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自称悪役聖女は今度こそ生き延びます!  作者: りおん
3章 ジェインとシェリアの出会い編(おまけにナスタも)
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叶うことなら俺が君の...

人格を切り替えるところから、シェリアと会話するところまでの、フィリップsideです

(そろそろ、『聖女』に他の人格と会わせてみるか)



エドガーは他人事のようにそんなことを考えていた



"エドガー"も元の人格ではないのだが、人気度的に必然とエドガーでいることが多いので主人格だと思われているし、そう思われるように行動している


そもそも本当の人格がどんなだったのか、自分でもわからなくなってきているのでそうするしかないのだが。



(とりあえず、第二王子でいいだろう)



フィリップ・アルゴットへと意識を切り替えつつ、部屋で休んでいるであろう『聖女』の元へ向かった




すれ違う侍女たちとの軽い会話の中で、意識を完全にフィリップへと切り替え

『聖女』の部屋の扉をノックする



「はーい」と、何とも間の抜けた返事が返ってきた


エドガーなら少しためらうだろうが、俺は特に気にせず扉を開く



「やぁ、聖女様!

可憐な君に会いたくて来てしまったよ」



「げっ、フィリップ・アルゴット...」



なんと、俺のことを知っているとは

知っているかもしれないとは思ったが、第一声だけでわかるとは思わなかった。



「あれ、わからないかと思ったのに。

まぁ、『エドガー』って呼んだらキレてたけど」



今言った通り、俺はエドガーが嫌いだ

そしてエドガーも俺のことを好きではない


まぁ、理由はエドガーも俺もわからないのだけど。





「...それで、何の用ですの?」



あれ?エドガーには無理して嫌悪感を出していたはずだけど

これは、本当に俺のことが嫌いっぽいぞ?


おかしいな、俺何かしたっけな...

思い当たる節もないので、いつもの調子で返す



「用事がなきゃ来ちゃいけないのかい?」


ここで万人うけスマイル。

女子ならだいたいこれで落ちてくれるんだ、けど...



「用事がないなら戻っていただきたいのですけれど」



悪化したな。なぜだ?

とりあえず、誤魔化すのをやめて建前を話すことにした




「いや、聖女様は俺のこと知らないだろうと思って挨拶に来たんだよ」



本当は『聖女』の好みを知りたかったからだが、この調子だと俺は嫌われているな。




「なら私はあなたのことを知っているので必要ありませんわね」



しかもすごい拒絶してくる。

新鮮な対応過ぎてむしろ関わりたくなってくる



「いや、でも俺は聖女様のこと知らないし」



嫌われているのに引き下がらないのは良くないと思いつつ、それでも関わろうとしてしまうのは

心根は優しい『聖女』に甘えているからだろうか



「...何が知りたいのです?」



諦めたような顔をして聖女は聞いてきた



ふむ。そういえば、俺は何が知りたいのだろう?

顔を合わせるという目的は達成したし、嫌われていることも確定した

なら今後俺が『聖女』に会うことはほとんどなくなるだろう


その上で、聞きたいこと。

常に無理して反抗的な態度を取っているこの『聖女』に、俺が聞きたいと思っていること。





俺のことを睨みながら待つ『聖女』に、「じゃあ、1つだけ」と前置きして、聞いた




「ここは楽しい?」




いつも気を張っているこの少女は

きっとここを楽しいなどと思っていないだろう


それでも、何か1つでも、気が紛れるような、そんな楽しいことがあればいい


そんな願いを込めて聞いた。






俺の質問の意味が理解できなかったのか、『聖女』は呆けた顔をしていたが

しばらくして勝手に納得したらしく


「楽しくなんてありませんわ。散歩するぐらいしかやることがないですし、話す相手もほとんどいませんもの」


と否定してきた





その言葉は俺にとって予想通りで、そう話す『聖女』の顔は俺にとって予想外だった




やることもなく、ほぼ軟禁状態の彼女が楽しくないと言うのは当たり前だ


だが、楽しくないと話すその顔は

無理して本音を隠しているいつもの顔。ならきっと本心は



(そうか、楽しいのか)



思わず綻びそうになる頬を引き締め、ならやりたいことでもあるのかと聞いた


ここへきて大した日数も経っていないのに、そんなものないとは思いつつ

もしあるなら協力したいと思った





「...植物の研究を」





(っ!!)



その言葉を正確に理解した俺は

『聖女』に娯楽を与えることのできたエドガーへの嫉妬と、強がらず頼ってくれた嬉しさで、何とも言えない高ぶりを感じる


俺はクリスタルローズに詳しそうな科学者を紹介し、そのまま部屋を出て行った










自分の部屋に向かいつつ、先ほどの『聖女』を思い出す





『聖女』に嫌われた俺はお役御免だ


だけど、それでも彼女にまた会いたいと思ってしまった



そう思った俺はふっ、と笑いをこぼす


(これはエドガーのせいだな。お前が興味を持つから、俺まで興味が出てくる)



なら責任を取って、またフィリップとして会いに来れるようエドガーに...いや



("アイツ"の方が確実か)



王子としては役立たずでも、何だかんだ言って俺とエドガーがお互いを潰さずにいるのはアイツのおかげだ



(たまには任せてみるか)



次に『聖女』に接触する人格を"第三王子"にすることに決めつつ

軽い足取りで自分の部屋へと戻っていった

サブタイトルは、何となくまだかなーと思って言ってないですが

続く言葉は『王子様に』ですね。


多重人格のフリ、というのがなかなかわかりづらいと思いますが

その人になりきってる、って感じですかね。

記憶と感情は共有してるけど別の人間だと思ってる感じです。


なので、エドガーがシェリアに興味を抱けばフィリップも興味を抱きます。たとえ嫌いでも感情は共有してしまうんですね。


シェリアは別にフィリップが嫌いではないです。聖女なので嫌いにはなりません。苦手ってだけです。フィリップの勘違いです。



ジェインとシェリアの出会い編はこれで終わりです。

次回からはマッドサイエンティストのお話になる予定です。第三王子も出せるかな?

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