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異世界転生した鼠小僧は義賊になる  作者: とんし
動乱編
99/122

#99 プリマ王女の保護

次郎吉が目を醒ますとそこは見慣れた家の天井だった。


「俺っちは……」


「あ!? 目が醒めましたか!?」


次郎吉の目にふわふわの灰色のふわふわのロングヘアーに銀色の花冠を意識して作れたらカチューシャが付いている女の子が写る。


「お前さんは確か……バルバリス王国の姫さんだったか?」


「あ、そうです! 改めてご挨拶させていただきます。バルバリス王国第一王女のプリマ・バルバリスと申します。これからよろしくお願いします! ジロキチ様」


次郎吉は起きたばかりでまだ頭が回転していないので、彼女がさらっととんでもないことを言ったことに気が付いていない。


「あ、あぁ……ちょっと待て。色々思い出すまで時間をくれ」


「はい」


「えぇーっと……確かお前さんを盗み出した後、要塞から変な大砲撃たれて、直撃は避けてお前さんを守ったところまでは覚えているんだよな」


「あ、やっぱりあれは意図的だったのですね。ありがとございます。お陰でわたしくには一切の怪我がなかったです」


次郎吉は爆発の瞬間、プリマ王女を自分の身体で隠してダメージを自分の背中で受けたのだ。その結果、プリマ王女が燃えることは無かった。そしてその後は気力で動いており、記憶が飛んだようだ。泥棒としての逃げの本能が次郎吉を救ったと言っていいのかも知れない。


「そうか……いっ!? ッ~!?」


次郎吉が起き上がろうとすると背中に激痛が走り、次郎吉は再びベッドに沈む。これを見たプリマ王女は次郎吉の現状を説明する。


「あ!? 起きないでください。ジロキチ様は背中に大火傷を受けてしまってますので、起き上がるのは無理です。ちょっと待っていてください。今、プラム様を呼んで来ます」


プリマ王女がそういうとプラムを呼びに行ってしまう。それを知った次郎吉は痛みを口から抱き出すように深呼吸をするとここでプリマ王女の意味深な発言に気が付く。


「ん? これからよろしくお願いしますと言ったか? あいつ?」


その発言はこれからお世話になる者が言う言葉だった。



プリマ王女に呼ばれてプラムが来ると涙目を浮かべながら次郎吉が目を醒ましたことをまず喜び、治癒魔法を次郎吉に施す。本来なら抱き着いてたが背中に大火傷をっている次郎吉に抱き着くととんでもないダメージが次郎吉を襲うことになるので、ここは次郎吉の怪我を知る者として我慢した。


そして治療を受けながら次郎吉はあれから何が起きたのかプリマ王女から説明を受けることにした。


「まずジロキチ様がわたしくを助け出してくれてから10日経過しております」


「10日も寝ていないのか……俺っちは」


「戦闘でのダメージもそうですが精神的な疲労も蓄積していた結果だと思います」


「まぁ、あれだけ命の危険を感じたのは初体験だったからな。疲労の自覚はないが毎日相当ぴりついていたのは事実だな」


生前の次郎吉は用心棒の暗殺者や奉行所とかと敵対することはあったが流石に幕府と敵対したことは無い。今回の仕事は完全に国家戦力とやりあう内容だっただけに生前の次郎吉でさえ経験したことがない極めて危険な泥棒となった。結果、精神的な疲労は思った以上に大きかったらしい。そして話は本題に入る。


「えぇーっと……あの後、わたしくたちはリガンドお爺様の手助けで無事にシルファリッド王国の国境を超えることが出来て、シルファリッド王国で待っていたラピーシアと合流したんです」


ラピーシア王女はどうやら待ちきれずに自ら彼女の保護のために動いたようだ。他国でしかも命を狙われている王女を王女自ら保護するのは相当なリスクとなる。もし密偵に見られていたら、戦争の引き金になってもおかしくはない。


そのリスクはゲオリオたちがちゃんと説明したがそれを承知でラピーシア王女は大切な友達のために動いたということだ。


「そこでラピーシア王女とその騎士団の皆さんとリガンドお爺様とわたしくとの間で会談が行われました。内容はわたしくの保護をどうするかです」


「ここにお前さんがいるってことはシルファリッド王国側は保護を蹴ったんだな?」


「はい……ウィンバース宰相がこの話を聞けば間違いなくシルファリッド王国を攻める口実に利用いたします。それにシルファリッド王国内でもわたしくのことを利用しようとする者がいないとは限りません」


バルバリス王国を実効支配したウィンバース宰相に対する最後の切り札と言ってもいい存在だ。政治的な利用価値はかなり高い。ウィンバース宰相に渡すだけでどれだけの金や名誉、地位を約束されるのかわからない。


「それでシルファリッド王国にとって火が飛ばず、シルファリッド王国とバルバリス王国の両方から手出しが簡単には出来ない場所としてここが選ばれたわけか?」


「はい! 正解です!」


プリマ王女が満面の笑みを浮かべるが押し付けられた次郎吉からすると迷惑極まりない話だ。


「プラム。通信のソーサリーファクトを取ってきてくれ。あいつらに大量の文句を言わないと俺っちの気が収まりそうにない」


「ふふ。皆様も旦那様ならそういうと言ってました。しかし今は怪我の治療を優先してください。旦那様が回復してから今後の話が出来るぐらいの時間的余裕はありますので、暫くは絶対安静です。拒否は旦那様のご命令でも聞くわけには行きません」


「……頑固者のメイドを持つと主人は大変なんだな」


次郎吉の諦めた姿を見て、プラムとプリマ王女は笑みを浮かべるのだった。

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