32 器の大きさと豚骨スープの濃度の関係
「さて、ここからが本番です。勝負は両者、譲らず。ラーメンは15杯目に差し掛かろうとしています。」
カラン。カラン。
子気味良い音を立て、またしても積まれていく、ラーメンの器。
両者全然譲らず、ほぼ同じタイミングでどんどん器を置いていく。
置いた音も同時であり、お互いに麺を口の端から出しながら、相手を目で制する。
「そろそろ限界くまね。」
センシの腹は大きく膨れ、そろそろ限界の様子。
対するくまたんは胃袋ブラックホールなご様子。
「そっちこそ、そんな小さい身体にたくさん入らないだろう。」
影の薄い戦士はラーメンを飲み込んだ後、手拭きで拭うと紳士的に答える。
「チャンスくまっ。」
それを見て、機を逃すまいと、次の皿をチーンと鳴らし、要求するくまたん。
「これが大会ってやつくまっ。」
ちなみにくまたんの心の中はタダで食べれてうれしーそれだけである。
特に他意はない。
「こっちもお代わりだ。」
チーンと続いて戦士も次の皿を要求する。
見た目小さい女の子に負けるわけにはいかないのだ。
戦でも戦いでも。
それは戦士としての彼の矜持がそうさせるのか。
あるいはただ、ラーメンをむさぼりたいだけなのか。
「完食くまっ。」
サドンデス方式のため、少し離れた席でそう、観客に告げるくまたん。
つゆをラーメンの器を両手で持ち、飲み干すと、空になったラーメンの皿をみせ、アピール。
きちんと観客へのアピールを忘れないくまたん。
もちろんそこにつゆはないし、しっかりと器の底が見える状態である。
残るのはスープのわずかな水滴だけ
。
スープは毎回、レンゲは使わずがぶ飲みなのである。
クマなので、お行儀は悪い?のである。
なんとしても手に入れたいラーメン一年分。
そのためくまたんは動く。
カラン再び動く子気味良い音。
「両者、18杯目に入ろうとしています。」
先に皿を置いたのは戦士。
こちらはスープを残して皿を積むため、多少、スープがテーブルの上に落ちる。
「くっまっ。そろそろ、お腹いっぱいになってきたくまっ。でもまだ頑張るくま。」
お腹をさするくまたん。
チリン。
「これで18杯目くまっ。」
そういって再び、麺を啜るくまたん。
「そろそろ、おなかいっぱいくまっ。」
くまたんが箸を置いた。
「限界くまっ。」
ラーメンの皿はそれでもきれいに空っぽの美しい仕上がり。
「おっとここで、両者決着がつきそうです。くまごろー選手限界の様です。一方のドスコイ選手はまだ、行けそうですか?」
司会の問いに、戦士は食べ終わった皿を積み、チリンというを音で答えるのを忘れない。
そして麵が来るまでの時間で見事な筋肉を見せつける。
普段、あまり、出てこなくて、語尾を安定しないのをここで回収しようという算段なのだろう。
ただ、誠に残念なことにその立派な筋肉にはラーメンの麺の端切れが乗っかっている。
こちらもお行儀はよくないらしい、犬食いはまでしてないけど。
それとも、気づいていないだけなのか。
そして最後の19杯目を飲み干す戦士。
カランと最後の杯が置かれる。
勝敗は決まったようだった。




