↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/227

レオ、抑えてくれ頼むから

すいません、遅れました。

 「それでは本日集まっていただいた、予選を勝ち抜いた皆さんに準決勝、決勝についての詳細を話したいと思います」


 眠らせた不良達は出場停止……ということにはならないらしく、生徒会書記のカラが目覚めさせた。その様子を確認したアレシスが話を始める。


 「準決勝、決勝は二日にわたって開催され、一日目が準決勝、二日目が決勝です。開催日時は来週“地精”の十時試合開催となります」


 この世界の曜日は、炎精、氷精、嵐精、光精、地精、闇精、月精の七週間だ。日本でいうならば、火曜日、水曜日、木曜日、土曜日、日曜日、月曜日みたいな感じだ。


 「試合形式は変わらず、一対一で行われます。その他ルールは予選と同様です……ここまででなにか質問はありますか?」


 アレシスが生徒達を見渡す。

 

 はい、と一人の男子生徒が挙手した。


 「ではそこの方どうぞ」

 「あ、あの、武器の使用は認められるのでしょうか」


 少し緊張しているのか、当てられた男子生徒は少し声を震わせて言った。


 「武器の使用については、本人の魔力のみでつくられた物は認められます。しかし、それ以外の武器とみなされる物の使用は一切認められていません」

 「わ、わかりました。ありがとうございます」


 そう言いながら男子生徒は着席した。

 

 「他に何かありますか?」


 反応はない。


 「それでは本日の集まりはここまでです。次回は大会二日前のこの時間、組み合わせの抽選がありますので必ずお集まりください」


 最後にそう締めくくり、集会が終わった。



 ▽


 「いや〜、絡まれた時はちょっと焦りましたね」

 「白々しい野郎だな」


 生徒会室を出て、教室へ向かう途中。俺はそんなことを言ってレオとの会話を繋げていた。しかしレオの返事は毎度の事ながら冷たい。


 「おいそこの一年、止まれや」

 「ん? なにか聞こえました?」

 「しらね」


 後ろから声が聞こえたが、関係ないと思い歩みを進める。


 「おいこら! 待てっつってんだろ!」

 「調子乗るのもいい加減にしろや!」


 どうやら俺たちに用があるらしく、肩を掴まれて二人はそれぞれ壁に押し付けられた。


 「うわっ、俺が壁ドンされるとはな」


 まさか、する側ではなくされる側になるなんて。俺は壁ドンした男にドン引きをし、つい口にした。


 「何ごちゃごちゃ言ってんだ! 舐めてんのか!」

 「はぁ……」


ーーー耳元で喚かないでくれ


 ちらりとレオの方を見ると、レオもまた他の男に壁ドンされている。


 「大体、なんのようなんですか?」

 「決まってんだろ! その舐めた態度を叩きのめしてやんだよ!」


 お察しの通り、この男達は先程俺たちに絡んできた不良達だ。


 「そうらしいですけど、どうします?」

 「また眠らせとけ」

 「そうしますか」


 てことでぐっすりとお眠りいただいた。


 「にしても、しつこいですね。また来ますよ多分」

 「そしたらまた眠らせればいいだろ」

 「俺を便利な道具みたいにしないでくれます?」

 「てめぇも俺を便利な辞書みたいにしてんじゃねぇか」

 「“みたい”じゃなく俺はレオを辞書と認識していますが?」

  「こいつ……」


 虫けらを見るような目でこちらを睨んできた。

 

ーーーやべっ、調子乗りすぎた


 「てへぺろ♪」

  「コロスゾ?」

 「しゃあせんしたぁあ!!」


 秘技土下座。俺の人生で初めて使う極めて難易度の高い技。

  同じ相手に何度も使うとその効果は薄れてしまう。だがレオに使う時は今が最適だ。


  「……次はねぇぞ」


ーーーしゃあ!


 パチパチパチ


 突然誰かが拍手したような音が聞こえた。


 「だれ?」

 「……」


 俺達は聞こえた方を向く。


 そこは廊下の突き当たり。


 「いや〜すごいね、君達は」


 現れたひとつの影。どこか聞き覚えのある声。

 その声を聞いたレオからは、殺気が溢れている。


 「おうおう、そんなに睨まないでくれよ」


 そうへらへらと笑いながら、そのイケメン……サバン・オブジェはこちらへ向かってくる。


 「ヤバいかも……レ、レオさん抑えて抑えて」

  「あー、大丈夫大丈夫ほっといていーよ」


ーーーいや、あんたじゃねぇから! ああ、益々レオの殺気が……


 これまで二回ほどの挑発をサバンから受け、それをレオは耐えてきた。

 しかし、こうも調子に乗って舐められるなど、レオのプライドが許さない。

 あんなただの不良共とは訳が違う。こちらは嫌がらせでは済まないことまでされている。

 ぶっちゃけ俺もこいつを一発殴りたい。もちろん顔を。


 「俺がここに来たのはさ、魔術大会本線の前に君達と遊んでみたかったからなんだ」


 既に勝ったように言うサバン。しかしそれだけの実力をこの男は有している。


 「だからさ、今日はレオ君で良いよ。ツダ君は乗り気じゃなさそうだしね」

  「いや、なに勝手に決めてんのこの人!?」


 俺はレオを抑えるのに必死だ。そこに更に挑発をかけてくるサバン。正直俺もイライラしている。


ーーーふぅ……耐えろ、耐えるんだ俺。俺だけがこの場を乗り越えさせる唯一の可能性なんだ


  「つかどーでもいいけど、ツダ君ってぱっとしない地味な顔だよねw すっごいモブ感満載だよ……因みに主人公僕ね」


 ブチッ


 「ま、そんな気落とさないでよ! できるモぶはぁああ!?」

 「るっせぇなイケメン野郎……次そのムカつく口開いたら、今度はてめぇの唯一の美点無くすことになんぞ」


 腹パンを食らわせ、そう捨て台詞を残し、俺達は去る。


 因みにさっきの俺ね。レオは呆気にとられてた。


 「あー! スッキリしねぇなぁあ!」

 「お前そんなぶっ飛んだやつだったか?」

 「知りませんよそんなの」


 なげやりの俺の返答に、レオからは先程までの緊迫感はすっかり消え、ふっと笑った。


 「だが、俺は少しスカッとしたな……あのままだと殺すところだった」

 「怖いな!!」    


 またレオが笑う。


 「先程は済まなかったな……それと、ありがとな」


 謝罪と感謝の言葉を口にしたレオ。イケメンスマイル付き。


 「デレたぁあ!」

 「ああ?」


ーーーすいません、調子乗りすぎました


 そしてこの後、不良達が懲りずに学院中俺たちを探し回っていたことなど、既に帰宅していた俺達には知る由もないことであった。

いつも読んでいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。