表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/34

青年とトナカイ

 巨大なドラゴンを追い払い、青年を助けたトナカイだが、その代償は大きかった。


(……ん? なんだ……?)

 青年が目を覚ますと、そこには大きな栗饅頭がいた。

「大丈夫なん? すんごくあかんところが折れ曲がってるのよ……」

 いや、栗饅頭みたいな頭をした、子供くらいの大きさの人形だった。

 どうやら自分は頭を強く打って幻覚を見ているらしい。

 少しずつ意識がはっきりしてきた途端に痛み出す全身。

「ぐあぁぁ……!?」

 痛みによって急速に意識を取り戻した青年は、さきほど起こった事を思い出した。

 ドラゴンがブレスを放つ瞬間に弾かれ、自分も何かに弾かれた。

 ドラゴンの脅威から逃れることができて幸運だったが、どうやら自分は無事ではないらしい。

「ああぁぁぁ…」

「これは、あかんやつなのよ!」

 もだえ苦しんでいると、目の前で立っていた人形が、自分の背中をごそごそ探り始めた。

 青年は血を流しすぎたようで、意識が遠くなっていく。

 青年が最後に見たのは、怪しげな小瓶を綺麗なフォームでこちらに投げつけようとする、変な人形であった。



「これは、あかんやつなのよ!」

 トナカイは焦っていた。

 飛ばされた青年のもとに駆け寄ると、転がっている青年は思った以上に重傷だった。

 全身打撲、骨折箇所いっぱい、血もたくさん流れている。

 生まれた森で、怪我をした動物や死んだ動物を見たことがあるトナカイは、青年が死にそうな状態だということを理解していた。

 無残な姿で転がっている青年は、一瞬意識を取り戻したが、同時に痛みを感じたようでもだえ苦しんでいる。

 トナカイがあたふたしている間に、青年の動きが緩慢になってきた。

「何とかしないと……これでも食らうのよ!」

 トナカイは背中のチャックから回復剤を取り出し、青年に向かって投げつけた。

 トナカイの手から放たれた回復剤は、綺麗に青年の額にぶち当たった。

 カシャーン!

 回復剤は青年の額に勢いよくぶつかった途端、中身をぶちまけながら綺麗に砕け散った。

 過程はともかく、中身が青年に降りかかり、急速に体を癒していく。

 一般的な回復剤では、そこまで急速に回復することはないのだが、今回はトナカイ特製の回復剤である。

 怪我をいい感じで治す回復剤と、適当な生成のされ方をした回復剤は、創造の力のおかげで思った以上の力を発揮した。

 創造の力はすごかったのだ。

 しばらく様子を見ていると、青年の傷は全てふさがり、変な方向に曲がっていた手足、首も元の位置に戻った。

「変なオブジェから人の形にもどったのよ」

 どうやら無事に回復したようだと、トナカイは安堵した。

 自分が原因で青年に死なれると、ちょっといやな気持ちになるのだ。



「よく寝てるのよ」

 トナカイは青年が目を覚ますまで見守ることにした。

 青年をじーっとみていると、青年の体に何か引っかかるものを感じた。

「……ん? なんぞこれ?」

 トナカイは精霊なので、魔力の流れがみえるのだ。

 最初に出会った少女サラは、膨大な魔力を内に秘めていた。

 サラの魔力は体の中をぐるぐる回っていたのだが、この青年は魔力が凝り固まっているように見える。

「めっちゃ気になるのよ。どれどれ……?」

 気になったトナカイは、青年の体をじっくり観察し、凝り固まっている原因を探した。

 気になったら調べるのが、トナカイなのだ。

 しばらく眺めていると、魔力の通路の一部が極端に細くなっており、ここで詰まってしまっていることがわかった。

「問題は、解決すればいいのよ!」

 細いなら、太くすればいいじゃないと言いながら、トナカイは青年に手を伸ばした。

「大丈夫、痛くしない(多分)から大人しくしてるのよー!!」

 既に興味が青年から細くなった魔力の通路に移っているトナカイは、本人の許可なく勝手に改造していくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ