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アクアリウム女子と5匹の美少魚  作者: めんだCoda


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第2話 1人目の美少魚

「えっ、あ、呪い?!え、ていうより、これ毒針だったの!?」


 サクラは、テーブルの上に無造作に投げ出された自分の針を見つめる。

 サクラの顔が、困惑と不信感で歪む。


「それじゃあ、頑張って。はい!ビジデバビデブーウ!」


 フィレシアは持っていた杖を、サクラに向かってくるくると大きく円を描いてふる。


 すると、サクラの頭上から金色の粉が渦をかいて舞い落ちる。


「良い5ヶ月を」


 フィレシアは穏やかな声でそう言うと、ニコッとサクラに笑いかける。

 そしてその直後、フィレシアがパッと消えた。


 呆然とするサクラ。


 サクラは、ゆっくりと左手を目の高さに持ち上げ、人差し指を見る。

 人差し指の血は、いつの間にか止まっていた。


「…あれ、夢…?私、今寝落ちして夢の世界にでもいた?」


 サクラは、長い自分のピンク色の髪の毛を撫でる。


 ガタッ!


 突然部屋で、大きな音が鳴る。


「えっ!何!?」


 音がした方を見ると、1冊の本が床に落ちていた。


「なんだ、本かぁ…あ…これ懐かしい〜」


 サクラは落ちている本を掴み取ると、中をペラペラと開く。


「学生時代に、一時期興味を持って読んでたアクアリウムの本」


 サクラは本を適当にページを捲ったあと、本を掴んだ手を上げて、大きく伸びをする。


「ん〜〜っ!なんか色々あったけど、とりあえず今日はもう寝よう」


 サクラは電気を消してベッドに入ると、すぐに眠りに落ちた。


 ——コンコン——


 朝、鏡の前で歯磨きをしていたサクラは、ドアからの音に手を止める。

 サクラは静かに口を濯ぐと、歯ブラシを置く。


「…こんな朝早くから誰…?そもそも、連絡なしでうちを訪ねてくるような人なんて、いないけど…」


 サクラは怖くなり、抜き足差し足でドアの前へ移動すると、そっとドアスコープをのぞく。


 のぞいた後、サクラはドアのチェーンを外して、少しドアを開ける。


 目の前には、オレンジ色の髪の毛をした女の子が立っていた。見た目は若く、大学生くらいに見える。


 目が丸く可愛らしい顔で、ニコニコして立っている。


「あ…えっと…何かご用ですか…?」


 サクラは、女の子の頭に注視する。

 なぜなら、ミッキーマウスのカチューシャをつけているからだ。


「こんにちは!私、今日からここでお世話になります。よろしくお願いします!」


 サクラは作り笑顔で、一瞬固まる。


「今日からここで…あの…もしかして、あなたお魚さん…?」


 サクラの問いかけにも、女の子はニコニコして突っ立ったままだ。


「あ…ちょっと、そこで待っててくれる?」


 サクラはドアを閉めると、ドアに背を預け深く息を吐く。


「これが、あのフィレシアが言ってた、訪ねてくる擬人化したお魚、美少魚ってこと…?」


 サクラは胸に手を当てて何回か深呼吸をすると、左手人差し指を見る。

 傷こそうっすらとあれど、ほとんど治りかけていて、もちろん血は出ていない。


「この怪我の呪い解除のためにも、私はあの女の子を受け入れて、元気に送り返さなきゃいけないのよね。……よし!」


 サクラは大きくドアを開けると、女の子に笑いかける。


「お待たせしてごめんね!家の中にどう…」


 女の子は、サクラの言葉を待たずに勝手に家に入り、靴を脱いで上がっていった。


 サクラはドアと自分の口を開けたまま、女の子がバタバタと部屋の中を散策する背中を見つめる。


「あ…そう…まあ、元気で…良かった…」


 すると、家の中に入った女の子が、くるりとサクラの方を振り返る。


「あの…お腹空いてるんです。何か食べさせてもらえませんか?」

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