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グレーゾーンを行く俺氏

ーーーさて、どうしたものか。


 俺は今、ある意味、学院生活最大のピンチをむかえている。


 今俺を含めた一部の生徒達は、正四面体(俺的にオシャレな形)のガラス張りの建物に入れられている。


 詰まるところ、もう時期失格となる生徒達の、待機所のような場所だ。


 「はぁ、まずい……非常にまずい」


 まさかこんなにも装置のダメージ判定が緩いとは、今になっては言い訳にしかならない。 


ーーー《マスターはこのまま諦めるのですか?》


ーーーまぁ、ぶっちゃけ負けても勝っても、俺に支障はないしなぁ


ーーー《負け惜しみですか》


ーーーうるせ……でも、レシファさんとの約束もあるし〜


 てなワケで俺はこの試合を突破しなければならない。


ーーーここからフィールドまでの距離は……二十メートルくらいか


 「で、残りは三十人ちょい」


 うん、結構ピンチだ。俺。


 ついでにレオがまだ、バカスカと高威力の魔術を発動しているおかげで、十秒に二人は脱落者を出している。


 

 

 ここをぶち壊して、強引に試合に復帰する考えが浮かぶ。


 「無しだな、考えるまでもない」


 では、バレないような場所に穴を開け、フィールドまで繋ぐか。


 「時間かかるし、繋がっても出る時バレやすいな」



 そんな感じに、ブツブツ独り言を呟きながら考えていると、



 「ん? ……あっ! これあったじゃん」



 ネックレスのように首に掛けている、紅いルビーのような宝石を取り出す。


ーーー渡る紅玉(エルーシブ)……まさかこんな時に使うなんてな


 そう思いながら、鹿(ホルン)に感謝する。


 「おっと」


 発動させる前に確認しておくことがあった。


ーーー腕の模様は……よし、紫に戻ってる


 これで準備は整った。


 大丈夫だ。ルール上では、試合が終わった時点でここにいる者は失格になるのだから、参加していれば問題ない……はずだ。


ーーーまいっか、バレなければ問題ない


ーーー《バレたらギリギリアウトですけど》


ーーーそこは何とか俺の技術で頑張る



 そして俺は急いで隠密(ステルス)を発動させる。



ーーーあー、レオさんや! もうちょっと魔術を控えてくれないか


 既に残り選手は二十名を切った。


 これではなかなか誤魔化しきれない。


ーーーくそ、行ってやるぜ!


 「○ーラ……!」



 ▽


 「はぁあ!!」

 「ぐぅ!」


 すぐ目の前で、戦いを繰り広げている選手を確認できる。


ーーーよし、成功したな


 「にしても……」



 ガラス張りの建物から見ているだけでは伝わらない、土煙や焦げたにおい、爆風など開始前半とは一味違ったリアルさが伝わってくる。


ーーーこの真剣な空気の中にひょっこり俺出てきていいのか?


 と思いつつ、一人の男子生徒に目をつけた。


 「この人には悪いけどしょうがない」


 その生徒に向かって、俺は魔術を発動するのではなく、魔力の固まり自体をぶつけた。

 魔力だけぶつけることにより、ダメージを抑えることが出来る。


 「だれだ!?」


 生徒は振り向くが、姿を消している俺を勿論見つけられるはずがない。


ーーーはい、もう一発どうぞ


 というふうに、次々と魔力をぶつける。

 同時に、相手の死角に入りながら徐々に透明化を解いていく。


 「そこにいたか!」

 

 そして、完全に隠密(ステルス)を解き、相手が俺を見つけた瞬間に、


 「とうっ」


 お得意の睡眠(スリープ)で無力化する。


ーーーど、どうだ? 戦っている人達には大丈夫だろうけど、見てる人達にバレてたんじゃね?


 と思い、上級生達の方へ視線を移す。


 

 「うん、余裕でバレてたな」



 幸い、教師にはバレていないようだ(見て見ぬふりをしていたのかもしれない)が、サバン達生徒会にはバレバレで、サバンに至っては俺を見てひとり大笑いをしていた。因みに他は特に反応無し。

 最近存在が空気になりつつある、サラにもバレていたようだが咎める様子はない。


 「てことはルール上ありなんすかね?」

 「“大地の洗練(スパイク)”!」

 

 どうやら俺は、またもや油断してしまったようだ。


 「っぶねぇ……」


 なんとか回避し、発動した生徒を見る。


ーーーげっ、俺をやった人じゃん


 その生徒は、先程倒したはずの俺を見て一瞬驚くも、気を取り直して詠唱を始める。


ーーーこの女の人って、確かエスラさんだっけ?


 レシファが予想した決勝進出者候補である。


ーーー悪いけど俺も負けられないんでね


 と、俺はエスラが詠唱を唱え終える前に、眠らせた。



 『そこまでぇえええ!!』


 

 エスラを倒した事により、俺を含めた六名の決勝進出者が決まった。

いつも読んでいただきありがとうございます!

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