収入
モンドたち、『風吹くままに』はキャーナル・ソヴァジュから頼まれた、特注品の大剣を一日で製作し終えたので、通信機でキャーナルにできたことを伝えると
「でしたら明日の昼、私があなた方の旅車に直接向かいます」
キャーナルはそう答え
「ああ、でしたら昨日と同じ場所におりますので、よろしくお願いします」
シュヴはそう返した。
その後、少し話したあと
「では、失礼します」
シュヴはそう言って、通信を切った。
そして日がすぎ、約束の時間が来るとキャーナルは旅車の前に姿を現した。
「これが完成品です」
シュヴがそう言って、木製の自分の背丈より大きい箱を開ける。
「手にとってみてよろしいですか? 」
キャーナルはそう言う
「もう、あなたの物ですから、好きに使ってかまいませんよ」
シュヴがにこやかに、そう返すと
「そうですか……では」
キャーナルはそう言って大剣を手にとる。
「どうですか? 」
シュヴがそう聞くと
「軽いな……」
大きな剣という見た目に不釣あいな、子供でも片手で持てそうなほどの軽さに、キャーナルはつそう声を漏らす。
「では、重くしてみてください」
シュヴがそう言うと
「それでは」
少しずつ、大剣の重量を増やしていく。
「ぐ……! 」
そして、すぐに持ちきれないほどの、重さになろうとしていたので
聖なる言葉を唱え
「強力歌」
そう言い、力を上げた。
「ふう……」
大剣がだいぶ軽くなったように感じる。
それだけ、キャーナルの力が上がったのだ。
だが、すぐに持ちきれないほどの重さになる。
キャーナルは強力歌の効果を上げる。
大剣はまた軽くなったように感じる。
だが、またすぐに持ちきれないほどの重さになる。
キャーナルは、また強力歌の効果を上げる。
大剣はまた軽くなったように感じる。
だが、またしてもすぐ持ちきれないほどの重さになる。
この、ループを何回も繰り返し
キャーナルの強力歌の効果を限界で上げても
持てないほどの重さになった。
「ぐ! ぐ! ぐ! 」
キャーナルは、しばらく歯を食いしばった後
大剣を軽くし、強力歌を解除した。
キャーナルの、得意な魔法の一つである『強力歌』
その力は世界一とまで言われたが
モンドの作った『落ち着きのない天秤』には足元にも及ばなかったのである。
「どうでしか? 」
シュヴが、商品に何か問題がないか確認するため、そんな事を聞くと
「素晴しい出来です」
キャーナルはそう言って、シュヴに紙を差し出すと、そのまま街に消えていった。
「そういえばさ~シュヴ」
キャーナルが見えなくなると同時に旅車から降りてきた、モンドがそう言うと
「なんだ、モンド」
シュヴはそう返す。
「フェール商会も騎士やキャーナルもわたしているその紙って何? 」
モンドがそんな事を聞くと
「そういえば、ボクも見たことないです……」
旅車から降りてきたイブが、モンドに続けてそんな事を言う。
「ああ、これな」
シュヴは手に持っている紙をヒラヒラさせたあと
「これは、『小切手』というやつだよ」
そう、答えた
「ああぁ~! 小切手ねぇ~! 知ってる! 」
モンドがそう、大声で言うと
「え! 知ってるんですか、ご主人様? 」
イブがそう聞くと
「あ、ああ! 小切手というのは~、あれだ、銀行に見せるとお金が貰えるんだ! 」
モンドがそう言うと
「正確には、銀行にお金をあずけた人が、ほかの人にここまでのお金なら持っていっていいよ、ということを許したことを、証明する紙だがな」
シュヴはそうつけ加えて言う。
「ご主人様も、シュヴさんも、物知りですごいです! 」
イブは二人に尊敬の目を向ける。
「うん……まあな」
モンドは、そう答える
俺が元いた世界では、わりと常識なんだがな……。
モンドは自分がしたおこないと、不釣あいな称賛に戸惑いそんな事を思う。
「まあ、とりあえず今までもらった小切手を銀行で現金にしてくるぞ」
シュヴはそう言うと、旅車の中には入り、スレイとリリトを連れてきた後
小切手をいくつか持って、五人全員で銀行へ向かった。
フェール商会からの1200万ウェイト
騎士数人からの合計2250万ウェイト
そして、キャーナルの1億ウェイト
全部あわせて、1億3450万ウェイトの小切手を銀行にわたし、5000万ウェイトを残し、すべて銀行にあずけた。




