第9話 治療
オレンジちゃんをベッドに寝かせたサクラは、オレンジちゃんの頭を優しく撫でる。
「私のせいだ…ごめんね、オレンジちゃん……」
「それで、倒れる前に何か言ってたっていうのは?」
タキはサクラの隣で、サクラのアクアリウムの本を片手で閉じる。
「うん、確か…寿命が他の子より短いって。だから、常にオスと一緒に生活してるとも言ってた。なんだっけ…そう、子孫を残すためにって。何度も繰り返し出産するとも言ってた気がする…」
「なるほどな」
サクラとタキはオレンジちゃんの部屋から出てリビングへ行くと、タキがリビングを出てトイレの扉を開けた。
タキは扉を開けると、そのまま便器の中をのぞく。
「タキ、…何してるの?」
「オレンジちゃんのうんちが、残ってないかなってさ」
「だからっ…!最低すぎる!来てからずっとオレンジちゃんのフンを気にし…て……あ」
「やっと、分かったか」
タキはトイレの扉を閉めると、持っていたアクアリウムの本をリビングテーブルの上に置く。
「そっか…確か転覆病って、うんちの色が変わるんだっけ…」
「そうだ。だから俺は…」
「出てないです」
サクラとタキが振り返ると、いつの間にかリビングにオレンジちゃんが立っていた。
「実は、うんちが最近出なくて…」
「…えっ…いつからなの?」
「いつからかは、ハッキリ覚えてないんですけど、たぶんここ1週間は出てないです…」
「えっ!?1週間も!?」
「はい…それに、最後にしたときのは、なんか白色で…」
「白色のうんち…?!」
サクラはリビングテーブルから、急いでアクアリウムの本を取り、ペラペラとページを捲る。
「あ、あった。これだ…」
開いたページには、魚の飼育について記されていた。
「えっと…白い糞をしている場合は、消化不良を起こしている可能性が高い…原因は幾つもあるが、最も多いのは餌の与え過ぎ…」
サクラは、肩を落としてオレンジちゃんを見る。
「ご飯をたくさん食べたがるから、食べるだけ、どんどんあげちゃってた…何もかも私が悪いんだ…どうしようタキ…」
「とりあえず、今はオレンジちゃんをベッドに寝かしたほうがいい」
「分かった…」
サクラはオレンジちゃんを寝室で寝かせてリビングにもどってくると、タキは何も言わずサクラの隣に立ち、アクアリウムの本のあるページ開く。
「ここ読んでみろ」
「…白いフンや転覆症状がでているときには、絶食が良いとされている…絶食って、何も食べられないってこと…?」
「そうだ。1週間は餌抜きだな」
「そうすれば、オレンジちゃん良くなる?」
「それは分からない。初期症状のときであれば治癒する可能性はあるが。これに関してはやってみるしかない」
「…分かったわ…」
「それより先に、解決しないといけない問題があるだろ」
「え…?」
「オレンジちゃんが何の魚かだ。俺は検討がついたぞ」




