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異世界転生した鼠小僧は義賊になる  作者: とんし
動乱編
111/122

#111 ギルター屋敷と手を組んだ魔道技師

次郎吉はまずギルターの屋敷の様子を確認すると見張りや警備の人も誰もいない普通の夜の屋敷状態に見えた。


「誘ってやがるな……それにどうやら俺っちのことはソリスには伝えたくないらしい」


ソリスと次郎吉との勝負は現時点で次郎吉の全勝である。その結果からソリスのことを信用出来なくなったのか。それともコーネの拉致監禁がバレると自分たちがソリスに捕まるリスクがあるので、ソリスを呼ぶことが出来なかったのかの次郎吉の中では二択となった。


情報漏洩などを警戒した可能性もあったが次郎吉が来ることをほぼ確信している彼らが情報漏洩など気にする必要がない。


「さてとまずはコーネの位置だな。そもそもコーネがいるかもわかんねーし。とりあえず入って確認するしかねーか。どこから入るか……相手に高みの見物ばかりされるのも癪だし、ここは泥棒の美学を捨てて嫌がらせをしてやるとするか」


次郎吉は透明になるソーサリーファクトを起動させて屋敷に接近すると次郎吉は直感が何かを感じ取る。


(気付かれたな……バルバリス王国から俺っちの対処法でも聞いたか? ま、関係ねーか)


次郎吉は背負っているリュックから四角い箱を取り出して、壁に設置して、その場から離れる。


「俺っちからの嫌がらせのきたねー花火だ。ちゃんと受け取れ。ごみ共」


次郎吉がスイッチを押すと設置したソーサリーファクトが大爆発する。


「これで俺っちを捕まえる口実が出来て良かったな」


流石に屋敷の壁を大きく破壊する爆発のソーサリーファクトを無許可でしかも人が住んでいる家に使用するのは完全に法律違反である。


これを安全なところで見ていたギルター宰相は言う。


「鼠小僧め……やってくれたな。そんなに自分が可愛いか」


「どういうことですかな? ギルター宰相」


ギルター宰相と手を組んだ年老いた魔道技師が次郎吉の行動について質問するとギルター宰相は答える。


「一見すると屋敷を破壊する行為に見えるが奴の狙いは別のところにある。あれだけ派手な爆発が発生すればどうしても音は聞こえてしまう。もし周辺住民がソリスに通報したら厄介な事になる」


「だから言ったんじゃよ。結界は貼っておくべきじゃとな。どうせ鼠小僧は結界をすり抜けるんじゃ。結界は貼り得ではないか」


「確かにあなたの言うことを聞いておくべきでした。トーマン魔道技師」


ギルター宰相と手を組んだ年老いた魔道技師はトーマンだった。彼はエルバーン子爵の屋敷の防犯を担当した魔道技師であり、五魔道技師に数えられる防犯のソーサリーファクトのスペシャリストだ。鼠小僧との直接対決は今までになかったが犯罪のソーサリーファクトと防犯のソーサリーファクトの対決という話でなら幾度ともなく戦ってきた。


そして次郎吉を捕まえることが出来ていないので彼視点では今のところ全敗。次郎吉からすると防犯のソーサリーファクトに引っ掛かっただけで負けなのでお互いが何度も相手に負けている認識となっている。


そんな中、ギルター宰相から鼠小僧と直接対決する機会が与えられた。トーマンも弟子はいるが老い先短い身だ。自分の人生最後に最強の犯罪者が現れたことが運命に感じ、その相手との直接対決に手を貸すことにした。無論トーマンのギルター宰相が悪いことをしていることには気が付いている。それでもなお自分の人生が終わる前に鼠小僧との勝負を優先した。それだけトーマンにとって鼠小僧は最高の存在だったということだ。


「屋敷の中に複数人……いい判断するじゃねーか」


次郎吉はさっきの爆発で屋敷の中から一斉にソーサリーファクトから逃げ出す複数人の足音を聞いていた。そしてこれで逆に次郎吉からするとコーネの居場所が分からなくなった。


(俺っちなら間違いなくコーネをわざわざこの屋敷に置く真似はしねーがそっちを探しに行ったら、コーネの命は亡くなるな。ならさっさと捕まる手もあるが無抵抗で捕まるのは俺っちの泥棒としての矜持に反する。なら思う存分暴れさせて貰うぜ!)


次郎吉が屋敷の中に走り出した瞬間、地面から急にソーサリーファクトが姿を見せた。


(ソーサリーファクトの遠距離起動!?)


次郎吉は地面を蹴り、空に逃げる。すると次郎吉がいた場所に大量のワイヤーが展開された。


「あっぶねーな! っ!?」


次郎吉が空に逃げたことでギルターの屋敷に隠れていた魔法使いたちからすると格好の的だ。結果、魔法が次郎吉に放たれるが次郎吉はその魔法を吸収して着地する。


「魔法を吸収したじゃと!? そうか……あ奴もバルバリス王国の最新技術を手に入れておったのか。流石じゃの」


トーマンはエルクレッド王国の魔道技師をしており、隣のバルバリス王国の技術についても詳しかった。彼も戦争を知る魔道技師だ。バルバリス王国の魔道兵器を警戒するのは当然と言えた。


そして次郎吉も今回の敵の中に凄腕の魔道技師がいることを認識した。


「おもしれーな! おい!」


次郎吉が穴から屋敷に入ろうとした時だった。天井に設置された小さな大砲のソーサリーファクトが起動し、次郎吉目掛けて白い大砲を放つ。すると次郎吉の目の前で爆発し、ロープが次郎吉に襲い掛かったが次郎吉は天井に飛び上がり電磁力でへばりつく。


そこを更に別の大砲が狙うが次郎吉は天井を蹴り、壁に張り付いて回避すると地面に着地し、廊下を走り出す。それを映像で確認したトーマンは目を輝かせる。


「なんという身のこなしとソーサリーファクトの操作技術じゃ! そう来ないと面白くないのぅ!」


こうして二人の対決は白熱したものになっていくのだった。

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