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異世界転生した鼠小僧は義賊になる  作者: とんし
動乱編
96/122

#96 キャリコの陽動

深夜0時。ルカ要塞で一番大きな塔に屋上に遥か彼方から雷鳴と共に稲妻が落ちると怪盗キャリコが現れた。


「予告通り、バルバリス王国のお宝はあたしがいただくわ!」


堂々と犯行宣言を行うと当然要塞の中から次々バルバリス王国の軍人たちが飛行魔法や飛行のソーサリーファクトで塔の屋上を目指して当然のように警告も無しに火球のソーサリーファクトで攻撃を仕掛けてきた。


飛行の魔法が使えるのは風の魔法使いのみ。そして人間の魔法使いは一種類しか魔法の属性を扱えない。ならば攻撃力が弱い属性の魔法使いは攻撃力があるソーサリーファクトを装備すればいいと判断するのは当然と言えた。


これに対して怪盗キャリコは塔から落下して攻撃を躱すと塔の側面を蹴り、接近してきた軍人たちと距離を詰めると鞭で叩いて感電させる。


空で意識を失うと落下で死ぬがそこは要塞の魔法使いたちを信じるしかない感じだ。何せここは要塞。敵のレベルも装備も数も今までキャリコが戦っていた存在とはまた違った強さを持つ。


「はぁ!」


「死ね!」


「おらおらおら!」


普通の剣や弓を躊躇なく相手の命を奪う攻撃をしてくる。魔法も同様だ。明らかに殺意ある魔法があちこちからキャリコを狙って放って来る。これに対してキャリコは外で戦っているとただの的になると考えて要塞内に侵入した。


これで大魔法は簡単には使えないとキャリコは思ったが平気で要塞を壊す魔法をガンガン使って来た。これはロイゼン司令官の指示だ。要塞のことは気にせず相手の排除を優先するように指示出したことで一切の手加減がない攻撃がキャリコを襲う。


これに対してキャリコは鞭で距離を適度に保ちつつ、体術を合わせて対処していたがどうしても数が多すぎて限界を迎える。


「この!」


「ぐ!? おらぁあああ! ふ。捕まえたぜ? 女!」


「か!? 男なら女は丁重に扱うべきよ? 猪さん!」


「がぁあああああ!?」


一人の男が鞭で叩かれながらも突進し、キャリコを腰を掴むとそのままキャリコを持ち上げて壁にぶつける。背中にとんでもないダメージを受けたキャリコだが、男の頭を手で掴むと男は感電して意識を失う。人の命を奪わないが軍人を相手にするならそれなりの攻撃的なソーサリーファクトを装備せざるおえない。


「く!」


何故ならその状態で平気に味方事巻き込む大魔法をぶっ放して来る連中だ。これに対してキャリコは腰の拘束が解けたことで男の手を掴みながら男の背中を転がり、男を背負い投げして魔法にぶつけると近くの木の扉に逃げ込み、通路で大爆発が起きる。


結果魔法を放った男や他の軍人たちもろとも大魔法の爆発に巻き込まれる結果となった。通路が狭い中で大魔法を発動すると当然味方の誘爆は警戒するべきことだ。今回は相手視点だと安全な位置にいたがキャリコが男を魔法に向けて投げたことで着弾地点の位置が大きく変わったことで被害が出た。


「あれであたしの殺人扱いはして欲しくないわね。く!」


魔法にぶつけた男と巻き込まれた軍人たちを心配したキャリコだったが部屋の天井の四隅に配置された熱線のソーサリーファクトに狙われて前に飛んで転がりながら回避したが熱線は床を熱で溶かしながら追ってきた。


「殺意が高すぎでしょ!? この要塞! 今!」


キャリコは窓際に移動すると熱線が窓ガラスと窓枠の鉄柵を溶かしたことでキャリコは部屋から脱出し、爆弾のソーサリーファクトを次々窓目掛けて投げて爆発されることで要塞への潜入経路を確保した。


これでだいぶ逃げやすくなったと思いきや爆破した窓から次々軍人が飛び出して接近戦を挑んできた。鞭使いを相手にするなら当然の選択と言える。


これに対してキャリコは必死に逃げながら鞭を振る。しかし相手も手練れだ。光速で動いて先回りされたり、鞭を逆に手で掴んで引きちぎるなどの力技も見せてきた。


これに対してキャリコも鞭のソーサリーファクトを再起動されると鞭の長さが元通りになる。


「いいソーサリーファクト持ってるじゃねーか!」


「は!」


土属性の男が突っ込んでくるとキャリコは鞭を振るって命中するが男の突撃の勢いは止まらない。


「ぐ!? ガゼーラ! おら!」


土属性の男は腕を巨大な岩の手に変化させるとキャリコをぶん殴り、キャリコは吹っ飛ぶと要塞の壁に激突し、そのまま壁を破壊して通路に転がる。


「がは!? 今のは効いた……くぅうう!?」


血反吐を吐いたキャリコに更に通路にいた魔法使いから電撃が浴びせられる。


「今です!」


「「「「うおおおおお!」」」」


男たちがキャリコを取り押さえに動いたがキャリコの意識が戻ると腕のソーサリーファクトを起動させて鞭を振るうと腕力が上がった鞭の一撃で男たちが逆に吹っ飛ばされる。それを見た電撃を放った軍人が驚愕する。


「馬鹿な……通常の雷と同出力の攻撃だぞ!? 化け物か!?」


「残念ながら雷には慣れているのよ。それにね!」


「ひ!? バー」


魔法が放たれるよりも先にキャリコの拳が電撃を放った軍人に腹に炸裂し、男が悶絶しながら地面に転がる。


「ここで死ぬわけには行かないのよ! さぁ! 命が惜しいなら大人しくプリマ王女の居場所を教えなさい!」


完全に脅迫する言葉で怪盗から出るべき発言ではないが今の彼女は陽動役なので、これでいい。脅迫したところでここにいる奴らが教えるはずもない。何せ強さも数も圧倒的戦力差だ。脅迫は自分が負けている状況でこそ意味がある。


圧倒的戦力差のこの状況で脅迫に応じる者がいるはずもない。ならキャリコの狙いは何か?なるべく多くの軍人の注意を自分に向けされることだ。そういう意味ではキャリコは現時点で最高の働きをしていると言える。


後は本命である次郎吉がどれだけ早くプリマ王女を見つけて、盗み出すかだ。


(早くしなさいよね。でないとあたしの命が持たないわよ)


キャリコは次郎吉を信じて軍人たちとの戦闘に集中するのだった。

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