勇者さんと、ダンジョン
「これが、ダンジョンですか」
村の西にある古びた遺跡。深淵へと続く階段。
「さあ、勇者さん。先に入った女の人を助けに行きますよ」
「ぼ、僕は別に行きたくは……というか、二日前ならトラップに引っかかって死んでる可能性だって」
人見知りに、ネガティブな妄想をさせたら一級品。
「ルーメン」
クロードは魔法使いの杖に光を灯すと
「さあ、行きますよ」
ゼファーの襟首を掴み、地下への階段を降りる。
開けた空間に出ると
「じ、自分で歩くから、離して」
ゼファーが、クロードの手を振り払う。
「勇者さん、トラップがあるかもしれません。むやみに動かないでください」
ガコン
何かのスイッチが作動する音。
ゼファーの足元の石がへこんでいることに、クロードが気づいた時には遅かった。
「……え」
横から出現した分厚い壁が、ゼファーとクロードを分断。
クロードは壁を叩きながら
「勇者さん、勇者さん、大丈夫ですか!?」
しかし、返事はない。
周囲には、かすかに魔物の気配を感じる。
(彼は、一人で戦えるんでしょうか……)
クロードは、これまでの戦闘を振り返る。
スライムか現れた。
「クロードさん、何とかしてください」
「……仕方ありませんね」
ゴブリンが現れた。
「ぼ、僕には無理です」
「……」
結局、ここまで魔物を倒したのはクロードだった。
「こ、このままではセコイ手を使ってまで魔法使いになった意味が……」
クロードは唇を噛み締めたが、深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
(いえ、仮にも勇者の称号を持つ者です)
簡単に倒れるはずはない。
「合流する方法を考えましょう」




