恥ずかすぃー!
用が済んだ俺は退室した。
「はぁ〜」
俺は思わずため息をついた。
「大変ですね」
学年主任のエル先生が心配そうに聞く。
「そうですねぇ」
ーーーあんたがここへ連れてきたんだろ……なんて、ただの八つ当たりか
「正直、かなりめんどくさいです」
「さぁ、頑張ってください」
エル先生が笑顔で応援してくれた。
「はい! 任せてください」
ーーーちょっ、そんな可愛い顔で言われたらやるしかないでしょ!
ーーー《マスターらしいですねー》
もうクレルは、俺のやましい考えに突っ込む気が無くなったようで、言葉が棒読みだ。
「ってことで俺はもう帰って大丈夫ですよね」
「ええ、気をつけてね」
「はい」
と言って俺は校門まで行くと、そこにはレシファがいた。
「遅い」
「ん? 今日はリリィのご飯は食べないのでは?」
そう聞くと、レシファはジトーっとこっちを睨み、
「ちょっと、私がまるで食べ物の為だけに貴方と行動しているみたいに言わないでくれる」
と言ってきた。
「え? そうじゃないんですか?」
「なっ、私はそんなに食いしん坊ではありません!」
ーーー怒られた……なんで?
ーーー《デリカシーというものをご存じですか?》
ーーーそ、そんぐらい知ってるやい!
ーーー《ではなぜ彼女がここへ来たかお分かりになりますか?》
ーーーなぜここへ……
と、俺は今の状況を考える。
ーーーまずレシファさんが俺を待っていた。しかも料理以外で更に彼女は遅いと言ってきた。つまり、結構長い時間俺を待っていた。その事を考えるとなにか大切な用事と考えられる。すると導き出されるのは……そ、そうか。そうだったのか……
ーーー《ようやく自分で考えを導き出すことが出来ましたね》
ーーーああ、俺の考えはあってるか?
ーーー《いい考えだとは思いますよ》
ーーーやっぱそうか……にしても、結構大胆だなぁ
ーーー《んんw そ、そうですね》
ーーーん?
クレルの様子がおかしいと思いつつも、俺は挽回しようとレシファに俺の考えを伝えた。
「レシファさん、先程は失礼なことを言ってすいませんでした」
「な、なに? 急に改まって謝罪なんて……」
「俺、レシファさんが俺を待っていていた理由が分かりました」
「そ、そう……」
レシファの反応が少しイマイチだと思ったが、俺は続けた。
「レシファさん、貴方は俺に愛の告白をしようとしたんですね?(ドヤァ)」
俺はドヤ顔で言った。
「は?」
一方、そんなことを言われたレシファは「何言ってんのこいつ?」と言いたげな顔をしていた。
ーーーどうだ、見てよこの表情、やっぱり正解のようだったな!
だが、俺は彼女のそんな表情を肯定と捉えてまたドヤ顔をした。
「いやー、まさかあのレシファさんが結構大胆なことをするんですねぇ〜」
俺は何故か勝ち誇ったかのように言う。
「いや、何を言ってーー」
「みなまで言わないでも分かりますよ。緊張しているのですね?」
「だからちゃんと話をーー」
「さあ、どうぞ告白を! ……と言っても、俺の答えはYESとは限りませんけど」
俺はそう言い終わると、バチコーンとウインクをキメた。
「だから話を聞けって言ってるでしょうがああああああああ!!」
ズドォォオン!
「ごはぁ!」
俺はレシファに強烈なアッパーを決められた。
「はぁ、はぁ……」
「な、何するんですか!?」
俺はなぜ突然攻撃されたか分からなかった。
「それはこちらのセリフです!! 何なのですか!? いきなり訳の分からないことを言い出して!!」
「へっ? 告白しないんですか!?」
「しませんよ!!」
ーーーなにこれ! 俺めちゃくちゃ恥ずかしい奴じゃん!!
ーーー《痛いですね》
ーーーって、お前が俺の考えがあってるって言ったのが悪いじゃん!
ーーー《はて? 私は一言もそのようなことを言っておりませんが》
ーーーぐぅ……嵌められた
ーーー《失礼な、マスターが勝手に早とちりしたのが悪いのでしょう。これだから馬鹿マスターは……》
ーーームキー! うるさいうるさい!!
ーーー《それよりも、彼女が待っていた本当の理由を聞かなくていいのですか?》
ーーーはぁ、分かったよ
「それで? 俺が告白なんてされない痛くて恥ずかしい勘違い野郎だってことは分かりましたが、レシファはどうして俺を待っていたんですか?」
「貴方、そこまで自分を落とすなんて……それに、告白しないのは今だけでそのうち……その、ごにょごにょ………」
「え? やっぱりしてくれるんですか!?」
ーーー《マスター、そこは気づかないのが正しいのですよ……》
ーーーは? 何言ってんの? 気づくだろ、それほど離れてないのに。それより、見たか! やっぱり俺の考えは間違ってはいなかったぜ!
そう思っていると、
「バカあああ!!」
バキィ!
「ふごぉ!」
また殴られた。
ーーーな、なんで……
ーーー《だからデリカシーが無さすぎるのです》
ーーーはあ!? 今度はしっかり当たってただろ!!
ーーー《そういう問題ではありません》
ーーーじゃあ、どういう問題ーー
ーーー《黙りなさい》
ーーーはい
結構ガチでクレルに怒られた。
「じゃ、じゃあなんで俺を?」
「ふんっ、大したことじゃないわ。ただ貴方が呼び出されたと聞いて少し心配だっただけ」
「レシファさん、俺を心配してくれたんですね……嬉しいっす」
「う、うるさい! さっきの様子だと元気な様ね。心配した私が馬鹿みた」
「まぁ、心配してくれてありがとうございます。で、呼び出された件は大したことないですよ」
「そうなの? 学年主任の先生に呼び出されたそうだけど……」
「はい、恥ずかしい事に、試験の成績が悪過ぎたから先生にもっと真面目に授業を受けろって割と本気で怒られたんですよ」
ーーー《こういう場面では頭の回転が速いのですね》
ーーーただ単に嘘言ってるだけだよ
「そう、良かった……」
「そんなに俺の不幸を喜びますか……」
「い、いえ、そんな事じゃありません!」
「分かってますよ。ありがとうございます、心配してくれて」
「ふんっ」
俺が感謝を述べると、レシファは照れくさかったのか、そっぽをむいた。
「折角ですから、リリィの料理食べていきます? 行きますよね? そんなに食べたそうにしてるなら」
「い、いえ、別に食べたそうになんて……」
「分かりますよ。顔に食べたいって書いてありますから」
「う、うそ!?」
と言って、慌てて自分の顔をぺたぺた触るレシファ。
「やっぱり食べたいんですね」
「は、嵌められましたわ……」
ズーンと肩を落とすレシファ。
「いや、レシファさんが天然なだけですよ」
「どういう意味ですの!」
と、憤慨するレシファ。
「早く行きますよ」
「ちょっと、待ってください!」
と言って、怒りつつも少し嬉しそうなレシファ。
ーーー《今日は色々な彼女を見ることが出来ましたね》
ーーーそうだな
そう思い、俺達は魔王城へと帰宅する。
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