お化けの方がマシでしたわっ
シェリア目線に戻ります
ブクマ&誤字報告ありがとうございます!
日本語力の低さは嫌という程自覚していますので、誤字報告めちゃくちゃありがたいです
フィリップが部屋を訪れてきた翌日
嫌な予感を頭の隅に押しやりつつ、シェリアは研究室へと向かった
(大丈夫よ、シェリア。だって"アレ"は聖女の力を研究するために連れてこられた変人だもの。植物のことなんて知るわけがないわ)
大丈夫だと自分に言い聞かせている内に、いつの間にか研究室に着いていた
しかし何度心の中で言い訳をしていても
何千年と生きてきたシェリアの第六感が激しく警鐘を鳴らしている
「...きょ、今日はやめようかしら」
怖気づいたシェリアが踵を返そうとした時、研究室の扉が開いた
想定外のことにシェリアが固まっていると、扉の奥から出てきた人物と目が合ってしまう
そしてその人物は、シェリアを見た瞬間
まるで子供のように目を輝かせ始めた
「も、もしかしてあなたは」
「人違いですぅ!??」
シェリアは逃げ出した。
全力で走った。
聖女の力を使えば一瞬で逃げられるだろうが、それだけはしてはいけない。
彼の前で、聖女の力を使うことだけは、絶対にしてはいけない。
(やっぱりっ!やっぱりネアだったっ!!)
私がマッドサイエンティストと呼んでいる彼、ネアは
出自のほとんどが謎に包まれている。『ネア』というのがあだ名なのか名字なのかもわからないが
シェリアにとってそんなことは大事ではない
ネアは聖女の力を分析するためにこの王宮へやってくる。
専門分野というものがないらしく、珍しければ何でも興味を示すらしい
ちなみに
何でも研究できるほど物凄く頭がいいが、残念ながらその能力は研究に全振りしているため日常では発揮されない
そしてネアをマッドサイエンティストと呼んでいる理由
あれは何度目の人生だったか
あまりの非道な実験の数々に、私を殺すつもりなのかと聞いたときに
「殺したら聖女の力がなくなってしまうかもしれないから、殺すのは他の実験が終わってからだよ」
と笑顔で言われたのだ。
まぁ3年経っても実験は終わっていなかったので、私を殺したのがネアだとは断言できないが
少なくとも、私が今でも鮮明に思い出せるほどのトラウマである。
そんなわけで、ネアは警戒対象でも最上位に位置している。なんなら今までの人生の半分以上はネアだけを警戒していたぐらいだ。
トラウマを思い出しながらも、全力で走っていた私は
やっと自分の部屋の前に辿り着いた
「ふ、振り切っ...」
「へぇ、聖女の部屋はここなのか」
ギギギっと、壊れたロボットのように後ろを振り向く
「覚えておくよ、ところで」
「でっ、出たーーー!!!!!」
思わず叫んだ。お化けより怖いものが後ろにいた。
あんなに走ったのに、なぜ追いつかれた
しかも部屋を特定された。
「えっ、そんな怖いものを見るような目で見ないでくれよ。まだ何もしてないだろ」
「"まだ"とか言わないでぇ」
思わず涙が出てきてしまう。
すると、不意にネアと私の間に人影が飛び込んできた
「ネアっ!!!!お前何やってんだ!!!」
「んっ?おぉ、マルク。久々だな」
「マルク?」
顔を上げると、心配そうに私の顔を覗き込むマルクの姿があった
「大丈夫か?どこか痛むところとかあるか?」
「マルク〜〜〜!!!!!!」
安心したせいで、思わずマルクに抱きついてしまった
ネアの驚いたような顔に我に返った私は、急いで離れはしたものの
突然のことにマルクは完全に固まっていた
(や、やらかした...)
悪役聖女はどこへ行ったっ!!
いくらネアが怖かったとしても、マルクに泣いて抱きつくのはアウトだろうっ!!
あっ、でもクリスタルローズについて(一方的に)話し合ってたときは悪役聖女やれてなかったな...
難しい。グダグダだ。
「ねぇ」
不意にネアが、固まっているマルクに話しかけた
「言っておくけど、俺別に何もしてないからな?」
ネアの言葉に、再起動を果たしたマルクが反論する
「はぁ!?何もしてなくてこんな怯えるわけないだろう!!」
えっ、マルクが正義の味方に見える...
実はいい人だったのかしら...私の頭が狂ってしまったのかしら...
ハッ!もしや既にネアの実験は始まっているの...!?
「いや、俺の顔見た瞬間逃げ出すから、追いかけて『ここが聖女の部屋なのか』って言っただけで」
よ、よかった。実験は始まっていないらしい
ネアは嘘ついたり誤魔化したりはしないから、それだけって言うなら本当にそれだけなのだろう
「いやそもそも追いかけるなよ」
確かに!!振り切ったと思った瞬間に後ろから声がしたのは恐怖以外の何物でもなかった!マルク、もっと言ってやれ!!
「でも研究室にきたのは聖女だぞ?」
ここへ来て正論だとっ!?
いや、そういえばこの人生ではまだ何もやっていないな。よく考えたらさっきから普通のことしか言ってない。
端々に狂気は溢れているが。
「聖女様が?...あ、もしかしてクリスタルローズのことを聞きに?」
「ん?クリスタルローズ?」
ん゛んッ
私に話しかけないでっ!そしてネアが興味示すようなことは言わないでっ!!
「え、あ、あー、いや。全然違います!!部屋を間違えただけです!!!」
私はノックすらしてなかったはずだ。
間違えそうになっただけ!そう!研究室になんて用はなかった!!
「いや、あそこらへんは研究室しかないんだけど...」
そうだったーー!!!研究室とは名ばかりの、研究棟だったー!
どうして私はこんなにアホなのっ!
いや、アホなだから何千回も死んでるのよね!知ってた!!
「で、では!!失礼します!!!」
これ以上の問答は墓穴を掘るだけだと判断した私は、とりあえず部屋に逃げ込んだ
しばらくしてマルクとネアの話し声が遠ざかっていくのを確認し、ひとまず胸をなでおろす
「と、とりあえずネアの襲撃に備えなきゃ...」
ネアは明日にでもここを訪れるはずだ。
となると、今頼れるのはジェインとナスタしかいない
しかしジェインは殺してしまう可能性があるから最終手段だ。とりあえずは明日の朝、ナスタが部屋に来たときに相談しよう
今日の様子だとマルクも守ってくれそうではあるが、なにせネアの幼馴染なのでちょっと判断がつかない。
(ん?幼馴染...)
そういえば、ネアのことは全然知らないことに気づいた
今まで、実験体にされてるときはこっちの話など聞いてくれないし、モノとしてしか見えていない様子だった
そしてマルクと普通に話すようになったのも、昨日が初めてだ
(次、散歩に行くときに聞いてみようかな)
早めにネアの情報を得ようと決意し、シェリアは眠りについた
今回は、いろんなキャラが入り混じって出てくる感じになりそうです
相手sideのお話どの程度書けるかな...




