風はどこに向かうのか
「ふう~、これでよしっと! 」
現金5000万ウェイトと8450万ウェイト分のお金を銀行にあずけたという証明書を金庫に入れたシュヴはそんなことを言う。
「じゃあ、これからどうする? 」
モンドがそう言う
「そうだな~もう、オレはこの街に用がないしな~、ほかのみんなはどうなんだ? 」
シュヴがそう返す
「ボクはとくに用事はないです」
イブがそう言うと
「私もとくに」
スレイは続けてそう言う
「あたしもな~い」
リリトが最後にそう言った。
「そうか……う~ん」
シュヴがそう言って、首をひねる。
「どうしたんだ、シュヴ? 」
モンドがそんな事を聞く
「いや、そういえばオレたち『風吹くままに』は目的とかとくにない集団だからな~、次はどこに行けばいいか悩んじまうんだよな~」
シュヴがそう言うと
「じゃあ! じゃあ! 世界一周なんて、どうかな! 」
リリトがそんな事を言う
「世界一周ねえ、目的もなしにフラフラするよりは、いいんじゃあないの」
モンドがそう言うと
「それもそうですね~」
イブがそう返し
「うん、いいと思います」
スレイが続けて、そう言い
「よし! じゃあ、そんな感じで行くか! 」
最後にシュヴがそう言った
こうして、『風吹くままに』の目的はとりあえず『世界一周』となった。
とりあえず、みんなリビングに集まり、予定を決める話し合いをする。
「じゃあ、さっそくだが次に向かう街を決めねぇとな」
シュヴがそう言うと
「それでは、地図を持ってきます」
スレイはそう言って立ち上がり、棚の方へ向かう
しばらくして、スレイは持ってきた地図を広げる。
「とりあえず、北のノルテ州の中心地『セヴェル街』に向かうか」
シュヴが地図に指をさしてそう言う
「中心地ということは、ザイダニエ街よりでかいのか? 」
モンドがそんな事を言うと
「あったりまだろ、セヴェル街に比べれば、ザイダニエ街なんて田舎だぞ」
シュヴはそんな事を言う
「そうなんですか……楽しみです! 」
イブは楽しそうにそんな事を言う
「ああ、まあな」
シュヴはそんな事を言う
「セヴェル街につくまで、どのぐらいかかりますか? 」
スレイがそう、シュヴに聞くと
「う~ん、そうだな~、まっすぐに行って、何事もなければな~、二日か三日でつくだろ」
シュヴがそういうと
「ふ~ん、地図だとこんなに近いのに、けっこう時間がかかるんだな」
モンドがそう言うと
「まあな、世界は広いからな、それに旅車はあんまり速く走れないし」
シュヴがそう答える
「そういえば、どうして速く走れないんですか? 旅人用なら早いほうが、早く目的地についていいと思うんですけど。」
イブがシュヴにたいしてそう質問してくる
「まあ、速いに越したことはないが、旅車は整備されていない道、つまり悪路をこの巨体でわたらなければならない、となると安全性を確保すると、必然的に遅くなってしまうんだ」
シュヴがそういうと
「そうなんですか……」
イブは頷きながらそう言った。
「とりあえず、目的地が決まりましたし、備蓄品を買いませんとね」
スレイがそう言うと
「ああ、そうだな~、じゃあオレとスレイと~、あとはリリトが買い物係だな」
シュヴがそういうと
「え~、なんであたし~」
リリトが嫌そうな顔をしながら、そう言う
「お前は荷物持ち担当だ」
シュヴがそう言うと
「うえ~、サイアクゥ~」
リリトは整った顔を歪めながら、さっきよりさらに嫌そうな顔をする。
「そう言うなって、手伝ってくれたら、好きなだけお菓子を買ってやるからさ」
シュヴがそう言うと
「ええ~! ホント! ヤルヤル! 荷物持ちでもなんでもまかせてよ! 」
さっきまでとは一転し、やる気にみちた顔でそうリリトが言った。
「よし! じゃあ行くぞ! モンド、イブ留守番頼むぞ」
シュヴはそう言って、スレイとリリトを連れて旅車から出ていった。
「イブ……二人っきりになったな」
モンドがそういうと
「そ、そうですね……」
顔を赤くしたイブがそう言う
「顔が赤いな、イブ……、熱でもあるのか? 」
モンドがそう言う
「そっ! そんなことは……」
イブはさらに顔を赤く、まるでリンゴのようなほっぺたになっていた
「そうか……それならいいんだが」
モンドがそう言う
「はっ、はい……」
ご主人様に余計な心配かけなくてよかった……
イブはそう思いながら、ホッとした表情でそう答える
…………
……
沈黙の時間が流れる。
モンドはそんな静寂の時を打ち破るように、口を開き
「なあイブ、お前に何か……、なんか夢……みたいのはないのか? 」
イブにそんなことを聞く
「ゆっ夢ですか……そっ、そうですね……笑ったりしませんか? 」
イブが不安そうに眉を下げ上目づかいでそう言ってくる
「笑ったりしないよ」
モンドは優しくそう言う
「えっと……実は……ご主人様に頼られるぐらい強くなりたいんです!! 」
イブは恥ずかしさを紛らわせるように、大声でそう言った
「そうか、嬉しいよ」
モンドは微笑みながらそう言った
「でも……ボクは、シュヴさんみたいに色んな事もできませんし、スレイちゃんみたいに家事もできませんし、リリトみたい戦う力もない……なんなボクがご主人様に頼られたいなんて、おかしいですよね」
イブは自信がなさそうにそう言う
「そうか……ちょっと待ってろ」
モンドはそう言って
直感的に何かを知る『贈知魔法』である『天啓虫』を使う
『天啓虫』はなんでも知ることが出来るが、抽象的で断片的なので結局よくわからないという魔法だが、イブの励ましになったらと、モンドはこの魔法を使う
「どう……でしたか……」
イブは不安と期待が入り混じった表情でモンドにそう聞く
「ああ、たぶん……イブ、お前は俺と背中を合わせれるぐらい強くなるはずだ」
モンドは『天啓虫』で感じたことをそのまま口にする
「ホント……ですか? 」
イブは信じられないという顔をする。
「ああ、本当だ俺を信じろ」
モンドがそう言うと
「はい! 」
イブは嬉しそうに、元気よくそう言った。
「ふひ~、今帰ったぞ~」
シュヴの声がイブとモンドは聞こえた
「おかえり~」
モンドがそう言った後
「おかえりなさい」
イブが続けてそう言った
「おっ、ただいま」
シュヴがそう返す
「リリトォ~、お菓子いっぱい買ってもらったか? 」
モンドはそう言うと
「うん! こんなに買ってもらった~」
リリトは嬉しそうにお菓子がいっぱい詰まった袋を見せる。
「そっか、よかったな」
モンドがそう言うと
「ふふん! モンドになら少しだけなら分けてあげてもいいよ~」
リリトがそう返す
「そうか、ありがと」
モンドがそうリリトに言う。
「買った物を貯蔵庫にいれなきゃ」
スレイがそう言うと
「スレイちゃん、ボクも手伝うよ」
イブがそう言う
「ありがとう」
スレイはイブにそう返した。
そうこうして、モンドたち『風吹くままに』は次の目的地である、セヴェル街に向かうため、ザイダニエ街をあとにした。




