一年生から見た上級生って、物凄い威厳あるよね
遅れてすいません。
「お疲れさまです、レオ」
試合が終わり、レオの元へ駆け寄る。
「ああ、つかお前やられなかったか?」
「え、えぇ? なんとことでしょうか」
ーーーげっ、気づいてたのか
「まぁいい、ここまで来たらお前も本戦出場しろ」
「そのつもりですが……応援してくれてる?」
「どう捉えても別に構わん」
唐突な小さな“デレ”に、俺のハートはずっきゅん。
「はいぃ! 頑張っちゃいますよー!」
「急にどうした」
「なんでもないですよ〜」
と、俺とレオが仲睦まじくしている最中、やはりと言うべきかあの男が現れた。
「いや〜、凄かったねぇ二人とも」
「さ、サバン・オブジェだ」
「まだ俺らに絡んでくるのですか」
またもや現れたサバンに、今までサバンが入ると口を開かなかったレオも、とうとう呆れたのか面倒くさそうにそう聞く。
「二人に興味があってね、おもしろいから飽きるまでどんどん絡んでいくよー」
ーーーなんて厄介な人なんだ
と、そこでレオが
「友達居ないんですか?」
渾身の一撃を叩き込む。
「ノーコメントで」
これはどういうことか、笑みを崩さずにそうサバンが流した。
「それより、俺らに何か用ですか?」
少し沈黙が流れたので、俺が話題を切り替える。
サバンはそうそうと思い出したかのように続ける。
「ツダ君、キミさ〜、一回失格にならなかった?」
「なんのことです?」
悟られないよう、表情を変えずに聞き返す。
「なんのことって、俺見てたよ? キミが建物からワープしてこっそり参加していたところを」
ーーーはい、知っております
「……」
「いやさ、別に結構気づいてる人いるから、言いふらそうとかじゃないんだ……それより気になるのがさ」
とサバンが言った時、彼の目つきが鋭くなる。
「どうやって彼処から瞬間移動できたわけ?」
ーーーやっぱりそこですよねー
「学校のやつは一方通行だよ、それをキミは往復する形で戻ってきた。それはキミがその装置か何かを別で持っていたに違いないんだよ」
ズバリ俺の持っている宝物のとこを言われ、どう逃れようか必死で考える。
「……それは先輩に教えなければならないのですか? 俺が苦労して手に入れた方法をいとも容易く先輩に教えろと? それは少し図々しくありませんか?」
少し怒ったような口調で反発してみた。
するとサバンは先のような鋭い目つきを、普段のおっとりした目つきに戻した。
「それもそうだね、気を悪くしたのなら謝るよ」
と言って彼は頭を下げた。
「いえ、こちらも少し興奮してしまいました。失礼な態度をとってしまい申し訳ありません」
こちらも軽く頭を下げる。
「まぁ、ツダ君は今更感あるけどね」
「うぐっ」
今までのことが思い返される。
ーーー腹パンに腹パンに腹パン……
「そ、それより頑張ってくださいね準決勝」
「勿論さ」
最後にそうやり取りをして、彼はこの場を去って行く。
「ふぅ、疲れた」
「おい」
やっとサバンから解放されたと思ったら
「やはりお前は一度失格になっていたらしいな」
ーーー今度はレオかぁ
ーーー《仕方ありませんよ、全てはマスターの油断から始まったことなのですから》
この後、レオの追求を言葉巧みに躱す俺を、遠くに居るサバンがニヤニヤと伺っていた。
▽
『さぁ、続いては二学年による準決勝、バトルロイヤルを始めます!!』
少しの休憩時間を挟み、フィールドにサバンとカラを始めとした約百五十人の二学年が集まる。
『ルールは一学年と同様です、では各々配置についてください』
そう促され、集まっていた選手は散り散りになる。
『それでは開始まで……五、四!』
ーーーサバンさんは残って欲しくなくても残るよなぁ
『三、二、一……始めぇええ!!』
開始の合図と共に、一斉に各方向から詠唱する声が聞こえてくる。
そしてほぼ同時に魔術が発動される。
すると、発動が遅れたのか躱すことが出来なかったのか、早くも数名の脱落者が出てきた。
「見る側になるとこんな感じなんだ……」
俺が呟きながら見ていると、フィールドの一部の方の選手達がバタバタと倒れ始めた。
ーーーなんだ……って、あの人か
突然プツリと糸が切れたかのように、意識を失って倒れたものだから、呪いかなにかで死んでしまったかと思った。
が、それは倒れた選手の近くに居る、カラによってその理由が裏づけられる。
ーーーやっぱあの人の睡眠魔術すげぇな
と、感心していると
ボゴォオオ!!
突風が吹いた。
「なんだ!?」
「あの人だ」
俺が驚いていると、レオが無表情に見えて少し不機嫌な様子でその原因の方を指差す。
「あ、サバンさんね」
見ると、強い風魔術を発動させて相手を蹴散らしているようだった。
ーーーあれ? どこかで見たことあんな
「まったく、あんな馬鹿に魔力を消費する魔術を多量に発動させるとは……頭がどうにかしてるとしか思えないな」
そう、レオがサバンに対して皮肉を言う。
ーーーレオ、それ大ブーメランですからね
口にしたい衝動をグッと堪え、
「あはは……そうですね」
と、微妙な返事をするので精一杯であった。
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