闇のグルメ(1)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の新たな物語。
パーク入園から1時間後の午後2時半過ぎ。龍達はパーク内を散策したあと、美夜の発案で集合写真を撮ることにした。
旅の思い出となる記念写真。近くにいたスタッフに撮影を頼み、前後2列に並んで撮ってもらっていた一行だったが、死獣神メンバーは数分前からそれどころではなく、あることが気になって仕方なかった。
「龍。気付いたか?」
宙らに聞こえないくらい小さな声で話しかけてきた雲雀の言葉に、龍は頷いた
「ここに来る少し前あたりから。少なくとも11人はいるね。獲物を狙う獣のような視線と殺意を向けてくる人達が」
龍の言葉に、雲雀は呆れてため息をつく。
「せやけど、やっぱこうなったか。あいつがおいしい話を持ってくる時は、大抵裏があるとは思っとったけど、あのドアホ……」
武文に対する恨み節を言いつつ、雲雀は龍達と共に、いつ襲撃が来てもいいように周りに目を配った。
記念撮影終了後、その嫌な予感は見事に的中した。突然投げつけられた煙玉によって、あたりに煙が立ち込め、先住民のような恰好をした男10人が急襲してきたのだ。
死獣神メンバーは殺気や格闘で半数を退散させたものの、その間に柚と宙と美夜と真美を含む客が連れ去られてしまった。
「くっそー! 逃がしてしもたか!」
「しかも、猫宮さん達まで……」
「これからどうするんですか?」
澪は武文にそう尋ねていたが、すでにやることが見えている者もいる。
「龍。行く気なんだよね?」
奏に聞かれた龍は、力強く頷いた。
「グズグズしてたら、黒川さん達が危ないからね。だから、姉さんは僕らを信じてホテルで待ってて」
そう言われた奏は了解し、武文の指示で護衛役になった澪に守ってもらいながら、一足先にホテルに帰った。
彼女達や他の客の姿が見えなくなると、雲雀は、
「……さて、武文。そろそろ説明してもらおか。あいつらが拉致られたんは、依頼が関係してんねんやろ?」
と、武文に詰め寄った。
その圧に屈したのか武文は素直に肯定し、この旅の本当の目的である依頼について正直に話し始めた。
その依頼は一昨日の未明頃に差出人不明で届いていたらしい。
それによるとその依頼の内容は、家族を殺した長崎の食人族を皆殺しにしてくれというものだった。
よほど完遂してほしいのか、匿名の依頼者は彼らの根城と思われる旧日本軍の防空壕の見取り図を報酬350万と一緒に送ってきていた。
太陽神教の時と似ているが、報酬が少ない。そのことに雲雀は不満を漏らすも、武文はそんなことなど全く気にせず、
「じゃ。3人共頑張ってね」
とだけ言って、自分だけホテルに帰ろうとした。
「ちょお待て。あんたは?」
「行くわけないだろ? 僕なんかが行ったところで、餌になるのがオチだし。じゃあね」
そう言うと、武文は残った龍と雲雀と翔馬の健闘を祈りつつ、自分は彼らに現場を丸投げして去っていった。
この態度に、雲雀が怒らないわけがない。
「あんのボケェッ! また自分だけ、楽なとこから指示を出そうとしよってからにぃ!」
怒りの炎を燃やす雲雀をなんとか鎮めた龍と翔馬は、真美らを救出し、食人族を全滅させるために、急いで彼らが住む防空壕へと向かった。
やはり裏がありました。
あの武文が、そうそうおいしい話なんて持ってくるわけがありません。
というわけで、慰安旅行強制終了です。




