第6話 幼馴染みへの相談
ピンポンピンポンピンポーン!
一軒家のインターフォンを、連打するサクラ。
すると、ガチャという音と共にドアが開いた。
「なんだ、こんな朝っぱらから。知らないのか?インターフォンは何回も押す必要はないんだ、1回でいいんだ」
ドアを開け、頭をかきながら出てきたのは、背が高く体が鍛えられた男性だ。
「はあ〜い、タキ。今日も元気そうね」
「それはどうも。今、起きたばかりだが」
タキは腕組みをすると、呆れた顔でサクラを見る。
「それで、何のようなんだ」
「実は、ちょっと助けて欲しいの」
「助けて欲しい?そうか、困ってるなら助けてあげたいが。1年振りにあった俺で、大丈夫、なんですかね?」
「ねえ、なんでそうちょっと突っかかるの。幼馴染みなんだから、もっと優しくしてよ」
「はっ。優しくして?俺は今までずっと君に優しくしてきたつもりだが?俺が君にあの話をしたのを境に、君は俺と連絡を取るのをやめ、会うのもやめた。それなのに、今日は勝手にやってきて、俺に助けを求める。どっちが自分勝手だよ」
「それは…ごめんなさい…でも、それよりも大変なの!うちにお魚の子がいるんだけど、調子が悪そうで」
「はいはい…そうやって、また話をすり替えるわけだ」
タキはため息をついて、ドアを閉めようとする。
それを見たサクラは、慌ててドアを両手で掴む。
「ちょっと待って!!仕事で水性生物の調査をしているタキなら、絶対、私の話に興味があるわ!だって、うちにいるのはただのお魚じゃないもの!実はね、美少女ならぬ…美少魚なの」
「びしょう…ぎょ…?ははっ、何を言ってるんだ」
「本当なの!フィリシアが現れて、私が100年の眠りの呪いにかかるって、でも、それを解く鍵は、うちに来る5匹の美少魚ちゃん達を元気に帰らせてあげればいいって!」
真剣なサクラの表情と対照に、心配な表情になるタキ。
「…1年会わないうちに、なんだストレスで気がおかしくなったのか…?さっきは、ああ言ったが…、悩みがあるなら聞くぞ?」
「ちがうの!これは本当の話!私がこんな嘘つくわけないって、タキなら分かるでしょ!?」
タキはサクラの顔をじっと見つめる。
「…分かった。中に入れよ。詳しく話を聞く」
◇◇◇
「で、そのフィンなんとかいう魔法使いの言う通りにするために、今家にいるオレンジちゃんとかいう魚の正体を突き詰めないといけないってわけか」
1階のリビングのテーブルに座ったサクラに、飲み物を出すタキ。
「フィンじゃなくて、ファリシア。そうなの。でも、アクアリウムに少し興味を持ってた程度の私じゃ分からなくて、水性生物に詳しいタキなら分かるかなって」
「それで、オレンジちゃんの情報は?一緒に過ごす中で、分かったこともあるだろう?」
「あー…そうね…情報…ご飯が大好きってことかな!」
「なるほど。他には?」
サクラは目を大きく見開き、肩をすくめてみせる。
「おい、まさか、それしか分かってないのか?」
「オレンジちゃんがお腹すいたって、いつも言うから、ご飯を食べさせることだけに集中しちゃって…とりあえず、ご飯をいっぱい…食べさせてたの!」
「毎日、大量のご飯をか」
「そうよ、でもそれも大切でしょ?ご飯を食べさせるっていうか、その、餌やりって」
「確かに大切だが、魚には餌のあげ過ぎは逆に毒になるんだ。オレンジちゃんの体調はどうだ?」
「実は……体調が悪そうなの…そのこともタキに相談したくて…」
タキは椅子から立ち上がると、リュックに何やら物を詰め出した。
「ねえ、ちょっと何してるの?」
「行くぞ」
「え?行くってどこに?」
「サクラの家だ。今日から俺も一緒に暮らす」




