2-7 それでも
『……主はたくさんの辛いことを経験したのだな。』
「もう、辛いなんて思わなくなったんだよ」
私の心はもうずっと動いていない。
表面上は感情豊かにすることは出来る。
でも、1人になるとそれはすぐに消え去る
「ねぇ。ミーサ……」
『なんだい?』
「わたし、このことペッレにもレオンさん達にも話そうと思う……」
話さずに迷惑かけてしまうよりも、話して迷惑かけた方がいい。
そう感じた。
『主が決めたことなら、否定はしないよ。』
ミーサは、微笑んで私の頭を撫でてくれた。
「街に行こ」
私は、街に行く決断をした。
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約1週間ぶりの街並み。
目の前には、あの時ぶつかった綺麗な人がいた。
「あ、君はあの時の……」
「あ!あの時はごめんなさい!」
彼は静かに
「大丈夫だ。ところで、君の名前は?」
「レナです!澤井玲菜<サワイ・レナ>。あなたは?」
「俺?俺は、ヴァロン・ラッカウス。騎士をしている。よろしくな。」
ヴァロンさんは、手を差し出してくれた
私は少し躊躇した。
ヴァロンさんの目はとても暗く、闇が広がっていたから
この人は、なにか抱えている
握手をしてしまえば、危ないかもしれない
命ではなく、何か、また別な……
でも、それでも
私は気づけば手を握っていた。
「よろしくお願いします!」
「少し、時間あるか?お茶でもどうだ?」
え、2度目ましてとはいえお茶に誘われるのなんて初なんだが。
まぁいいか。
「いいですね!」
私はヴァロンさんとお茶を飲みながら色んなことを話した。
「そういえば、レナは何歳なんだ?」
「24ですよー」
「近いな……俺は25だ。」
近いっていうかこれもしや同い年では?
「今年25になったんですか?」
「あぁ。」
「なら同い年ですね」
「そうなのか?」
「はい!」
不思議だ。
闇が深そうな人なのに一緒にいると安心する。
「レナはどこから来たんだ?」
「日本からですよー異世界転移ってやつですかねー」
……しまった!口を滑らせた!
「異世界……そうか。」
え、それだけ……?
「俺のことはヴァロンでいい。あと敬語もいらない。」
「わかった……ヴァロン。」
彼は数秒目を見開き、初めて微笑んだ。
「レナは、面白いな。」
少しだけ、ヴァロンの目が光を宿した気がした。
「レナは冒険者なのか?」
「うん。そうだよ。」
「なんで、あの時飛び出してきたんだ?」
気になるよねぇ……
でもヴァロンになら、言ってもいい気がする。
「実はあの時、この世界に来て初めて出会った人が私の陰口言ってたのを聞いちゃったの。」
「そうだったのか……」
ヴァロンは、頭を撫でてきた。
「……え?」
「あ、すまない。何となく撫でたくなった。」
なんとなくとはなんだ、なんとなくとは
もしや、保育園児だと思われてるのか?
なわけないか。
「っと、すまない。時間だ。」
「大丈夫だよ。話聞いてくれてありがとね。」
「こちらこそだ。それじゃ。」
私たちは解散し、私はギルドへ向かった。




