アルネスの森ってなんなの?
ここ最近の寒暖差に体が対応出来ず、風邪をひいてしまいました(汗)
アルネスの森に行くことになった俺だが……
「アルネスの森って、なんで立ち入り禁止だったんだ?」
俺が魔界に迷い込んだ時、その森が立ち入り禁止だったことで危うく死ぬところだった。
ーーーそんなに重要な所なら、俺なんかに行かせてもいいのか?
頼んだ俺が思うのもあれだが、知りたくなる。
「彼処はダンジョンに位置づけられる場所なのじゃ」
俺の独り言に、リリィが答えてくれた。
「そうなの?」
ダンジョンは、洞窟をイメージしていたが、どうやらそれだけではないらしい。
「と言っても、ダンジョンに存在する“核”は存在せんのじゃ」
「ん?」
さっぱりわからんと言うように、首を捻る俺に、リリィは苦笑して説明してくれた。
「ダンジョン核とは、ダンジョンの“心臓”と言われるほどダンジョンにとって、無くてはならないものじゃ」
「それが無いとダンジョンはどうなんの?」
「魔物を生み出せなくなり、いずれ消滅する」
そこで俺は疑問に思う。
「じゃあ、なんでアルネスの森はそれが無いのに、ダンジョンになってんの?」
「ふふっ、今日は質問攻めする気か?」
リリィはクスリと笑った。
「はは、悪ぃな」
「気にするな。で、アルネスの森が何故ダンジョンに位置づけられるのか。それは」
「それは……」
「実は、我にもよくわからんのじゃ」
「あらま」
ずっこける俺に、リリィは、あはは……と申し訳なさそうに笑い、続ける。
「その森は、我が物心ついた時からダンジョンとして存在していたのじゃ……多分、死んでしまった両親なら知っているかもしれぬがな……まあ、わからぬものは仕方ない」
「そっか」
開き直るリリィが面白くて、笑ってしまった。
「んじゃあ、その理由を突き止めることが出来たらいいな」
「うむ、しっかり頼むぞ……と言っても、お主の安全が第一だからの」
「わかってるよ」
心配してくれるのは嬉しいが、
ーーーそんなに頼りないかな……
と、こっそりテンションを落とす俺であった。
「それでは最後に、お主が聞いた、何故その森が立ち入り禁止なのかを教えてやろう」
「頼む」
「ダンジョンとは、基本認められた者なら誰でも入ることが出来るのじゃ」
「誰でもって、誰でも?」
「うむ、誰でもじゃ」
そう強く頷くリリィ。
「どうしたら認めてもらえんの?」
「それはな、ある試験に合格する必要があるのじゃ」
「試験?」
「試験、それはーー」
試験とは、月に一度行われる、ダンジョン攻略の資格のある者を決める行事だ。
一度認めてもらえても、また次の月に、もう一度認めてもらう必要がある。勿論、試験を受けて。
そして、肝心の内容だが、基本特別なことができる必要は無い。
ただ生き延びる為の技術や知識だったり、ダンジョンの難易度の基準をクリア出来るほどの戦闘能力だったりが試される。といった、当たり前のことが出される。
因みに、いくらエリートの魔王に仕える兵であっても、試験に合格出来なければダンジョン攻略へ向かうことは出来ない。
この仕組みは、先代の魔王が、無謀な挑戦者がダンジョンに挑み、多数の死者が出たことから始まった。
「へぇ〜」
説明を聞き終えた俺は、また新しい知識が増えたと満足気に頷いた。
「理解したか?」
「うん……でもよ、ちょっといいか?」
「なんじゃ?」
そこで俺は、また一つ疑問が生まれた。
「それじゃあ、なんで俺は前にダンジョンに行けたの? そして、俺はなんでまた合格もしてないのに行けんの?」
「まあ、そう来ると思っていた」
リリィは、待っていたと言わんばかりにそう言った。
「実は、ダンジョン攻略に行く方法に一つ例外があってな」
「例外……」
「それはな」
「それは……って、“我にもよくわからん”とかはナシだぞ」
一応言っておいた。
「わかっとる!」
リリィが不貞腐れたように言った。
「んで? それは?」
「ふふ〜ん、なんと、魔王が認めれば試験などすっ飛ばして、直ぐに向かわせることが出来るのじゃ!」
と、無い……様に見えるが少しある……と見せかけてやはり無い胸を張りそう言った。
「まあ、予想はしてたな」
「うむ、緊急事態などに一々試験などしていたら、アホくさいからの」
「だから俺は、ダンジョン攻略に、それも試験無しで向かえることが出来るんだな」
ソユコト。と、リリィは頷いた。
「それで、話が逸れたが、立ち入り禁止の理由じゃが……」
突然、深刻そうな顔をした。
「どうした?」
リリィの様子に、俺は少し心配になった。
「それはな」
その台詞は何回目か。だが、その顔は真剣そのものだった。
「それは……」
俺も緊張し、ゴクリと唾を飲む。
「すまん……わからん」
「うわ、もう心配して損したわ!!」
ーーーまさかの上げて落とす……マジ勘弁よ
「……」
だが、俺のツッコミにリリィが反応しない。
「リリィ?」
まだ表情が固い。
「いや、おかしいとは思わんか、あの森はダンジョンと呼ばれる前……それも、初めにダンジョンと呼ばれるものが発見される前から存在してたそうじゃ……それなのに、何一つ情報がわかっていない」
「確かに、それはおかしいな」
すると、リリィはこちらに振り向き、
「アカネよ、今回は相当危険かもしれぬ。何もかもわかっていない。本当は行かせたくないが、アカネの意思を尊重して二度は言わん……だから、心してかかれよ」
そう言った。
どうやら、かなり俺を心配してくれている。頼りないとは思われていないらしい、ただ純粋に心配してくれている。
が、リリィは俺の意思を尊重してくれた。よく見ると泣きそうである。だから俺は、優しく笑いかけながら、
「一日……いや、早くて半日で戻ってくるから、ご飯は俺の分まで作っておいてね」
と。
それを聞いたリリィは、呆れたような笑みを浮かべ、
「わかっておる。とびきり美味いものを作ってやるからの。覚悟しておれ」
そして最後に、ギュッと、俺に抱きついた。
「必ず……必ず帰ってくるのじゃぞ」
震える声で言うリリィに、俺は頭を撫で、
「だからそう言ってんだろ、必ず帰ってくるからよ」
そして翌日、俺は短い旅に出た。
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