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12.伯爵令嬢、英雄になる?


クレア王女からお友達宣言された私は開き直る事にした。


王女殿下と友達になれるなんて滅多にない事よ!


クレア王女と親友になれば未知の世界の王城に出入り自由になるかもしれない。そうなれば、私の知らない男同士のキャッキャウフフなシーンに遭遇するかもしれない。


文官や騎士様、侍従に要職のおじ様方………

妄想し放題ではないか‼︎


それに将来、王女の友人の立場を駆使して一人で生きる道を模索出来るかもしれない。王城で働く侍女や女官も夢ではないはず!

お金を稼ぎつつ、趣味に生きる。

理想の職場が王城にあるなんて、素敵❤︎


普通の令嬢では絶対に考えないぶっ飛んだ方向に思考が展開していくアイシャを止める者は誰もいない。


よし!まずは、クレア王女を垂らしこもう。


斜め上の方向に思考を持って行った私は今後の展開に思いをはせ不気味な笑いを零した。



それから数週間後、クレア王女に友達認定された私は王城に来ていた。例の侍従に何故かキラキラした目を向けられ、訝しみながらも彼の後に続きクレア王女の私室に向かう。


3回の王城訪問でこうも侍従の態度が変わると別人なのではと疑いたくもなる。

それ以外にも廊下で出会う使用人の方々が何故か初日に比べ増えている様な気さえする。

もちろん邪魔な訳ではない。影の様に端に控え頭を下げる姿は気にして見ていなければ気づかない程、空気と化していた。

しかし人数が増えれば徐々に気づくものである。たまに目が合うと慌てて頭を下げるが心なしか顔が赤かったような。


クレア王女のお友達がまさかの伯爵令嬢で興味津々なんでしょうけど…………

まぁ~王城に上がれるような高位貴族の令嬢でもないし物珍しいんでしょうね。


アイシャは勘違いをしていた。

熱い目を向ける使用人達の胸の内を………


クレア王女に紅茶をぶっ掛け、平手打ちをかましたアイシャの噂はあっという間に王城で働く侍従や侍女に知れ渡る事となった。


王女の理不尽な仕打ちに耐え切れなくなった侍女や辟易しながらも家庭の事情で辞める事も出来ない者達にとってアイシャは巨大な敵に立ち向かった勇者そのものだった。


まだ幼い子供なのに妙な迫力を纏いクレア王女に平手打ちをかまし、説教する姿は周りで状況を伺っていた侍女達の心をガッチリ掴み、何故かアイシャに惚れ込んでしまう者まで現れる事態を引き起こした。


次の日から人が変わったように態度を改め下々の者にも横柄な態度を取る事なく、思慮深く接するクレア王女の存在もアイシャの噂を助長する結果となった。


アイシャの存在は今現在、侍従、侍女の希望の星、『英雄』として祭り上げられていた。


そんな事になっているとは思いもしないアイシャは訝しみながらも進み、クレア王女の私室へと着いた。




「………??」


クレア王女の部屋に入った私はあまりの変貌ぶりに絶句していた。


あんなにファンシーだった部屋が、落ち着いた焦げ茶色の家具で統一され、ピンク色の壁紙はクリーム色に貼り替えられ、花柄のブリブリなカーテンはシンプルな小花柄のカーテンになっていた。


確かに以前の部屋は目がチカチカする程ドギツかったが、今はあまりに落ち着いた部屋に変貌し、クレア王女が居なければ部屋を間違えたかと思うだろう。


「クレア王女殿下、心境の変化ですか?

あまりに印象が違うような………」


私は室内を見回し思わず聞いてしまった。


「そうねぇ、前の部屋はわたくしの趣味に合わないのよ。あんなファンシーな部屋………

わたくしはロリータじゃないって言うのよ!」


「………えっ⁈ロリータ?」


この世界にロリータって言葉があるのかしら?


「………な、何でもないのよ!

それよりもアイシャ、わたくしの事は呼び捨てでいいわ!クレアって呼んでちょうだい。」


「いえいえいえ、呼び捨てはマズいですって!

せめてクレア様と呼ばせて頂きます‼︎」


「………仕方ないわねぇ~

それで手を打ちましょう。」


なんだか誤魔化された気もするが、下手にむし返して呼び捨てを強要されるのも困る。

………まっ、いっか!


元々楽観的なアイシャは深く考える事をやめた。


「それよりもアイシャと素敵な場所でお茶をしようと思っていたの!

準備はもう出来てるから行きましょう。」


私はクレア王女に手を引かれ部屋を出る。


連れて行かれた場所で待っていた素晴らしい光景に早くも逃げ出したくなった私をガッチリ掴むクレア王女に本気で殺意を覚えた。


………うっわぁ~イケメンパラダイスだぁ………(現実逃避)


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