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異世界転生した鼠小僧は義賊になる  作者: とんし
動乱編
80/93

#80 マナ結晶採掘

GWの告知をさせていただきます。


4月29日から5月5日まで朝9時に毎日更新しようと思います。その後の更新も今回は休み無しで更新していく予定を組んでいます。もし予定の変更があれば再度告知させていただきます。


それでは本編をお楽しみください。

無事に防衛のソーサリーファクトの試作品が完成し、次郎吉は改良に手を加えている中、その間も村の復興は無事に進んで行き、次郎吉や他の獣人たちにも余裕が出てきたところで次郎吉はガルザにお願いをすることにした。


「俺に護衛を頼みたいだと? 何をするつもりなんだ?」


「マナ結晶っていう代物を取りに行きたい。ただ魔物が出る確率が結構高くてな。護衛して欲しいんだよ。もちろん依頼代は出すぜ?」


「まぁ、依頼を受けない理由はないが行く場所は決まっているのか?」


「あぁ。サヤに聞いてみたら取れる場所を結構知っていてな。ガルザもこういうのを見たことあるんじゃないか?」


次郎吉がマナ結晶の絵を見せるとガルザも見覚えがあるらしい。


「あぁ。これか。これなら洞窟入ればそこら中で見かけるぜ? 正直魔物の心配も無さそうなところで普通に見かけるぞ。なんなら俺たちが取ってこればいいだけの話だと思うがそれじゃあダメなのか?」


「ダメなんだよな。これが。実際に触ったことがあるならわかると思うがかなりものろかっただろ?」


「そういえばちょいと触っただけ砕けていたな」


「その瞬間使い物にならなくなるから人間でも特殊な採掘方法を使っているんだ。だから今回は俺っちとプラムの護衛を頼む」


そんなわけで次郎吉たちの初めてのマナ結晶採掘が決まった。そしてガルザの案内で洞窟に入ると次郎吉は予期していなかったお宝を発見することとなる。


「この山は魔道技師には宝の山だな。鉱夫(こうふ)や運搬業者、護衛たちがよくこの山に入るわけだぜ」


「どうかしたのか?」


「どうもこうも辺り一面ソーサリーファクトに使われている金属鉱石だらけだぞ。人間の手が加わっていない場所だからだろうがここだけで相当な金になるな」


これは次郎吉にとっては嬉しい誤算だ。しかし金属鉱石を製錬(せいれん)するとなるとちょっと話がややこしくなるので、今はソーサリーファクトの素材がたくさん手に入る場所を見つけたということを喜ぶことにした。


「着いたぜ。あの先に見える出口が広い空間でな。そこにたくさんあったはずだ」


次郎吉たちが広い空間に出ると確かに全面からマナ結晶が生成されていた。ここでプラムが大きいマナ結晶を調べる。


「どうだ? プラム?」


「かなり品質が良いマナ結晶だと思います。でもこのマナ結晶で魔物がいないのは不思議です」


「それはたぶんガルザたちが魔物を倒しているからじゃないか? この洞窟村からみると通り道の一つだろ?」


「あぁ。そういえばここを初めて通った時にでかい猪の魔物を狩ったな。後、結構強かった熊の魔物もいたか」


その話を聞いたプラムはガルザが魔物を狩り続けたことで魔物が出現しなくなったこととマナ結晶の少なさの理由が想像ついた。


本来のマナ結晶は一つの場所に大量に生成される。これはマナ結晶の生成条件が一定以上のマナの濃度の高さとその濃度を一定時間維持することだからだ。それが少ないということはここで激しい戦闘が起きて多くのマナ結晶が砕けたことを意味している。


ただこれは悪いことばかりじゃない。砕けたマナ結晶はマナを放出する。その結果、生き残ったマナ結晶はその放出されたマナを吸収し、更なる成長に繋がるのだ。つまりガルザは意図せず純度が高いマナ結晶の生成に一役買ったこととなる。


「はぁ~ん」


それを教えても興味が無いガルザである。これはしょうがない。純度が高いマナ結晶がどれだけ貴重なもので役に立つかわからないからね。それが分かればガルザも否応なく理解するようになるだろう。


「それじゃあ、採掘を始めるぞ。周囲の警戒を頼む」


「おう」


「はい」


次郎吉は指輪型の光線のソーサリーファクトを取り出し、焼き切ることでマナ結晶を切断する。水圧カッターを使用すると振動でマナ結晶が砕けてしまうので、衝撃や振動が発生しない方法で採掘しないといけない。その結果、一番細くかつ真っ直ぐ切断できるレーザーカッターが一番いいとされている。


一応ガスでやる場合もあるが切断面が広く火花が飛びとマナ結晶が損傷する恐れがあるので、あまり採用されない。ガスの利点はコストだ。レーザーカッターのソーサリーファクトが高価なのでお金に余裕がない人はガスを利用する。


次郎吉は自作できるので、レーザーカッターを今回選んだ。綺麗に切断すると次郎吉は装備していた衝撃吸収のソーサリーファクトで切断したマナ結晶を綺麗にキャッチする。これで採掘完了だ。これだけ準備してもキャッチした手を強く握りすぎてしまうと砕けてしまうので、油断はしてはいけない。


その後、プラムにソーサリーファクトを貸して同じように採掘して貰う。今回は二つのマナ結晶で満足して帰ることにする。これにガルザは聞く。


「もっと取っても良かったんじゃないか? 荷物持ちぐらい俺たちにも出来るぜ? まぁ、説得力はないだろうけどな」


「流石に今回のはプラムが厳選したマナ結晶だからな。今回は荷物持ちは無しにしてくれ。それにマナ結晶は取りまくればいいってものじゃない。いいマナ結晶を取るためには小さいマナ結晶を成長させる必要がある。今回の場所は小さいマナ結晶が多かったからな。引き時だったのさ」


恐らくガルザと魔物が戦闘した際に成長したマナ結晶の多くが壊れたのだろう。これを責めることは出来ない。命が最優先だ。ガルザも次郎吉の説明に納得今回のガルザたちの依頼は完了し、次郎吉は金を払った。


そして次郎吉はマナ結晶をソーサリーファクトの魔力バッテリーにするための作業を開始する。これには専用のソーサリーファクトの装置が必要。それがマナ吸引装置。これはマナ結晶の中にあるマナを吸い出す装置だ。


これでマナ結晶の中身を無い状態にする。これが魔力バッテリーがゼロの状態だ。つまりこの(から)の結晶にマナの代わりに魔力を貯めるのが魔力バッテリーの内部構造となる。後は(から)の結晶の固定とソーサリーファクトが損傷した際に結晶に破片が触れるのを防ぐために周囲を金属で固める必要がある。


因みにマナ吸引装置もマナ結晶に穴を開ける作業があるので、ちょっとミスすると砕けてしまう慎重な作業が必要となり、そのためプラムには外の周囲を警戒してもらっている。もし子供が家の中に入ってきて走り回っただけでも終わりと見ていい。それほど繊細な作業だった。


次郎吉は専用のマナ結晶固定装置を使いしっかりマナ結晶を固定すると『アルバ』に用意して貰っていた金属の箱の中にマナ結晶固定装置を入れて魔力を流すための魔力ラインを組み込めば魔力バッテリーの完成だ。


「おし。作業終了! 後はこれを何に使うかだな……あ、あぁ~……肩こった。もうこんな時間か。作業に熱中しすぎたか……ん?」


次郎吉はここである物がどうしても欲しくなるのだった。

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