪い兄ちゃん、ちょっと道を尋ねたくてよ。」


顔に包帯を巻き、右目を覗かせる二本角の男。

その男こそ、ポーズトッポ自警団の社長であるゴルズだった。






「………ここですね。」


案内したのは、先ほどブラックを頼んだ喫茶店。

道を尋ねてきた場所からほとんど距離は離れていない。

なんなら、直線100mちょいだ。


「おぉおぉ、ここか。サンキューな兄ちゃん。」


「……………。」


腕を組みながら、店を見上げるゴルズ。

モチェットは横目に複雑な心境だった。

せっかく決心した殺害。

まさかあんなタイミングで止められるとは。

グチャグチャにモヤモヤに絡まった胸中。

少し顔が俯く。


「……………兄ちゃん、さっきの連中に恨みでもあんのか?」


「…………え?」


「殺そうとしてただろ。殺気塗れだったぜ。」


その言葉に驚きを隠せないモチェット。

まさか見られていたとは。

そりゃあ実際に堂々と道を歩いているのだから、周りには見られているかもしれない。

問題は殺気を感じ取られていたこと。

一般人にバレるほど、にじみ出ていたのだろうか。

これでは到底、プロフェッショナルとは呼べない。


「まぁなぁ…。あんなゴミクズどもだしなぁ…。殺したいわな。」


頭をポリポリと触るゴルズ。

モチェットは黙って見つめるのみ。


「特権だのなんだのと勘違いしてんだろうな。自分たちは特別だとなんだのと。切り刻まれたら死ぬってことすら想像できねぇんだろうよ。」


「……………貴方もアイツらに恨みが…?」


「いんや、直接はない。ただ…身内にちょっかいかけてきやがってな。」


「身内?」


「子分だ。ポーズトッポて聞いたことねぇか?地球っていう天の川銀河の田舎に……て、知らねぇわな。」


「えと…つまり…貴方は………。」


「ヤクザよ。」


静かではあるが、芯を感じさせる眼力。

今まで何をしてきたのか、どんな生き方だったのか、言葉で語らずともそれだけで伝わる力強さ。


「兄ちゃんカタギだろ?やめとけやめとけ。人を殺すってのはな…どんな理由があれ、その時点で人をやめることになる。相手がどれだけ悪人だったとしてもな。」


それを聞いた瞬間、苛立ちを覚えた。

薄っすらと、手の甲やこめかみに血管が浮かぶ。


「なにがわかるんですか…………貴方に……ヤクザになにがわかるって言うんだッッッッッッッッッ!!!!!!」


「…………………。」


ゴルズの胸ぐらを掴み、畳み掛けるように声を荒げた。

努力の末、頑張って入った警察学校。

そこで出会った仲間たち。

その仲間たちを外道たちに殺されたのだ。

それも酷い殺害方法だった。

仲間は仕事を真面目にしていただけだったのに。

犯人は、銀河警視庁の息子という理由で無罪放免。

やっとのこさ決意した人殺しを、ぽっと出のヤクザに諭される筋合いなどあるわけがない。


「なるほどな…ワーマンコ出か…。立派なもんだ…。じゃあよ…」


モチェットの腕を掴むゴルズ。

力は入れていないのに、なぜか強い。

形容しがたいが、そうとしか言えないのだ。


「やるか?いや………やめるか?」


「や……やめるって………なにを……。」


「人。」


その後、ゴルズは数人の子分を引き連れて、夜中に銀河警視庁の息子どもを拉致。

場所は、長年使われていない寂れた倉庫。

そこで椅子に縛り上げた。

多少は拷問に近しいこともしたが、手短に終わった。

モチェットはゴルズと目が合った。

一線を越えるのか越えないのか。

迷いはなかった。

ゴルズたちに拷問を受け、苦しんでいる外道たちを見ても湧いてくることはなかったのだ。

情なんてものは。


「………………。」


「や………やめ………ッッッ!!!!!」


……………………………………


モチェットは、人をやめた。






「思い出したか?貴様のその脆弱性と惰弱性。それらが招いた現実…自分の状況を見てみろ。」


体が上手く動かないモチェット。

まるで、見えないなにかに縛り上げられているかのように床に突っ伏している。

これでは印もろくに結べない。


「優秀な警察学校を出た後に極道入り。芯がない。格がない。誇りがない。魂がまるでない。」


ブシュッ!!!


切り刻まれた全身。

そこからドクドクと鮮血が流れ行く。

このままでは、出血性ショックは免れない。

苦痛に顔が歪む。


「障害者を守るなどと助けるなどと抜かし、城郭に忍び込み、無様にも床に倒れ込む甲斐性の無さ。とても英雄などとは呼べんなぁ。」


終わりだ。

ヘロシティーがそう呟き、足を前に出した。


「どうやら…………この部屋に利用者はいないみたいだな…………。」


「……………なに?」


「暗いからな…この部屋は…。」


モチェットはボロボロの体を震わせながら、立ち上がった。

その動作に伴い、あちこちから血が噴き出すも知ったことではない。


「貴様……!!!まだ動けるのかッッッッ!!!」


「ハッハッハッハッ…………お前…俺は毒遁が使えないと煽っていたが…、フラットウッズのもうひとつの特技を忘れていないか?」


シュウウウゥゥ……………


「き……貴様ッッッッ!!!!!」


何かを察したヘロシティー。

急いで頭を振るも時すでに遅し。

モチェットの全身が光りだした。


「光遁ッッッッ!!!超清星白螺《ちょうしんせいびゃくら》ッッッッッッッッ!!!!!!」


パアアアアアァァァァァァッッッッッッッッッッッッ!!!!!!


「グウウウオオオォォ…………!!!!!!」


顔を覆い、苦しむヘロシティー。

その光量は部屋全体を照らしていた。

暗闇とは相反する概念。

そう、フラットウッズモンスターはなにも毒遁だけではない。

光遁使いの種族でもあるのだ!!!


ジュウゥッッッッ!!!


「やはりな…、その歌舞伎のような見た目。俺を切ったのは髪の毛か。」


ヘロシティーの細長く、強靭な髪の毛。

モチェットの全身を縛っていた正体がここにきて判明。

しかし、光遁により髪の毛は焼け焦げた。


「我の………我の髪をおおぉぉ………ッッッッ!!!!!」


「髪の毛を操るか。俺の尊敬する喫茶店の店主。彼と比べればお前の技は半人前以下だ。」


脳裏にはパルムの姿。


「潔く坊主にでもしたらどうだ?」


「貴様ぁぁぁッッッッ!!!侮辱するかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!ボスがお褒めになったこの髪を侮辱するのかぁぁぁぁッッッッッッッッ!!!」


なんかキレてる。

キモ。


「電遁で部屋を解析していたから時間がかかった。俺もまだまだ甘いな。さっきまでの暗闇、ただ部屋の電気を落としただけ。………社長と同じタイプの魔法使いじゃなくて助かった…。」


「社長………???!!ゴルズか………!!!よくわからんが……まるでもう勝ったかのような口ぶりだな………!!!」


ヘロシティーはわかっていた。

モチェットは印を結ばずに光遁を発動している。

いくらフラットウッズと言えど、この光量を魔力も練らずに一気に放つのは負荷が大きい。

切り刻まれた全身のダメージを考慮するならば…


「せいぜい数十秒ッッッッ!!!!!十分我に勝機ありッッッッ!!!!!」


「どちらが歌舞伎通せるかッッッッッッッッ!!!!!!」


床を蹴り飛ばし、2人は部屋の中央で衝突。

その余波で床は抉れ、壁にはクラックが走る。


「キイイイイイヤァァァァァッッッッッッッッ!!!!!」


髪の毛を連発で突き刺すヘロシティー。

しかし相性が悪いのか、モチェットに届く前に光で焼かれていくばかり。

髪の毛を束ね、まるで青龍刀のようなものを作り上げ一点集中で斬りかかるも、紙一重で回避され顎に掌底をもらった。


ボゴォッッッッ!!!!!


「ッッッッッッッッ!???!!」


床から髪の毛の束が出現。

シュルシュルとモチェットの足に絡みつき、身動きを封じた。

その隙を逃さず、ヘロシティーは右腕の貫手でモチェットの肩を抉る。


「グッッッッッッッッ!!!!!」


「ソーラソラソラソラソラソラッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


貫手の嵐。

腕で防ぐも斬り裂かれていく。

ガード貫通技か。


「キャアアアアアハアアアアオッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


飛んできた貫手を、抉れた肩と頬で挟んだモチェット。

流れるように肘関節付近に衝撃を与えた。


「忘れたかうつけ者めッッッッ!!!!!我は軟体異星人ッッッッ!!!!!関節など存在ーーーーー」


ビリィッッッッ!!!


「ガァァァァァッッッッ!????!!」


「軟体だろうがなんだろうが、その体を構成しているのは所詮細胞だろう…………!!!!!」


軟体動物だろうがなんであろうが、細胞や筋というものは存在する。

光遁はなにも眩しいだけではない。

相手の体の表面部分を柔らかくし、内部に攻撃が通りやすくなる性質もあわせ持つ。

元より柔らかいヘロシティーの皮膚は、超清星白螺により更にフニャフニャに変質していた。


「それに…斬撃はお前だけの専売特許ではないッッッッ!!!!!」


手刀でヘロシティーを斬り刻み返す。

もちろん手刀にも光が纏っているのだ。

ことさら軟体なぞ関係ない。


ザブシャッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!


「グウウウオオオォォッッッッ!!!!!」


たまらずモチェットから距離をとるヘロシティー。

肩で息をするその姿に歌舞伎者の影はない。

しかし、まだまだこちらが優勢だ。

もうそろそろモチェットの光遁の効果が消えるだろう。

それに今さら印を結んだところで、あの出血量。

魔力を練れば、それはそれで負荷がかかる。

あちらを立てればこちらが立たず。

ニヤァと不敵な笑みを浮かべるのは、勝利を確信したからか。

なにも戦わなくてもいい。

相手は死に損ない。

直に倒れる。


(このまま距離を取り続けてーーーーーー)


「距離を取ったつもりだろうが…周りを見てみろ。」

 

「ッッッッ???!!!?!」


ヘロシティーの周りには、なにやら光の塊が浮いていた。

いや、これは塊ではない。

どちらかと言えば………


「れ……レンズッッッッ!!!!!」


「そうだッッッッ!!!そしてッッッッ!!!」


ゴオオオオアッッッッ!!!


モチェットの頭上、天井近く。

巨大な光の塊が浮かんでいた。

そしてその塊から光線が射出。

ヘロシティーの周りに浮いていた光のレンズに反射し、全方向からヘロシティーに突き刺さった。


「シイイイィィィィヤァァァァァァァッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


苦しみもがくヘロシティー。


「殺しはせんッッッッ!!!しかしッッッッ!!!完全捕縛のために再起不能にはなってもらうッッッッ!!!覚悟しろヘロシティーッッッッ!!!!!」


バッッッッッッッッ!!!!!!


モチェットは跳び上がり、手刀をヘロシティーに向け放った。

もう体力も限界である。

いくら殺害が目的ではないと言えど、手加減などはできたものではない。

この一発。

これで全てを終わらせる。


「ゼリャアアアァァァァァァッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


ドヂュッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ






ボタ…………ボタ………


「な……………ゴブッッッッッッッッ!!!!!」


血に染まった腕。

腹を貫き、とどめの一撃として決まった。

問題は……………

モチェットが貫かれていたことであった。

ヘロシティーは目の前にいる。

ゆっくりと後ろを振り返った。


「お……………お前……………ッッッッ!!!」


「悪いな。」


ズブッッッッ!!!


謎の影は腕を勢いよく引き抜いた。

ドバドバと血が流れ出す風穴。

なんとか震える体を支えようと踏ん張るも、モチェットはそのまま力尽きた。


(も…………申し訳………ない………みん……な………。)


「……………………。」


倒れたモチェットを見下ろす影。

すぐにヘロシティーに顔を向き直し、ひどく冷静に口を開いた。


「なに遊んでんだヘロシティー。」


「いやはや、すまない。さすがに遊びすぎたな。」


「遊びすぎたって…死にかけてんじゃねぇかよ。……まぁいいや。行くぜ。」


「ところでボスはどうなされた?無事に逃げれたのか?」


「いや、まだだな。でも入り口にいた異次元人は俺が片付けた。そろそろアイツが合流するだろうよ。」


「いやはや…流石と言うべきか…………【ガンテ】。」


「……………。」


ヘロシティーvsモチェット


ヘロシティー 勝利

モチェット 何者かの介入により敗北

















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