第10話 オレンジちゃんの正体は
「えっ、何のお魚!?」
「教えたいが、これはサクラが自分で考えて当てないと、契約違反になるんじゃないのか?」
「でも、こんな何百種類ってある魚の中から当たるのなんて、難しすぎるよ…」
サクラはアクアリウムの本に視線をやり、溜息をつく。
「…確かにな。それなら…」
タキのスマホが鳴り、タキは電話に出た。
「はい。分かりました。では今から向かいます」
タキは電話を切ると、カバンを背負った。
「悪い、仕事が入った。おそらく、今日戻るとしても夜遅くになるかもしれない」
「分かった。じゃあこの鍵持って行って。私は合鍵の方使うから。あと、部屋はあそこのを使ってね」
サクラはタキに鍵を放り投げると、タキは片手でキャッチする。
「悪いな」
タキはリビングを出る直前で、サクラの方に振り返った。
「そうだ、ヒントをやるよ。転覆症状になりやすい魚は、主に観賞魚の部類だ。代表でいえば、分かりやすいのは金魚だな。金魚と似た魚を探すんだ」
そう言うと、タキは早足にサクラの家を出て行った。
「金魚に似た魚ね…」
サクラはアクアリウムの本をめくるが、すぐに頭をかかえる。
「待って、けっこう種類がいるわ…淡水魚に熱帯魚に海水魚…この中からどうやって正解を見つけたらいいの」
サクラは溜息をつくと、部屋の時計を見る。
「今日は、オレンジちゃん、絶食でご飯は無しだから夜ご飯の準備はなし…と……」
ふと、時計の横に飾られている温湿度計が目に入った。
「あ…ん…まって…」
サクラはオレンジちゃんの寝室のドアを、ゆっくりと開けて中を覗く。
オレンジちゃんは布団を何枚も重ねて、スースー寝息を立てて寝ていた。
サクラはドアを閉めリビングに戻ると、もう一度、温湿度計と睨めっこをする。
「オレンジちゃんの正体…分かったかも……」
すると、突然部屋に黄金の粉が渦上に舞い、その中からフィレシアが現れた。
「あらっ、じゃあ正解を聞かせて?」
「ちょっ…と…!また急に現れてびっくりするじゃない…!」
「あら、ごめんなさい。でも、ここであなたが正解すれば、1匹目の美少魚はクリアってことになるわよ」
「もし…間違ってたら…?それに、オレンジちゃん今調子が悪いの」
「言ったでしょ、100年の呪いの眠りにかかると。それに、調子が悪くても自分がなんの魚か分かれば、体調も元通りになるわよ」
「そうじゃなくて、間違ってたら…オレンジちゃんはどうなるの…?」
「魚に戻れず死ぬことになるわね」
「そんな……」
「さあ、答えをちょうだい」
「待って、それならもう少し待ってくれない?もう一度よく考えたいから——」
「あの男性が帰ってきたら聞くのかしら?あってる?って」
フィレシアが片眉をあげて微笑む。
「伝えておくわね。美少魚は何の魚か、その答えを他人から聞いてしまった場合、即、呪いが発動するし、彼女も助からないわよ。さ、分かったと言ってしまったのだから、私に回答するしかないわ。教えてちょうだい、彼女は何のお魚かしら?」
「オレンジちゃんは……プラティです」




