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異世界転生した鼠小僧は義賊になる  作者: とんし
動乱編
100/122

#100 その後のバルバリス王国の動き

次郎吉は休息しているとゲオリオが家にやって来た。


「よ。目が醒めたんだってな。暇なら今の情勢を俺から説明してやろうか?」


「それはありがたいな。バルバリス王国はあの後どうなった?」


次郎吉がゲオリオがいることには触れずにまずバルバリス王国の動きを聞くことにした。


「バルバリス王国からの発表は王国騎士団とリガンド公爵家の反逆がプリマ王女から発表された感じだ。お前さんたちの動きは表向きは発表されていない」


そりゃあ、ルカ要塞に監禁されていたプリマ王女が泥棒に盗まれましたと発表出来るはずがない。その瞬間、自分たちが用意した偽物のプリマ王女が偽物ですと言っているようなものだ。


精々発表出来るたとしてもルカ要塞がシルファリッド王国出身の泥棒と怪盗に襲撃を受けたぐらいだが軍事政権になっている彼らが二人を取り逃がしたという発表は自分たちの力の無さをアピールする結果となる。結果として表向きは次郎吉たちのことに触れないのが一番いいと判断したわけだ。


「表向きってことは裏では何か言われた感じか?」


「あぁ。早速シルファリッド王国に使者を送りつけて文句を言ってきた。だがシルファリッド王国からしてもお前さんたちは厄介者。指名手配もしていることだし、表向きの対応策を講じているからバルバリス王国も叩き切れない感じだな』


「なるほど。自国民が他国で騒ぎを起こしてもやるべき対応はしている。自分たちにとっても迷惑な存在だとアピール出来ているなら叩き切れないか」


「そういうことだ」


ラピーシア王女からの仕事の依頼だとバレたら確実にアウト。それがバレていないなら国がアウトになることは無いだろう。ウィンバース宰相からするとシルファリッド王国にプリマ王女が逃げ込んだのは確実に分かっている。


なので彼目線で見るとシルファリッド王国が彼女を保護して王権の奪還を狙って来ると考えるのは当然と言える。そうなると当然プリマ王女について返還を求めることぐらいはしそうだ。自分こそがバルバリス王国の王女だと言っている国賊がそちらの国に亡命したとか言えば行けそうではある。


しかしそれについてのシルファリッド王国の反応はそんな人物は確認していないだった。そりゃあ、ビャク王国に逃げ込んでいるんだから確認できないだろう。最もラピーシア王女は知っているから完全に庇った形だ。しかしそうなるとバルバリス王国側も黙っているわけには行かないだろう。


「俺っちから見るとシルファリッド王国で何か動きがありそうに見えるが?」


「ご名答。バルバリス王国から鼠小僧ジロキチと怪盗キャリコの逮捕要求が出された。国としての対応を示すためにこれに動くことになる」


迷惑を受けた者としては当然の選択だ。しかしシルファリッド王国はビャク王国から既に次郎吉からの被害報告を受けている上に次郎吉を攻めるためにはビャク王国から許可を取らないといけない。


そうなるとビャク王国は当然下を見て美味しい汁を吸おうとする。シルファリッド王国のせいで被害を受けたと思っている彼らからするとこの動きは当然だ。あわよくばバルバリス王国からも甘い汁が吸えそうな状況だが調子に乗って、バルバリス王国を怒らすのは避けたい。


バルバリス王国が動いたらビャク王国は折れるしかない状況だがバルバリス王国は現状動く気がない。下手に動くとバルバリス王国騎士団に寝首を搔かれてしまう状況だ。バルバリス王国からすると優先すべきは不満分子を排除し、国を安定されることなので今すぐには動けない。


結果、現状シルファリッド王国とビャク王国が裏で交渉している最中らしい。これが難航していて話が進まず今に至る。


「俺っちたちから受けたマイナスを取り戻したいビャク王国とビャク王国の失敗なのに自分たちが金払うのは間違いだと言っているシルファリッド王国って感じか?」


「そういうことだな。でビャク王国は謝罪も金払う気がないならシルファリッド王国に対して軍の派遣を許可しないって感じだ。バルバリス王国側にもこの話をしているらしいがお前さんたちを捕まえろの一点張り。相当なお怒りを買ったみたいだぜ? ジロキチ」


「そりゃそうだろ。何せ最新兵器をぶっ放されたほどだからな。俺っちはか弱い泥棒なのに酷すぎるよな?」


「か弱い泥棒は天下の大泥棒とか名乗ったり、要塞から女一人泥棒したりできねーよ」


これに関してはゲオリオの指摘が正しい。そしてここで次郎吉はゲオリオのことを聞くことにした。


「そういえばお前さんがどうしてこの村にいるんだよ?」


「ラピーシア王女様の指示だよ。本来ならバルバリス王国の騎士がプリマ王女を守るのが自然の流れだが彼らは来たるべき日のためにリガンド公爵と共にエルクレッド王国で潜伏する道を選んだ。結果、ラピーシア王女から俺に対してプリマ王女の護衛が命じられた」


ここでのバルバリス王国の騎士とは次郎吉たちを助けてくれた王族新鋭騎士団と次郎吉たちを逃がすために要塞都市を攻撃した騎士たちの生き残りだ。


王族新鋭騎士団はルカ要塞の軍人たちを全滅させたのち、プリマ王女たち合流したらしい。流石にルカ要塞の全戦力となると厳しかったが流石に一対一や同じぐらいの戦力では王族新鋭騎士団のほうが実力は上であることが証明された。


これでウィンバース宰相が持つ軍事力にある程度抵抗できることが証明されたが勢いづく騎士たちをリガンド公爵が止めた形だ。流石に国全体の軍事力が相手となるといくら騎士団の全戦力をもってしても勝てはしない。


だから彼らの勝ち筋はプリマ王女が成人し、自分こそが正当な王位継承者だと証明できるようになってから動くという話になったのだ。


「エルクレッド王国ってのは確かバルバリス王国の右側にあるエルフで有名な国だっけか?」


「そうだ。お前さんが奴隷島で助けたエルフたちが帰った場所だな。リガンド公爵でもビャク王国との繋がりがほぼ無くてシルファリッド王国かエルクレッド王国の二択になった。シルファリッド王国にプリマ王女を逃がしたことがバレている以上、潜伏先に選ぶのはエルクレッド王国しかなかった感じだな」


彼らからするとかなり苦渋の決断だ。何せここからエルクレッド王国はバルバリス王国を超えないと到達出来ないほどの距離が離れている。プリマ王女の身に何かあれば助けに駆けつけることは出来ない。だがプリマ王女の近くにいるとプリマ王女の場所をみすみす教えることになりかねない。


何せ国所属の騎士だ。全員顔バレしているので表立って動けない。しかしそれについては対応策を考えたられたようだ。


それが次郎吉が暮らしていたハニットの村とファクトライドの町に王国騎士団でも指折りの実力者が暮らすことにするというものだった。そして彼らのバックには住居関係に強いビオラと彼らと同じく国から狙われているフェルが支援することとなった。


「フェルが手を挙げたのか」


「あぁ。国のピンチに自国民として支援しないわけには行かないんだと。それでジロキチが使っていた工房を使いたいと要望を出しているみたいぜ?」


「機材の配置とか色々楽だろうからな」


どこの家でも地下があるわけじゃない。寧ろ少ないと言った方がいい。ソーサリーファクトの設備はどれも現実でみる工場設備と変わらない大きさがある。新しい家でその設備の広さを確保するより以前置かれていたことで設備の場所を確保できている家のほうが圧倒的に楽で安い物件となる。


ただ次郎吉からすると難しい気持ちの問題がある。


「店や工房はいいが住居には待ったをかけたいところだな」


住居にはアーベルトとの思いでが詰まっている。次郎吉でもそこに他人が踏み込んで欲しくないと思ったのだ。


「まぁ、そこは本人と話してくれ」


「あぁ。フェルなら俺っちの気持ちを理解してくれるだろう」


やることはたくさんあれど現状は膠着状態。これなら確かにプラムの油断は許されない状況だがゆっくり休めると言った言葉に次郎吉は納得するのだった。

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