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スペース・ロック  作者: 祈鈴銀
悪虐搾取組織殲滅編
67/74

第67話 今更殊更サラッサラ

カチャカチャと食器についた水分を綺麗に拭き取る銀之助。

どれも綺麗なものである。

カウンターに椅子、テーブル、ありとあらゆる箇所に埃は無く清掃がいき届いている。

店内も明るく、流れている曲も心を落ち着かせてくれる。

そして極めつけは香り漂うコーヒーの香り。

しかし、今この場に居るのは店員のバカ3人とヤクザ上がりのバカ2人。計5人。あとイモムシ。


「……………………。」


癒しの無言ではない。

明らか、全員が余裕の無い切羽詰まったギリギリの空気。

ナトリも何か話そうとはするものの、姉貴分であるサーシャに叱られたばかり。

言い出しにくいのだろう。

隣のモチェットも静かにコーヒーを啜るも、口を開かない。

それを打破したのは銀之助であった。


「パルム悪いけど、ビラ配り行ってくれへんか?サっちゃんもちょい早いけど、アイドル活動の準備しておいで。」


優しい笑顔ではあるが、どこかやつれている。

パルムとサーシャは少し間が空いてから、首を縦に振った。そして静かにタイムカードを切った。

ナトリが小さく、え……?と呟くも、誰も気にしない。

寧ろ、何かを察したようにモチェットが最後までコーヒーを飲み干し手を合わせる。


「美味しかった。流石はマスターだ。」


「ええってことよ。また…おいでな。」


「あぁ、その時はまた。行くぞナトリ。」


「え………でもまだ営業ーーー」 


「ほら。」


無理やりではないが、椅子から立たされそのままカフェを後にする。

その後ろをパルムとサーシャはついていった。


「モキュ。」


「ん?あぁ、よしよし。モス子も散歩行くか?パルムかサっちゃんどっちについて行ってもええで。」


「モキュ〜。」


モコモコと可愛らしい足で外に出ていった。

銀之助は1人店番。

これには理由があったのだ。






「鬱陶しいんじゃボケゴルァァァッッッッッッ!!!!」


「テメェだクソガキがよおおおぉぉぉーーーーーッッッッッッッッッ!!!!」


ドゴッッッ!

バズッッッ!!

ドガガガッッッ!!!


髪の毛や服などを掴み合い、そして殴り合う2人。

ゼクスとアミーノ。

やっぱり喧嘩してた。

先に手を出したのはアミーノの方であるも、やはり大阪人か。ゼクスは警察などに通報せずその場でやり返し。

ヒートアップして、お互いズタボロであった。


「ゼラッッッッッッッッッ!!!」


ゼクスの上段回し蹴り。

アミーノは軽くこれを回避。

イナバウアーの如く背中を曲げた。

そして上体を戻した瞬間、目の前にゼクスの足が迫る。


「あ?」


バギィ゙ッッッ!!!


ゼクスの回し蹴りは2段構え。

右足の蹴りを躱されたとて、身体を少し捻る事によって左足の後ろ回し蹴りが飛んでくるのだ。

顔面にクリーンヒットしたアミーノ。

しかし、まだまだ死んでいない。

少し仰け反ったものの、バランスが少し悪くなっているゼクスの足を引っ掛けこかした。


「ッッッてぇ!!!」


倒れているゼクスに跨り、マウントポジションで顔面を殴打。


「よくもまぁエキスパートである俺っちの顔に傷つけてくれたよなぁっッッッッッッッッッ!???!!」


ゼクスの両腕はアミーノの膝で踏まれているので動かせない。

されるがままに顔面を殴られるゼクス。


「ただのヤンキー如きがポーズトッポ組に勝てるわけ…………ねぇだろうがよッッッッッッ!!!」


重い一撃を振り下ろしたのもつかの間、ゼクスの両足がアミーノの顔面を挟み、マウントポジションから引っ剥がした。

しかし流石は元ヤクザか。

その挟んでいる両足をすぐに押しのけ、倒される事なくすぐさま立ち上がった。

そして顔を上げた時。


「こっちの番じゃワレエエエエェェェェッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!」


右左と連続でパンチが飛んできた。


ズガガガガガガガッッッッッッッッッ!!!!


「ゴハッッッッッッ!!!」


ラッシュ返しを受けたアミーノ。

鼻が少し曲がり、一瞬白目を向くも次に飛んできたパンチを回避し、ゼクスの側頭部に両手を回し顔面に膝蹴りをかます。


ガッッッ!!! 

ゴッッッ!!!


何度も何度も叩き込むアミーノ。

試合ではない。

喧嘩なのだ。

それにレフェリーストップは存在しない。

血走った目で幾度となく膝をゼクスの顔に入れるアミーノであったが、油断したのか今度は逆に自分の側頭部に両手を回されパチキをマトモにもらった。

顔面全体に痛みが走る。唇は自分のギザ歯のせいで数カ所におよび裂傷。

お互いボコボコの腫れ上がった顔。 

あたりは血まみれ。

アミーノはゼクスの腹部にヤクザキックをかまし、距離を取った。

 

「ハァッ…………ハァッ………!!!クッソ………お前みたいなクソガキに使うとはな………!!!」


シュバババッッッ!!!


慣れた手つきで印を結ぶアミーノ。


「火遁…………ボルキーヴァックッッッッッッッッッ!!!!!!」


ゴオオオォォォォッッッッッッッッッ!!!!!


巨大な火球がゼクスに迫る。

ゼクスは驚いた表情でそれを見つめていた。


ドゴオオオオオオオオオオオォォォォォォッッッッッッッッッッッッ!!!!!






トボトボ歩くナトリたち。

ビラ配りを手伝ってもらえる。

それはとても嬉しいものである。

しかし、今は営業中。

確かにビラ配りを手伝ってほしいとは頼んだが、閉店後にしてもらえるものだと思っていた。

自分は頭が悪い。

モチェットは何か察していそうだが、自分にはわからない。

気になったので、悪いかなと思いつつパルムに尋ねた。


「あの………パルム兄貴…。なんで営業中なのに…今手伝ってくれるんすか…?銀の兄貴だけじゃ、営業が…。」


「ん?あぁ〜………大丈夫よ。時間帯的に、お客さん少ないやろし。」


ニシシと笑ってくれるが、どこか無理してるように見える。

そんなものなのか…と納得できないがパルムがそう言うならばそうなのだろう。

それでは何故、わざわざタイムカードを切ったのか。


「もうな…ちょっちキツイんよ。ウチ。お客さんも離れてもうて、稼ぎ的にも。」


それを聞いて目をかっぴらくナトリ。

さすがにここまで聞いたらわかる。

どう考えても自分たちのせいだ。

常連客も恐らく減っているはずだ。

それで稼ぎが減り、この2人は店や銀之助に対して気を使いタイムカードを切ったのだ。

銀之助はそこまでは言っていなかった。

しかし、止めもしなかった。

お互いにお互いを思った末の行動か。


「確かにアンタらとつるんで、常連さんよぉけ減ったよ。確かに減ったけど…そもそもえらいキツかったから。ウチ数字苦手やからあんまりわからんけど、明らか収入も減ってるし。せやから、別に気にせんでええよ。」


「そうそう。というか!せやからナトリくんらには頑張ってもらわんと!俺らがせっかく身を粉にして動いてるんやからよ!な?!」


非常に申し訳ないが、ここまで言ってくれるのだ。

俄然、やる気になるナトリ。

信用を利用してしまってる以上、信用は信用で返すほか無いのだ。


「ハイっす!!!絶対に姉貴たちには恩返しするっす!!!見ててください!!!」


「必ずこのご恩は返す。パルム氏。ナトリとビラ配り感謝する。気をつけて。ここで別れよう。」


気がつけば、近くに黒塗りのセダンが止まっている。

周りにはスーツ姿でグラサンをかけた小綺麗な男女が数人。

車内にはジェリーがこちらに向かい手を振っている。

サーシャも同様に手を振り返すも、口角が歪む。


(見た目からしてもうヤクザやがな…。)


「じゃあ頑張ってのサっちゃん!俺ビラ配りするから!ほな!」


「パル兄もボチボチやるんやで〜!ナトリン!パル兄の言う事ちゃんと聞くんやで!!!」


「ハイっす姉貴!!!」


こうしてモチェットとサーシャ、ナトリとパルムに別れた。

ブロロロロロ……と、セダンを見送りまた歩き出すナトリとパルム。


「せやせやナトリくん。」


「ん?なんすか兄貴?」


「アミーノの事やねんけどさ。なんでアイツ、ボーナと比べられんの嫌なん?」


「あぁー…………誰も居ませんし、言ってもいいよなぁこれ…。じゃあ、説明するっス。」






パラパラ砂利が舞い、黒煙が立ち登る。

次第に薄れる中、アミーノの火遁の餌食になったゼクスが現れた。

アミーノは不敵な笑みを浮かべるも、すぐにその笑顔は消え失せた。


「な………………土壁…………?!!!?!」


目の前に出てきたのは土壁。

ところどころ、火遁で煤けたり抉れたりはしているもののほとんどダメージが入っていない。

これで防いだのだろう。

ならばゼクス本体は…?


「俺の土遁じゃノータリン。」


「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!」


後ろを振り向くも時すでに遅し。

アミーノのみぞおちに強烈なゼクスの後ろ蹴りが炸裂。

アミーノは吐血し、激しく横転。

 

ドサァァァァッッッッッッ!!!


「グ…………ク…………ソ…………。」


ジャリッ


「あぁ………?」


顔を上げるとゼクスがこちらを見下ろしていた。

トドメを刺すのだろう。

そう思っているとゼクスが口を開いた。


「…………………お前ここで待っとけ。動くなよ。ええな、動くなよ。」


なるほど警察を呼ぶのか。

トップクラスで嫌いな組織である。

どうにか踏ん張り動こうとするも、先ほどの一撃が重たかったのか言うことを聞いてくれない。


ゼクスは公園から出ていき、こちらに指を指す。


「動くなよ!!!」


うるせぇよ動きたくても動けねぇわボケ。

長州力の跨ぐなよか。

アミーノはそのまま意識を失う事もなく、ただただ時間が流れるのを待つのであった。

そしておよそ10分しない程度あたりでゼクスは何かを片手にぶら下げ戻ってきた。

何を持っているのか。 


ドサッ!

 

荷物を置き、ヤンキー座りをするゼクス。

肩を貸し、公園の木を背もたれにどうにかアミーノを座らせた。


「オラ。」


「…………………あんだこれ。」


「ええから。オラッ。腕はなんともないやろ。」


ナイロン袋の中にある紙袋。

それをガサゴソとまさぐり、中からそれを取り出した。


「…………………あんだこれ。」


「いや、あんちゃう。白あんでもあらへん。食ったらわかる。」


多分そう言う意味で言ったんじゃないと思う。

マジで何かわからないから聞いてるんだと思う。

話が通じないと思ったのか、アミーノは質問をするのをやめた。


「食えやええから。」


なんなんだコイツは。

俺っちを舐めやがって。

そう思いつつ、一齧り。


「どないや。ええやろ。」


「……………………。」


憎たらしい顔で顔を反らす。

ゼクスになんか言えやと頭を叩かれた。


「何入ってんだコレ。」


「ジャーマンポテト。ウチのたい焼き、50種類以上あってな。その中の総菜たい焼きじゃ。なんかお前甘いの嫌いそうやし。」


「…………………。」


「なんか言えや。」


ポコンッ


「痛ってぇなボケ!さっきからポコポコ殴んな!モグラじゃねぇんだぞ!」


「ほな喋れやボケ!なにがモグラやこっちは坑篭じゃ!」


「なにケツアナ宣言してやがんだ!」


ギャーギャー!!!

ワーワー!!!

……………………


「…………なんて言って欲しいんだよ。」


「お前の感想じゃ。」 


「………………まぁ………悪くないんじゃね。」


「適当やなぁ…。まぁええわ。タバコ吸うけ?」


スゥーッ…


「電子なんざ吸えるかクソ。………チッ…タバコグシャグシャじゃねぇか。」


胸元をまさぐるアミーノ。

出てきたラークはグシャグシャであった。


「俺もアイコスにクラック入っとるわ。どっかの誰かさんのせいで。」


お互いに文句を言いつつ、タバコを吹かす。


「…………この前、お前んとこの社長が頭下げに来たわ。」


「ッッッ!!!ボスが………?」


「社長って呼んだれや。…今更何しに来やがったんなて思ったけどよ。」


「……お前確か聞いた話じゃ…土地変えたんだろ。恨んでねぇのかよ。」


「恨んどるに決まってるやろがボケッッッ!!!アホちゃうかお前ホンマにッッッ!!!せやからお前の社長が来た時ぶん殴ったろうと思ったわ!!!…………そんだら………ーーー」






とある日、急にゴルズが店を訪ねに来た。

最初こそ、ゼクスは前のこともありボコボコにしてやろうと思った。

しかし、ゴルズの顔は包帯をしていてもわかるほどに腫れ上がり、目には青タンができ、スーツは砂ホコリだらけ。しかもところどころに血が滲んでいた。

ゼクスはそれだけで少し困惑したが、演技かもしれない。

それで拳を握り、怒鳴り散らそうとしたが後ろから親父の敦が出てきてそれを制止。


「な……………ええんかよ親父…。」


「もうええ。土地取られたけど、こうやって店続けれてるやろ。それに…見てみぃやコイツ。もうええやろ。これ以上こっち側が手出したらどっちが悪モンかわからんなるて。」


「………………………。」


無言でゴルズを睨むゼクス。

ゴルズは土下座を続けている。


「ゴルズはん…アンタ、謝りに来ただけとちゃうやろ。なんかあるな?取り敢えず言うてみぃ。」


そうしてゴルズは顔を上げ、これまでの迷惑をかけたことの謝罪、そしてこれからの理想論を語り出した。

何を寝ぼけたことをとゼクスはイライラしたが、親父の手前手を出すわけにはいかない。


「…………えらい遅かったな。これから頑張るから見ててほしいて事やろ。わかった。顔上げぇ。ほんで………これ、形崩れやけど持っていきぃな。」


敦は不揃いたい焼きを紙袋に詰めてゴルズに差し出した。


「親父…!!!」


「ええてええて。なんかもう、宇宙貿易始まって色んな事もあったやろ?確かにポーズトッポに迷惑かけられてきたよこっちは。でもの、逆を言えばコイツらがおったから、変なほかのもんらが好き勝手できへんかったところもあんねん。それに………」






「同じ町の住人やろってよ。甘いんだか優しいんだか。」


フゥーッとタバコを吹かす。

哀愁漂うゼクス。

横に居るアミーノは、時折タバコ、時折たい焼きをほじくっていた。


「社長が変わろうと頑張ってんのに、お前がこんなんしたらアカンやろ。ちゃんとしろや。」


「……………なにがわかんだよお前に…。」


「なんもわからんわボケ。なんで俺が自分の事知っとんねん。言いたいことあるんなら喋れや。」


「…………………………。」


しばらく無言が続いた。

ゼクスのタバコは残り2本。

そのうちの一本を口に咥えた時。


「…………………裏社会で生きてきた人間が…今更表に出ろって言われても…………無理に決まってんだろうが…………。」






アミーノは望まれて生まれてきた生命ではない。

不倫の末、生まれたのだ。

男が不倫相手を孕まし、おろせと言っても相手は聞かなかった。

そして周りの意見を無視し、女は子どもを産みアミーノと名付けた。

しかし、母親はアミーノに対して1ミリも可愛いと思えなかった。

産後鬱だったのかもしれない。

そもそも、愛が欠缺けんけつしていたのかはわからない。

ただ、アミーノは一切愛された事が無かった。

母親は男と惜しくも別れ、その寂しさを埋めるかのようにとっかえひっかえで男を家に連れ込んだ。

アミーノは邪魔でしかなかった。

そしてアミーノが中学生のころ、母親の彼氏が母親に暴力を振るっているところを見かけ、殺害。

人生で初めての殺し。

アミーノは確かに母親には愛されなかった。

ただ、アミーノは母親を少なからず愛していた。

大丈夫?と声をかけたが、返ってきた言葉で全てが壊れた。


「バ……………バケモノ………!!!人殺し!!!こっち来るな気持ち悪いッッッ!!!」


そこからはあまり覚えていない。

少年院で過ごしていたが、喧嘩や犯罪はしょっちゅうであった。

何度も注意され、何度も警察の世話になった。

そのように過ごしていたある日、夜の街を歩いていた時に男と肩がぶつかった。


「おい。無視かゴラ。」


男の肩を掴んだその時。

今まで喧嘩してきたやつらと何かが違う。

オーラから来るものなのか、全くわからない。

しかし、ここで退くのも考えられない。

その男は静かに振り返り、こちらを見つめる。

目が合った瞬間にわかった。

表の人間ではない。

アミーノはビビってしまった。

そしてそのビビった自分の腹立たしさを誤魔化すかのように、男に殴りかかった。


「元気いっぱいだな。感心感心。」


直後顔面に拳がめり込み、そのまま地面に叩きつけられた。

その男こそがゴルズだったのだ。

そこからゴルズに拾われ、台本のようにトントン拍子で裏社会入り。

身体に和彫りを入れ、ポーズトッポ組のエキスパート(自称)となったというわけだ。


「ほぉー、なるほどな。似てるな。」


「あ?誰に。」


「俺に。俺も母親が男作って逃げていきやがったからよ。よぉくわかる。」


「…………父親いるくせになにが似てるだ…。」


「お前で言うたらゴルズのおっさんがそれとちゃうんか。」


「……………………。」


「ていうか、まだあのクソボケ出てきてへんやんけ。いつ出てくるんな。」


「あのクソボケは今からだ。」






クソボケで通じるこの男、ボーナ。

アミーノはゴルズに拾われ、ヤクザとして生きた。

当然ではあるが、周りには自分と似た境遇でヤクザになったものが複数いた。

それが、モチェットやナトリ、ジェリーにマヤ。

兄弟のように思っていた。

そしてゴルズから教わったものを全て吸収し、借金取り立て、土地回収、恐喝、喧嘩、町を荒らす外道の殺人。全てやってきた。

初めて真っ当に認められた。

喜びは凄まじいものであった。

ゴルズの事を心から尊敬し、本当の父親のように思っていた。

ただ、唯一認められない存在が居た。

それがボーナだった。

ボーナだけ、特殊で悲惨な過去が無い。

寧ろ恵まれた境遇に思えた。

ボーナは教育虐待の末、大手宇宙銀行を追い出され、地方の地球にある銀行に異動。しかしそこでもプライドの高さ故に仕事を辞め裏社会に入ってきた。

言わば、インテリヤクザ。

そんなやつに負けるかと常々張り合っていた。

これまた嫌らしいことに、ボーナは仕事も頭も良くそのエリートさを思う存分に発揮していた。

喧嘩も同レベル。

仕事も同レベル。

いや、本当の事を言えば全て向こうが上回っていたのだろう。

そこでゴルズに言われたのが、地方のポーズトッポ組への異動。

飛ばされるのは、ボーナ含むほかの者たちだろうと高を括っていたが、まさかのボーナは残り自分が飛ばされることになった。

勿論ゴルズには抗議した。

何故自分が、自分は組のためにここまで頑張ってきた。

そう激しく語ると、ゴルズはゆっくり口を開いた。


「だからこそだ。お前みたいなエキスパートに地方を任せたい。ボーナはまだまだ任せられるほどじゃないからよ。」


アミーノは快くなかった。

まるで言い訳にしか聞こえなかったからだ。

しかし、せっかく任されたデカい立場。

断ることもせず、アミーノたちは地方に散らばっていった。






「で、帰ってきてアイドルしましょうってか。そらわけわからんわな。」


「………………。」


「あのクソボケを見返したかった。でも地方から追い出されて帰ってきた。クソボケは足洗って堅気に戻って、ドンはヤクザを辞める宣言…。そらついて行かれへんわな。」


「…………………………。」


「でもよ、わざわざ戻ってこい言うて、そんな事言うってお前を大事やと思ってるからやろ。それに、嫌やったら辞めたらええのにお前も残ってるんやし。せやろ。」


「…………………。」


アミーノは睨むだけでなにも言わない。


「なんか言えやカス。」


「チッ。」


「あほくさ。もうええわ。取り敢えず、そのたい焼き残り食えや。かぁ〜、けったいなもんやでホンマに。せっかくの休憩時間潰しよってからに。」


ゼクスはゆっくり立ち上がり、その場を後にした。


「せっかく変えようと社長が頑張っとるんや。無下にしたんなよ。」


そう言い残して。








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