死獣神の慰安旅行(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の新たな物語。
奏と合流後、龍は彼女にあれからの近況の変化を説明しながら、みんなと一緒にそのテーマパークに入園した。
みんな思いっきり羽を伸ばして楽しんでいたが、雲雀と澪だけは、一時休戦して奏の動向を監視していた。
この状況を見た宙や美夜が面白がらないわけがない。
「龍ぅ。モテモテだね~このこのぉ」
「まったく羨ましいぜ。そのモテっぷり、俺にも恵んでくれよ」
2人からの執拗な絡みは、やられている龍からすれば気分がいいものではない。その後もしばらく嫌がっていると、それを聞きつけた奏が飛んできた。
助けにきてくれた。そう期待していた彼だったが、
「聞いたよ龍。女をその気にさせるなんて、いつの間にそんな色男になったの? このこのぉ」
その思いは他でもない彼女の手によって、無惨に砕け散ってしまった。
「で、実際のところ、どうなの?」
「どうって?」
「ちゃんと好きな子がいるのか? って聞いてんの。私が思うに、龍にはグイグイ引っ張ってくれる姉さん女房みたいなのが、相性的にいいと思うんだけどなぁ」
奏にそう聞かれ、深く考えこんだ龍は、迷いながらも1人の女性を見つめる。
その視線の先にいたのは、全員の予想に反し、人にぶつかって何度も頭を下げている柚。
まさかの相手に、絡んでいた3人は驚きを隠せない。
「マジで?」
「あ、あくまで見た目ではって話だよ。それに、雲雀さんと澪さんも僕は……だから、正直決めかねてるんだ」
頬を赤らめながら龍がそう答えたのを聞き、日頃のドジのせいで意外と知られていないが、柚がミスコン優勝候補レベルに美人なのを知っていた美夜は、彼が惚れて迷ってしまうのも納得だと頷けた。
その一方で奏は、自身の豊満な胸を持ち上げながら、
(よりにもよって貧乳派か……あーぁ。胸には自信あったんだけどなぁ)
と、密かに肩を落とす。
それだけ奏としてはガッカリものだっただろうが、彼女とは対照的に陽気な宙は、龍の肩に腕をまわした。
「そっか……だとしたら、俺とお前は恋のライバルってことになるな」
「え? 黒田君も?」
「まぁな。あいつを見てると、なんかすっげー癒されるんだ。ま、そういうわけだから、龍。こっちだってネコとは長い付き合いなんだ。ぽっと出のお前なんかに負けるつもりはねぇぞ」
宙からフレンドリーにライバル宣言をされた龍は、彼の熱さに圧されたものの頷き、その勝負に乗った。
そんな話をしていると、普段学級委員をしている真美が、彼らを注意しにきた。
「あなた達。話が盛り上がるのはいいけど、遅れてるわよ。団体行動を忘れないで」
「出た! ガリ勉メガネ」
宙と美夜に声を揃えてそう言われ、真美はムッと険しい顔をする。
明らかに怒っている。そう思った龍と宙達は、これ以上真美の機嫌を損ねたら、ロクなことにならないと思い、謝ってから翔馬らの方へ急いで向かった。
奏や龍の心が垣間見えたと思います。
柚の心を射止めるのが誰になるかは、今後のお楽しみということで。
ちなみに龍達は私服ですが、柚はうっかり全部洗濯されてしまっているらしく、学校指定のジャージで参加しています。




