第7話 うんちの色は
「おい、こんな小さいアパートに住んでるのか」
「あのね、大半の人はあなたが言う小さいアパートに1人で住んでるの。一軒家を1人で借りて暮らせる人の方が、珍しいんだからね」
サクラの家に着いたサクラとタキは、玄関で小声で話す。
「あれ…サクラさん、おかえりなさい。その人誰…?」
オレンジちゃんが、自室からゆっくり出てきて、訝しげな顔をする。
「あ…、ちょうど良かったわ。オレンジちゃん、こちら私の幼馴染みのタキ。タキ、こちらが話していたオレンジちゃんよ」
「どうも、こんにちは」
タキが手を差し出して握手を求めると、オレンジちゃんは不安そうだったが手を握り返した。
「あのね、オレンジちゃん、その…今日からタキもこの家でしばらく一緒に暮らすことになったの」
「え…暮らす…?でも、私の正体のこととか…」
「それなら、大丈夫。実はね、もう呪いのことは話してあるの。タキは仕事が水性生物調査なの。だから、色々と詳しいし、オレンジちゃんの本来の名前を見つけるのも、協力してくれると思うわ」
「でも、それって、契約違反になったりしないの?」
オレンジちゃんは、まだ納得いかない顔をする。
「契約は…どうなんだろ?してるつもりはないし。それより、オレンジちゃん、さっきからずっと立って話してるけど、体調はもう良くなったの?」
「良くない…実は立ってるのも、今いっぱいいっぱいって感じなの」
オレンジちゃんは、フローリングの上にへたり込む。
その様子を見たタキは、靴を脱いで上がるとオレンジちゃんの前に跪き、オレンジちゃんの顔や手足をマジマジと見る。
「タキ、なんか分かりそう…?」
「確実なことは言えないが、推測できることはある」
オレンジちゃんはそのまま横になだれ込み、フローリングの上に寝そべってしまった。
「大変…!オレンジちゃん、ベッドに行こう?!」
「うん…でも、もうすぐご飯の時間だよね…?何か食べようかな…」
「そしたら、消化のいい煮込みうどん作ってあげるから」
「分かった…」
サクラがオレンジちゃんの肩に腕を回し、部屋に連れて行くのを、タキは後ろからじっと見ていた。
「煮込みうどんできたけど、食べる?」
「うん、食べる…」
作り終えたサクラが声をかけると、オレンジちゃんは横にフラフラしながら歩いてきて、テーブルに着く。
「いただきます…」
オレンジちゃんはゆっくり食べ出すが、ときどきうどんを掴んでいるお箸の位置が分からなくなるのか、口元が空振りすることがある。
サクラは心配で、自分の食事どころではなく、時々オレンジちゃんの口元をガーゼで拭いてあげていた。
「なあ、聞いてもいいか」
タキは箸を置くと、オレンジちゃんを見る。
「うんちの色は何色なんだ?」




