21. epilogue
………20年後………
晴れ渡る空の下、ひと組のカップルがお互いの家族に囲まれ、永遠の愛を誓っていた。
燃えるような真っ赤な髪を綺麗にまとめあげ、美しい刺繍が施されたベールをかぶった新婦は、わずかに覗くアクアマリンを思わせるブルーの瞳を潤ませ、新郎を見つめている。
一方、緊張の面持ちの新郎は、近衛騎士団の濃紺の制服に身を包み、慶次の時にのみつける、いくつもの勲章が、彼の胸元を飾る。いつもは、ボサボサのとび色の髪は綺麗に後ろへ流され、ブルーの瞳は新婦を愛しげに見つめていた。
「サイラス・ナイトレイ。汝はマリア・ウェストを妻とし、病める時も、健やかなる時も、生涯を通し愛しぬく事を誓いますか?」
「誓います」
新郎の朗々とした声が響く。
「マリア・ウェスト。汝はサイラス・ナイトレイを夫とし、病める時も、健やかなる時も、生涯を通し愛しぬく事を誓いますか?」
「誓います」
新婦の甘さを含んだ柔らかい声が響く。
「では、誓いのキスを……」
新郎がベールを上げ、ぎこちなく新婦の額に口づけを落とすと、額へのキスだけではもの足りなかったのか、新婦が新郎の頭に腕を回し無理やり唇を重ねている。
そんな様子を頭を抱え見つめる新婦の父と爆笑している母。そして、呆れ顔で見つめる新郎の義父。
「……何をやっているんだマリアは」
「今に始まったことじゃないでしょ。あの娘の性格は誰に似たのかしら?」
「「絶対にアイシャだろう!!」」
新郎と新婦の父の声が見事にハモる。
「……心外だわ。わたくし、あの娘ほどガッついてはないわよ」
「いや、アイシャとリアムの結婚式も似たようなものだったぞ。誓いのキスもベールを上げた瞬間、緊張で動かないリアムに焦れて、アイシャからしていたもんなぁ」
「えっ⁉︎ あの時、キースは結婚式に出席していたの?」
「あぁ。リアムを選んだアイシャの幸せな姿を最後に、目に焼きつけたかったからな。まぁ、予想外の結婚式にアイシャへの気持ちも吹っ切れたけどな」
「あれは、リアムが悪いわよ。普通ベールを上げたら直ぐでしょ。なのにこの人ったら固まって動かないんですもの」
「……それでも普通は待つだろう」
「まぁ、アイシャだから仕方ないんじゃないかぁ」
「そうだな……」
男二人の小さなため息が聞こえてくる。
「何よそれ……」
頬を膨らませ怒る妻の手を優しく握り宥める新婦の父は、新郎の父に頭を下げる。
「破天荒な娘だが、よろしく頼む。きっと、夫となるサイラスはマリアに振り回されるだろうが」
「まさか、俺達の子が結婚するとは思わなかったが、これで俺の肩の荷もおりる。白き魔女を迎え入れる事は、ナイトレイ侯爵家の悲願だったからな。
サイラスは、兄貴の子だけあって頭も切れるし、剣の腕も俺をしのぐ。人望も厚く、次期騎士団長は確実だ。必ず、マリアを護り抜くだろう。心配するな、あれでなかなかサイラスも一筋縄ではいかん男だ。でなければ、狸ばかりの社交界で、白き魔女と認知されたマリアを護ることなど出来ないからな」
「本当、運命かしらね~
まさか、マリアとサイラスが巡り合い、お互いに惹かれ合うなんて、想像もしていなかったわ。そしてあの子達が、私達三人をまた巡り合わせてくれた」
「キース、ありがとう。わたくし、今とても幸せよ……」
「……そうか。お前が幸せならそれでいい……」
アイシャとキースの手と手が重なる。
アイシャとリアム、そしてキース…………
それぞれの心に宿った温かな感情をかみしめ、初々しい二人の門出をいつまでも祝福していた。
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『転生アラサー腐女子はモブですから!』に最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
あぁぁ…それにしてもダニエルお兄様の出番、増やせなかったなぁ……(蛇足)




