第3話 オレンジちゃん
女の子は脚をもじもじして、恥ずかしそうに言う。
「えっ、あ、そうなの?じゃあ、何か作るね」
サクラはキッチンへ行き、フライパンを握ったあと、少し考えこんでプラティの方に顔を向ける。
「あ…一応尋ねるんだけど、食べるものって、魚の……餌…とか…」
「サクラさんと同じもの食べられます!」
「あ…そうなんだ、良かった…じゃあ、私の得意なチャーハンでも…」
「やったあ!」
その場でジャンプして、喜ぶ女の子。
「そういえば、自己紹介してないのに、なんで私の名前を知ってるの?」
サクラは、冷凍庫から冷凍ご飯を2パック取り出しながら、女の子を見る。
「事前に聞いているんです」
「それって、あの魔法使いみたいなフィレシアから?」
サクラは野菜を刻んでいく。
「ごめんなさい。私、その人のことは知らないです。でも、サクラさんの所に行くっていうのは、なんか頭にインプットされてて」
「そうなんだ…それで、あなたはなんていう名前なの?」
サクラは具材を炒めた所に、卵を割り入れる。
「名前はないんです。…いえ、正しくはあるんですけど、あったんですけど……!…思い出せないんです…」
「そうなの…?それは、なんていうか…つらいよね…」
「でも、私の本来の名前はサクラさんが教えてくれる、って聞きました!」
「え、ええぇ!?聞いた?!え?!」
サクラは驚きのあまり、解凍したご飯を鍋に上から豪快に落としてしまう。
「え、なに、私があなたの名前を??そんなルール聞いてないけど…!?」
「はい!なので、名前が分かるまでは、サクラさんが私に仮の名前をつけてくれませんか?」
「え、か…仮の名前?そ…そうだなぁ〜…」
サクラは女の子の全身を見ながら、オレンジ色の髪の毛で視線を止める。
「あ…じゃあ、オレンジちゃんでどう?」
「わあっ!可愛い〜!ありがとうございます!オレンジちゃんです!」
オレンジちゃんは、その場で体を振りながら踊り出す。
「気に入ってくれたなら良かったあ。それにしても、元気な子だなぁ」
サクラは作り終えたチャーハンを大皿の上にのせ、テーブルにつくオレンジちゃんの前に出した。
「わぁ〜!美味しそぉ〜!」
オレンジちゃんは体を小刻みに揺らしながら、目をキラキラさせてチャーハンを見つめる。
「お待たせしちゃったね。どうぞ、食べて。それから、たぶんこれはだいたい2、3人前……」
「いっただっきまーす!」
オレンジちゃんは、サクラの話途中に、大きなスプーンすくったチャーハンを、次から次へと口に運んでいく。
「あ…2、3人前はあるから…小皿によそって一緒に食べよう…かな…って……」
サクラが唖然としている中、オレンジちゃんはあっという間にチャーハンを平らげてしまった。




