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できた!

 「ん〜、次は誰の作ろ」


 レシファが今回はメインだから、少し時間をかけたい。


ーーーてことで次はリリィだな


 ヴァンピィにはアイスを作った。

 初めてには無難にそれが正解だろう。


ーーーでも次はリリィだ……


 彼女は魔王であるから舌が肥えてると思う。

 しかし、実際は子供。味も子供らしいものでも良いか……否、それ以前に彼女は料理を作る。味覚が発達していないわけがない。


 「う〜ん……あっ!」


 閃いた。


ーーーじゃあ、大人も子供も好きなやつ作るか


 「天才か俺」


 ボソリと呟く。


 だとしたら後は作ろう。


 「〜♪」


 鼻歌を歌いながら俺は卵を割る。

 卵黄と卵白でわける。


 「あと必要なのが……」


 この世界にはあるかわからない。

 多分あると思う。


 「あった」


 リリィはよくコーヒーみたいなものを飲む。

 ということで、ありました。クリープ


 そのクリープと卵黄をまぜまぜ。


 そして小麦粉っぽいのも一緒にまぜまぜ。


 次は卵白でメレンゲを作る。

 その卵白も、砂糖とまぜまぜ〜。


 「まぜまぜぇええええ!!」


 いつも以上に勢いよく混ぜる。


ーーーおけい


 出来たら、始めのまぜまぜしたやつに、メレンゲをちょいちょい足しながらまたまぜまぜしていく。


 あとはふかふかに焼いたら完成。


 

 少し経ち、焼き上がりを見てみる。


 「いい感じかな」


 試しに指でつんつん。


 「あづっっっ!」


ーーー《馬鹿ですし、何より汚いですよ》


ーーーしっかり洗ったよ


 感触はふわふわしてた。


 「はいできました、“ホットケーキ”」


 あとはホイップクリームを大量に入れ、万能のフルーツを加えて終わり。



 最後はレシファだ。

 彼女は洋風のものでは無いものを作ろう。


ーーーてことで和菓子


 では何を作るか。

 俺は予め考えがあった。


ーーー俺は知っている


 この世界に団子があることを。


ーーー俺は知っている


 団子には白玉粉と上新粉が使われていることを。


ーーー俺は知っている


 それがなんとここにもあることを。


 「俺は知っている……」


 カッコつけながら作業に入る。


 先ずは白玉粉に水を加える。勿論まぜまぜもする。

 

 そしたら砂糖と上新粉もぶち込んでまぜまぜ。



 次に布とかでくるんで蒸す。


 「いいかな?」


 蒸したら取り出して、揉む。


 「あっっっっづうぅ!!」


ーーー《最早わざとですよね》


 そしたらそれを伸ばして広げ、きなこ風味の謎の粉を振り掛ける。

 

 最後にいい感じに四角く切って、あんこ味の黒い物体を包んで……


 「来ました! これぞThe委員長に捧げる、The和菓子。八つ橋!」


 何気にレシファのが一番早く終わった。

 だが、完成度はたかい……はずだ。



 「もどろ」


 リリィたちの元へ戻ると、既に料理は用意されていた。


 「おっ、出来たかの?」

 「ああ、俺なりに頑張ったよ」


 控えめだが、内心は自信あり。

 地球にいた時は、趣味で作っていたことすらある隠れスイーツ男子。


 「おっ、今日は生姜焼きか」


 作っている途中で香ってきたのは、これだったか。


 「まぁ、普段と変わらないがな」

 「それがいい。リリィのはなんでも美味いから」


 言われて照れるリリィ。


ーーーかわゆす


 

 ▽


 「食った食った」


 満腹で腹をさする。


 「お兄ちゃん、でざーと食べたい!」 


ーーーあんだけ食ったのにまだ食えんのか


 他二人も余裕そうだ。


ーーー恐るべし……別腹


 「ちょっと待ってて」

 

 と言って取りに行く。



 「おまたせー」


 ヴァンピィにはアイス、リリィにはホットケーキ、レシファには八つ橋をそれぞれに配る。


 「んー? ……ちべた!」

 「す、凄いの……」

 「これはなんですの?」


 三人ともおそらく初めて見るであろう、このスイーツをまじまじ見つめる。ヴァンピィに至ってはつんつんしていた。


ーーー《マスターはあの子と同等のレベルだったようです》 


ーーーあらま!!


 「ヴァンピィのはアイスって言うの、食べてみて」


 俺がそう促すと、ぱくりと一口。


 「んーー!!」


 足をパタパタさせ、目を輝かせた。


 「おいしいの! つめたいの! あまいの!!」

 「そうかそうか、こっちも嬉しいぜ」


ーーーよしっ、ヴァンピィのは成功だ


 「次のリリィにやつはホットケーキだ」

 「ほう……むっ、柔らかいの」


 そう言って、ホイップクリームをつけて頬張った。


  「おぉ……おお! 美味いのぉ!」  

 「ふぅ」

 「ふわふわで味も程よい甘さがまた良いの」

 「それは良かった」


ーーーうっし、リリィへのチョイスもバッチリ


 そして最後はレシファだ。


 「ツダ君、これは何?」

 「八つ橋といいます」

 「八つ橋……」

 

 そしてパクッ。


 するとレシファの目が、カアッと見開いた。


 「なんですかこれ……」

 

ーーーやばい、ダメだったか!?


 実は俺、八つ橋があまり好きではない。特にきな粉部分。


ーーー無難にケーキとかが良かったのか……?


 レシファがゴゴゴゴ……と震えている。

 そして口を開いた。


 「おいしい」


 と。


 「ほ、本当ですか!?」

 「初めて食べました。これ程のものがあるとは……」


ーーーうっしゃあ!!


 「これ、まだあります?」  


 相当お気に召されたようだ。、


 「ええ、作れば」

 「よ、良ければその……」

 「作りますよ」


 パァアっと今までにない笑みを向けてくれた。


 「ヴァンピィも食べたい」

 「我もじゃ」


 レシファの顔を見て、二人も食べてみたくなったそう。


 「よし、じゃあ作るか!」


 しかし、俺はまだ知らなかった。




 皆(特にヴァンピィ)がとても気に入り、それからひたすら作りまくるという地獄が待ち受けていることを。




 「はぁ……」


ーーー食べてみるかな


 パク


 「うま」



いつも読んでいただきありがとうございます!

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