第103話 パッフェ&クレープブラザーズ 後編
もわぁぁぁぁぁ
屋姫の家から漂う異臭。
なにごとだろうか。
白々しいか。
いや、尻尻しいと言うべきか。
「む!??兄ちゃん!!!なんか臭いよ!!!」
「そこはかとなく危険な香りだ!!!というか!!!お前なんだそれ!!!髪の毛か!??!!」
「そんな事より、とにかくここから離れよう!!!もしかしたら、強盗対策でなにか装置でも作動したのかも!!!」
屁です。
そんなことはいざ知らず、2人はハンカチで口元を押さえその場を離れた。
屋姫の家全体は大丈夫なのだろうか…。
「タバコタバコ。」
近所のパッチ姿のおっちゃん。
タバコを吸うためにベランダをガラガラと開けた。
カチッ
シュボッ
「………………ん?ぁクサッッッッ!!!!!」
ガラガラガラガラ!!!
ピシャッッッッッッッッ!!!
しかし、この異臭に対し誰一人として通報はしない。
この辺ではよくある話なのだろう。
あってたまるか。
「う〜む…しっかしどうするか…。ベルトは2本しかないからなぁ…。」
「一つはカフェ、一つは屋姫の家。カフェの方はヤクザがいるし、屋姫の家は毒ガス装置が作動してる。どうしようか。」
腕を組み、う〜むと唸るクソボケ兄弟。
このままでは示しがつかない。
手ぶらで帰ろうものなら、今度こそ盗賊団から追い出されてしまう。
リーダーからの信頼はもはや底をついている。
周りのメンバーにも笑われてしまう。
どうしたものか。
「ほかのものでも盗む?」
「いや、優勝ベルトクラスを持って帰らんと白い目で見られるはずだ。」
「ポーズトッポの看板とかは?」
「かなり命がけだな…、しかしこの際だ…。背に腹は代えられん………ん?」
何かに気づいたパッフェ。
そこには、買い物袋をぶら下げて歩いている一人の女性がいた。
何を隠そう、屋姫の家のマザーである三木文里子であった。
「………………。」
ポンッッッッ
パッフェは拳を叩いた。
クレープが先ほど残酷に毟り取ったサーシャの髪の毛。
それを受け取り、指でつまむ。
「そうか!!!兄ちゃんにはこれがある!!!」
「その通りだ弟よ!!!寧ろよくやってくれた!!!遠回りこそ近回り!!!いつでも俺たち兄弟は勝利の女神に微笑まれている!!!」
パッフェは印を結んだ後、髪の毛を優しく胸に抱いた。
なにしてんのコイツ。
………するとどうだ。
パッフェがジワジワとサーシャに変身したではないか。
「よっしゃ!!!身長から顔から体重からなにもかも三木サーシャになった!!!」
「さっすが兄ちゃんの変身魔法!!!どこからどう見ても完璧だよ!!!」
「ベヒヒヒヒヒ!!!」
「ボヒヒヒヒヒ!!!」
まぁ!なかなか聞いたことのない笑い方!
アホみたい。
なんやベヒヒヒヒヒてボヒヒヒヒヒて。
アホ2人は軽快に走り出し、文里子を追いかけた。
何をするつもりなのだろう。
「はぁ〜重たいわぁ…。」
ガサガサと買い物袋を揺らし、家を目指す文里子。
中には食材や洗剤などが詰まっている。
「サっちゃん腰大丈夫かなぁ。」
「おかーさん!!!」
「ん?」
どこからともなく急に現れたサーシャ。
ヒョイッと買い物袋を取り上げ、当然のように肩を並べた。
「サっちゃん!!!もう腰は大丈夫なん?」
「ん?腰…………?…………んあぁ!もう大丈夫やで!!!トーナメント優勝するぐらいの実力なんだから!!!へっちゃらよ!!!屁だけに!!!」
どうにか上手いこと演技を披露するパッフェ。
関西弁は本と動画で学んだ。
アクセントも問題ない。
テンポもリズムもお手の物。
(よし…めちゃくちゃいいよ兄ちゃん!!!どこから見ても完璧そのもの!!!パッフェのパッフェはパーフェクトのパッフェだもんね!!!)
意味不明。
文里子はキョトンとしたもののゆっくりと笑みを浮かべた。
愛娘が元気になってくれたのだ。
越したことはない。
「学校も休んでもうたんやから、わざわざ迎えに来てくれんでもええのに。」
「ううん、元気になったからはやくお母さんに会いたかったのよ!」
「そっか…嬉しいこと言うてくれるわ。ところで…………」
目線を横にやる文里子。
「この方どちらさん?」
そこにはクレープがいた。
そこってか、超至近距離。
なんならパッフェの横にいた。
コイツ真横で兄貴応援してたのかよ。
「……………………?」
なんでお前が不思議そうな顔してんだよ。
しかもなんも考えてねぇし。
パッフェは笑顔で、クレープと文里子の顔を何度も交互に見返した。
多分脳内フル回転してると思う。
「あぁ!私の友達!同級生のクレープくん!イケメンやろ!」
「どもっ!クレープでっす!」
クレープは兄を一瞥。
流石だよとでも言いたいのだろう。
文里子は口を押さえ、少し驚いた。
サーシャが男友達を連れてくるなんて初めてのことだったからだ。
「こんにちは〜、私サーシャの母親の文里子って言います〜。クレープくんイケメンやねぇ。」
「どもども!おばさまも美人さんで!」
「んんんんっっっまぁ!!!上手やわ〜!!!」
その時だった。
強めの風が横切り、クレープの伸びた右側の髪の毛がフワリと浮いた。
「ッッッッ!!!」
急いで右目を隠すクレープ。
見られた。
というより、見せてしまった。
顔半分近くまで大きく腫れた目。
魔眼。
気味悪がられただろうか。
「おっきいお目々なんやね。」
「………ごめんおばさん…気持ち悪かったでしょ…。」
文里子は不思議そうな顔で首を横に振った。
「ぜ〜んぜん?ここ大阪やで?どんだけ色んな異星人おると思ってんのよ。というか、地球人でもヤバいもんだらけなんやから!可愛らしいもんやで!」
歯を見せワッハッハと笑い飛ばした。
奥歯の銀歯が綺麗に光っている。
クレープは間を置いたあと、微かに微笑んだ。
「それにサっちゃんの友達なんやから!ほら、行こ行こ!」
元気よく3人は歩き出した。
温かい。
日差し自体もそうであるが、人の温もりを久々に直接味わえた。
なんて素敵なんだろう…。
兄以外の両親含む親族からは奇形と罵られ、忌み嫌われ…通りすがりの人にジロジロと見られ…学校では虐められた…差別は日常茶飯時だった。
なんでこんな顔で生まれてきたんだろう。
そう思っていた。
文里子のセリフが例え嘘だったとしても、この嬉しい気持ち自体にに嘘はないとかなんとか色々いい感じに語ってるけどコイツらコソドロやぞ。
なにをええ感じの雰囲気になっとんねんて。
「……………ちょっと先にこれ置いてくる!!!行こうクレープ!!!」
「え…あ、う…うん!!!」
2人は急に走り出した。
買い物袋がバサバサと揺れている。
一人その場に取り残されてしまった文里子。
「………………?」
「ちょっとちょっと兄ちゃん!!!どうしたのさ!!?!」
「…………すまん、ちょっと………な。」
恐らく、あの屈託のない笑顔と優しさにやられそうになったのだろう。
まるで聖母マリア。
屋姫の家というシオンの丘の母なのだ。
あのままずっと歩いてもよかったのだが、パッフェはどこか申し訳なくなってしまったのだろう。
「……………。」
「兄ちゃん……………。」
ウィーーーーーーーン…
右手側からシニアカーに乗ったおじいさんが低速でやってきた。
白目をむき、ヨダレを垂らしている。
大丈夫だろうか。
しかし、運転テクニックは玄人そのもの。
シワシワで木のような見た目だが、まだまだ生きている。
おじいさんは強い。
トントン
「ほぁ?」
何を思ったのか、パッフェはおじいさんの肩を優しく叩いた。
「これあげる。」
「へぇ?いいのぉ?ありがとねぇ。」
おじいさんは、シニアカーのカゴに買い物袋を詰めそのまま発進。
その後ろ姿はどこか幸せそうだったという。
人のもの勝手におじいさんに譲ってなにがしたいのコイツら。
「兄ちゃん…………。」
「……クレープ…戻ろう。」
「戻るって………どこに?」
「………難波に。」
「え………ベルトはどうするのさ!!!」
複雑そうな表情を浮かべるパッフェ。
確かに、盗賊団グループに戻りたい気持ちは山々だ。
しかし、なにか心にひっかかるものがある。
ならば答えは一つ。
「変えようと思う。」
「え?変えるって?」
「あのカニ道楽の足…アレをいただこう。それで…またリーダーたちに認めてもらおう。」
さっきから頭が痛い。
あんなもん盗んでどうするんだ。
盗んだとしてなにがどう認められるというのか。
しかし、それがどうしたと言わんばかりに2人はとても勇ましく、いい顔をしていた。
「…………そうと決まれば、あの人に見つかる前に行動ーーーー」
「あ〜、もう冷蔵庫になおしてくれたん?!早いわぁ〜!ホンマ助かる!!!」
遅かった。
悩んでいる間に、文里子との距離が縮まっていた。
しまった………パッフェたちは一瞬だけそんな表情を浮かべたが、すぐに笑顔に戻った。
「当たり前よ!!!じゃあ…ちょっと遊んでくる!」
「え?遊ぶってどこ行くんよ?サっちゃんアンタ今日学校休んでるんやで?」
「たまにはズル休みズル休み!!!ブヘヘヘヘヘ!!!難波行ってくる!!!」
2人が急いでこの場から離れようとした時、文里子に声をかけられた。
「………私も行っていい?」
「………………ん?」
「2人っきりのデート邪魔するようで申し訳ないんやけどね。そんな気分。アカン?」
可愛らしく首を傾げてこちらを見つめてくる聖母。
何を考えているのだろうか。
パッフェとクレープはお互いに顔を見合わせ、つい頷いてしまった。
そして、電車で難波へと向かった。
「あ〜!!!可愛い!!!これサっちゃんに似合うんやない!??!こっちはクレープくん似合うわ!!!」
「そうですかね〜!!!ボヒヒヒヒヒ!!!」
なんばマルイの服屋巡り。
「やっっっっっっぱり!!!大阪は食い倒れ!!!泉北もええけど、ここ来たらほんまに美味いもんだらけやからね!!!」
「そうズルルルルルやね………ズルルルルル!!!」
「神座美味い!!!ありがとうおばさま!!!」
「ウフフフ。」
なんば商店街での食べ歩き。
仲良く3人デートを満喫していた。
そして夕日が眠る準備に取り掛かった時間帯。
文里子はドン・キホーテの観覧車に乗ろうと提案した。
道頓堀大観覧車・えびすタワーである。
ガガコンッッッ
ゆっくりと動き出した観覧車。
中はあまり広くなく、椅子が横並びで鎮座している。
遊園地などで見る、両サイドに座るタイプではない。
「ひゃ〜!高い〜!」
クレープの目がキラキラと輝いていた。
右目も、左目も。
パッフェも両膝に手を置き、窓ガラス越しに景色を眺めていた。
「…………綺麗…。」
「ね〜…ホンマに…。昔…サっちゃんが小さい時にママと一緒に来たの覚えてる?」
「え……あぁ…アッハハ!!!そりゃもちろんーーーーー」
「…………ウッフフ…覚えてるわけないか…。あの時サっちゃん…まだちっちゃかったし…なにより…アンタ、サっちゃんちゃうもんな…。」
「……………え?」
「あの子はねぇ…私のこと【ママ】呼びするんよ。それに、アンタの関西弁…それ兵庫あたりのやから。」
頬杖をつきながら、いたずらな笑顔を2人に向けた。
パッフェは静かに目を閉じ、変身魔法を解いた。
「………凄いですね…。」
「あら、イケメンやないの〜。変身魔法かぁ〜………十分凄いで…お兄ちゃん…。」
「…………………。」
「いつから気づいてたんですか。」
「最初から。お母さんて呼んだあたりから、あ〜なんかあるんやろなぁて思ってたよ。」
「……………ッハハハ…実力不足でしたか…。」
「いや、すっごい似てたで。そっくりやった。やっぱり魔法とか凄いなぁて思う。その前に、お兄ちゃんの実力が凄いんやろうけど。」
「……………僕がですか。」
「うん、クレープくんもイケメンやし。アンタら兄弟?」
静かに首を縦に振るクレープ。
文里子は話を続けた。
「サっちゃんに変身して、なにしようとしたん?ただのイタズラではないんちゃう?」
「…………………。」
黙りこくる2人。
そら「ベルト盗みたくて!」なんて言えんわな。
「ごめんやで?うちお金あらへんで。」
「………え?」
「最近多いから…。強盗とか闇バイトとか…。でもな、ポーズトッポてとこが自警団として守ってくれてるんよ。せやから数は減ってるんやで。前までヤクザやったのになぁ〜。」
バレていた。
そして知らなかった。
もうあのカフェで寛いでいたやつらはヤクザではなかったのだ。
自警団。
体を張って泉北を守っているのだ。
それに比べて自分たちはどうだ。
「ほかになんか欲しいもんでもあった?」
「…………ベルト…トーナメントの…優勝…ベルト。」
「あぁ〜なるほどねぇ…。でもアカンでクレープくん?あのベルトはサっちゃんが頑張って手に入れたもんやから。」
「…………………。」
軽く頷くクレープ。
申し訳なさが顔に出ていた。
「不思議やと思う?優勝したのにお金無いって。」
「え……あ……そう…ですね。あのトーナメント…賞金がかなり出たはず…。」
「あの子ね…賞金のほとんどを…トーナメントに参加した人にあげたんよ。」
「…………参加した…選手に…?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
サーシャがベルトを担ぎ、家に帰ってきた。
妹や弟たちは盛大に出迎え何度も姉の名を叫んだ。
ドーザーもこの時は生きていた(死んでない)。
最初こそ、サーシャもノリノリだったのだ。
「姉ちゃん優勝おめでとー!!!」
「めっっっっっちゃくちゃかっこよかった!!!」
「ダーハッハッハッハッ!!!当然よ当然!!!みんなのお姉ちゃんやで!!!ニシシシシ!!!」
腰に手を当て、高笑いするサーシャ。
ミトンをはめた文里子と目があった。
「サっちゃん…お帰り。」
「………ただいま。」
にっこりと笑う顔を見れば、可愛い女子高生なんだと再認識させられる。
「お姉ちゃん優勝賞金どこー!!!」
はしゃぐ妹。
それを聞いた途端、サーシャは顔を曇らせた。
そしていきなり両手をつき、頭を下げたのだ。
「ごめん………ごめんみんな………。」
その様子になんだなんだと混乱する家族。
文里子が心配そうに声をかけると、サーシャは泣きそうな声で語り始めた。
「お金……あんまり……家に入れられへん…。」
「え…?」
「トーナメントに参加してた人ら…みんな辛い…しんどい思いの人たちばっかりやった…。せやから…せやから……………」
「……………。」
ポン………
「………ママ。」
長女の肩に優しく手を置く母。
その瞳から、とても深い愛情が感じられる。
「ええんよサっちゃん。それに…誰も家にお金入れてなんか言うてへんがな…。な?確かに家お金あらへんよ…でも、可愛い愛娘を当てにするほどやない。」
「……………………。」
「無事に帰ってきてくれた…それだけで十分。ありがとう、サっちゃん。」
サーシャを包み込むように抱きしめる。
周りの兄弟たちも、少し残念そうな顔をしているが納得しているようだ。
そしてその夜は、家族で楽しく食卓を囲んだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「…………………。」
いたたまれない2人。
自分たちは認められるために盗みを働こうとしたのだ。
恥ずかしいなんてものではない。
情けない。
「パッフェくんやった?変身魔法に条件とかはあるん?」
「え……まぁ…DNAがついたものがあれば強いですが、思い入れが強い物でもやろうと想えば…。」
「めっちゃええやん。介護士とか、人に優しく接する仕事とかええんちゃう?形だけになるかもやけど、大切な人にまた会える…。そんな優しい魔法な気がする。」
目を見開くパッフェ。
自分は介護福祉士を持っている。
なのにそんなこと、考えもしなかった。
優しい魔法。
そんな事を言われたのは初めてだ。
「自分…介護福祉士持ってて…でも…、人間関係で…どこも続かなくて…。」
「変な職場は辞めたらええ。地球で働いたことある?受けてみてもええんちゃうかな。盗むのは、物やなくて仕事そのもの…どうやろ。」
「仕事…そのもの…。」
思いがけない言葉だった。
なぜ横にいる女性はここまで真摯に接してくれるのだろう。
そしてなにより、この状況が心地良い。
盗賊団として認められるために地球に降り立った。
なのに、今は心がときめいている。
心を奪われたような感覚。
悪くない。
沈みかけている美しい夕日が、3人を照らしていた。
「今日は…ありがとうございました。」
数奇な出会いだった。
頭を下げる2人。
観覧車を降りた時に、既に日は沈んでいた。
周りは薄暗い。
家まで送っていくとパッフェは伝えたが、文里子は断った。
どうやら本物のサーシャたちがこっちに向かっているらしい。
たまには泉北外で食事を楽しみたいのだろう。
本格的なズル休みの日である。
ちなみに腰は屁が出た勢いで治ったようだ。
間接的に、デザート兄弟は手助けをしたこととなる。
「今日は楽しかった。ありがとうね2人とも。元気で。」
手を振り、文里子と別れた。
パッフェは、少し歩こうとクレープを散歩に誘った。
「…………俺さ…もっかい…やってみようかなって思う。」
「もっかい……って…?」
「仕事…それに…社会福祉士…また勉強してみようかなって。」
「……………うん、応援する。兄ちゃんだったらできるよ。俺もまた色々やってみたい。」
お互いに見つめ合う。
そしてニカッと歯を見せ、拳を合わせた。
たった一人の女性との出会い。
出会い方はとても綺麗なものとは言えなかったが、終わり良ければ全て良し。
2人はまた一から、いやマイナスから歩き始めようと決心した。
いつ以来だろうか。
こんなにもやる気に満ちあふれた気分は。
ありがとう…三木文里子。
この恩はいつか必ず…
「あぁ!!!いた!!!コイツらだ!!!」
「???」
「???」
後ろから叫び声が聞こえてきた。
振り返ると、包帯を巻いた男がこっちを指差していた。
板チョコ事件のあの被害者の男だった。
よく見ると、両脇にはゴツいワニのような異星人が2人。
ボキボキと拳を鳴らしている。
「なぁるほど…確かに確認はしましたぜ?」
「ど〜も、ゲンコツ一発3000円。ワニワニ商会です。話は聞いてるぜ。急に依頼主様をボコった上に板チョコを盗んだとか?」
「これは重罪だなぁ?」
にじり寄る筋肉ワニ。
パッフェとクレープは目が点になっていた。
「……………え???え…………え????えちょ……あ……あぁぁぁ???!!いや待って!!!めっちゃいい感じに終わりそうだったんだねねてねぬへれれへッッッッッッッッッッッッあ!!!!!!!!」
「それでは…………失礼?」
「待って!!!!!いやマジで待ってって!!!!あいや、ちょ………イヤアアアアァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!文里子さん助けてええええええぇぇぇぇッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
男2人の声が夜の街に響いた。
「ママ〜!!!どこ行こっか!!!」
「どこ行こうかな〜♪」
「ね〜?そういや、友達と久しぶりに会えたんやんね?楽しかった?」
「うん…楽しかった。ウフフフ。」
無事、サーシャたちと合流できた文里子。
とても微笑ましい家族愛。
どこに行こうかとウキウキではしゃいでいる。
ドーザーもあの世から生還したようだ。
仲良く家族で難波の街を練り歩く。
ピーポーピーポー!!!!!
「ん?」
サーシャたちの目の前には救急車と野次馬たち。
男二人が担架で運ばれていた。
「え〜なに〜?喧嘩ぁ…?嫌やわぁ…顔ボッコボコで原型わからんやん…。」
口に手を当て、怖がる文里子。
サーシャはそんな文里子の手を強く握る。
「怖いなぁ。でも大丈夫やでママ!!!ウチもおるし、頼れる弟と妹もおる!!!いつでも守るやで!!!」
「ありがとねサっちゃん。それにみんなも。」
家族はその場を後にした。
野次馬曰く、担架が救急車に入る直前とある声が聞こえたそうな。
「や………やっぱり………………無…………理。」
「兄…………………ちゃん……………グフッ………。」
終わり良ければ全て良しである。
チャンチャン♪
「ん?サっちゃんハゲた?」
「ドーちゃんに毟られたんよ!!!酷いことする弟やわ!!!」
「毟ってへんて!!!」
今度こそチャンチャン♪




