生計
モンドたち五人はニャルラトテップを倒した後、旅車に戻り、今後の方針を決める話し合いを再開した。
「リオンダリ区に一番近い街は~」
シュヴがそう言いながら地図をなぞる。
「ザイダニエ街ですね」
スレイがそう言う。
「うわ~、けっこう遠いな~」
モンドが嫌そうな顔してそう言うと
「ま、二日はかかるだろうが、しょうがないだろ最低でも街レベルじゃなきゃ道具や装備は満足に揃えられないからな」
シュヴがそう返す
「じゃあ、決まったところで出発シンコー! 」
リリトがそう言うと
「そうだな」
シュヴがそう言って運転席に向かった。
「そういえば前から気になってたんだけど、運転するのに免許とかいらないの? 」
モンドが気になってい事を聞くと
「あ? いらねーぞ」
シュヴがそう答える
「え!? そうなの!? 」
モンドが少し驚きながら言うと
「ああ、そもそも旅車って言うのは未開の地を走るものだからな、だから事故っても自分の責任ということだ、まぁ、人から金とって乗せる商売なら免許がひつようだが、個人で使う分にはいらないってことだな」
シュヴがそう言う
「ふ~ん、そっか、ならいいや」
モンドはそう言う
異世界だけあってルールや考え方は俺のもといた世界とは随分と違うもんだな
モンドはそんなことを考えていると、旅車は街へと動き出した。
しばらくの時間がたち、車を止め、昼ごはんの獲物を探す。
「そういえば、なんであそこには食いもんになるものがなかったんだ? 」
モンドがそう言うと
「魔物が現れる場所にはかなず前兆があるんだ、神話級の魔物だからな、広範囲で生き物が全滅するぐらいのことがあってもおかしくないとオレは思うぜ」
シュヴがそう言う
「じゃあ、ここも獲物はいないのかな~? 」
モンドの言葉に
「それは見てみなければわかんねーな」
シュヴがそう返した
「じゃあ、チーム分けは前と同じでいいな」
モンドがそう言うと
「なんの話ししてるの~」
リリトが間に割り込んできた。
「リリトはどうする? 」
モンドが小声でそう言うと
「とりあえず、お前のところだな」
シュヴがそう返した
「ねぇ~」
リリトがせかすようにそう言う
「ああ、いや食料の調達ついてだ」
モンドがそう返す
「あたしもやりたーい! 」
目を輝かせながらリリトは元気よく言う
「おう! 元気があっていいな! 」
モンドはそうリリトにたいしして言った。
モンドたちはチームに分かれて食料探しに出かけた
今日の昼ごはんはいつもどうりのパンと野菜スープに一品、焼き魚が増えた
幸いにもニャルラトテップの影響はだいぶん薄くなり、食べられそうな獲物はいた
しかし
モンド、イブ、リリトのチームの収穫はゼロだ。
なぜなら、小動物程度はいたが、獲物を見つけるたびにリリトが大声を出すためみんな逃げられてしまったのだ。
「うひょ~、うまそうだな~」
モンドは久々(ひさびさ)のタンパク源に見ただけで、口の中がヨダレでいっぱいになりそうになる
小魚ばかりだが量は多い。
「いっただっきま~す! 」
モンドが焼き魚を口に入れるとまず塩と魚の旨みがとろけ合った簡素だが深い味がモンドの舌を刺激する。
そして、外はカリッカリ、中はフワッフワの食感がモンドの口と舌と脳を愉しませる。
「いや~、うまいな~」
モンドがそう言うと
「喜んでくれて、嬉しいです」
スレイが照れた感じの笑顔でそう言い
「たくさんあるからたっぷり食えよ」
シュヴがそう言った。
みな、思い思いに食事を楽しんだ。
食事を終えスレイは後かたづけのため台所、イブは鍛錬のため外へ、リリトは昼寝のため部屋にいきモンドとシュヴが二人っきりになったところで
「そういえば、街にいって何をするんだ? 」
モンドがシュヴにそう聞く
「うん? ああ、まぁ、いろいろ揃えたいものがあるが、一番は釜だな」
シュヴはそう言う
「釜? 」
モンドが首をかしげながらそう返すと
「そう、釜」
シュヴはそう言った
「なんでまた? 」
モンドのその言葉に
「オレたちはお金を稼ぐ手段が無いだろう、しばらくはモンドが野盗を倒したとき手に入れた賞金と、この旅車の中にある貴金属類や宝石を売ったお金で生活できるだろうし、賞金稼ぎみたいなこともありだが、やはりそれなりに安定した資金集めの方法も欲しいだろ」
シュヴはそう答えた
「ああ、それで釜を手に入れて、俺の錬成魔法で質の高い金属を作って売るというわけか」
モンドがそう言うと
「いいや、おしいが違うね、作った素材で製品、そうだな武器や防具をオレが作るんだよ」
シュヴのその言葉に
「そこまでやるか? 」
モンドがそう言うと
「そこまでやるんだよ、いいか、どんなに良くても素材は素材たいした値にはならねぇ、大量生産ができるならそれでもいいがオレたちにそんな大規模な工房は作れねぇ……だったらブランドで勝負するんだよ」
シュヴは自信満々に言うが
「そう、うまくいくかぁ~? 」
モンドは疑うように言うと
「うまくいくさ、騎士という連中は自分の命と誇りのため武器や防具に金にいとめはつけない、だから性能が良ければバカ高く売りつけても買うはずだ」
シュヴがそう言う
「でも、そうそう騎士の目に止まるか? 」
モンドがそう言うと
「大丈夫だ、騎士はいい武器商人がいないか探すためにコンテストみたいなのをかなりの頻度でやっているんだ、そこに参加すればいい」
シュヴはそう答える
「ふ~ん、わかった確かに俺の錬成魔法ならかなり出来のいい素材はできるが武器製造とかお前にできんの? 」
モンドがシュヴに聞くと
「神の使いであるオレはこう見えて、多才だぜ」
二ヤッと笑いながらシュヴはそう言った。
「そうだな」
モンドはシュヴの言葉を信じてみることにした。
しばらくするとイブ、スレイ、リリトの三人を居間に呼びさっきの事を話す
特に反対する者はいなかった。