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【完結】傷ものメイドはBLゲー攻め達に囲まれる〜悪役令息の執着が止まりません〜  作者: 日月ゆの
第三章

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逆転悪役令息


 


「は?」



 ノアは冷ややかな目だけを向けた。リオンがひく、と頬を引きつらせる。

「BLゲームの話だから聞いて」とリオンは前置きをし、続けた。



「悪役令息ノア君って、父親に認めてもらうために王位継承に固執して、快活で両親に愛されるアルヴィンに劣等感を持っていたの」


「……なんでそれでお前を誘拐すんだよ」



 ポットの蓋を戻し、腕を組んだノアが身体ごと向き直した。

 リオンは待ってましたとばかりに言葉を続けた。



「だけどね、憂さ晴らしに元平民のリオンくんに意地悪してたんだけど、次第に彼の真っ直ぐな性格に惹かれてしまうの。そしてついに、同じくリオンへ恋するアルヴィンへの劣等感と初恋をこじらせ1線を超え……誘拐イベント発生」



「それじゃあ……まるで……」



 こくり、と頷くリオンがノアの言葉を引き受けた。



「ノアの代わりにアルヴィンが『悪役令息』になったんだよ」



 自分の顔から表情が抜け落ちる。

 燃え上がっていた怒りが、冷水を流し込まれたように急速に鎮まっていく。


 アルヴィンとノアを取り囲む環境すら逆転している事実。

 ノアは王位継承なんてまったく固執もしていない。

 それは自分が転生者だから起きた歪みだ。



 ⸺ミラは俺のせいで誘拐された?



「ノアくん、だから大丈夫。すぐミラちゃんは見つかるよ」



 リオンの励ましに、ノアは反応できない。

 胸にのしかかる事実を受け止めきれず、ただ床の一点に視線を縫い止める。



「……俺がノアだからミラが誘拐された?」


「違うよ。アルヴィンがミラちゃんを誘拐したのは自分(・・)のため」



 リオンの鋭い声。

 彼にしては厳しい言葉も、怒りが滲む。


(自己満足で悔やんでる場合じゃない、ってことだよな……)


 ミラにとって己が『特別』だと錯覚していたな。


 ふ、とノアは自嘲するに吐息をこぼす。


 まあ、いつかアルヴィンとは決着をつけなくてはと考えていたのだ。


(ノアの記憶に引きずられてしまったばかりに……従兄弟だろうが、もう許さない)



⸺俺とミラのいちゃラブ(明るい未来)のために。


 それにどうしてくれるのか。ミラの出自を明らかにするのは、己の口からと考えていた。

 興味も無い王位継承なんかで、今後も大切なお嫁さんに絡まれるのは面倒だ。


 丁度良い機会ではないか。

 ミラを誘拐した罪もろとも、アルヴィンには悪役令息の断罪も引き受けて貰おうではないか。


 ぐっと唇を引き結び、顔を上げる。


 前髪を掻き上げ、ノアは温度の無い声で告げた。



「必ずミラを取り戻す。⸺悪役令息を断罪しに行くぞ」



 覚悟が決まれば、思考も冴え渡る。


 王子であるアルヴィンが危険を犯してまで強行したということは、それ相応の策が張り巡らされているはず。


 だがミラの将来のために、騒ぎ立てず、一切の逃げ道を残さず包囲する。


 

 ⸺生き続けることを後悔させるくらいにな



 不敵に唇を歪めたノアは踵を返す。


 ぎょっと目を剥いたリオンがなぜかノアの腕を取り、引き止めるように引っ張る。


「なんだよ?」


 平坦な声で答えたノアに、ひえ、と息を呑んだリオン。

 だがリオンはハッとして、サロン後方の白い扉を指差した。


「この王族専用階には隠し通路があるの。その先に繋がる王都内の屋敷にミラちゃんはいるよ」


アメジストの瞳が静かに燃える。


「……行くぞ」


 

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同じ異世界恋愛短編ですお時間あればぜひ 追放された幼女聖女ですが、今はエルフ王子に溺愛されています
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