第12話 2匹目の美少魚
「サクラさん、ありがとう。私を元の姿を当ててくれて」
サクラはプラティに近寄ると、優しく手を握る。
「ううん、いいの。それより、ごめんね、体を…大変な思いをさせてしまって…もう、大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。サクラさんが正体を当てたら、体がスッキリしちゃって、今はもうこの通り元気だよ」
プラティはお腹をさすって、笑いながらウィンクをする。
「そっか、それなら良かった…それで…この後はどうするの…?」
「フィレシアさんが、元いた生息地に戻してくれるそうです」
「そうなんだ、良かった」
「…サクラさん、このあと、大丈夫ですか…?」
「え…?このあと…?」
「あと4匹来るんでしょ?色んな魚がいるよ…?複雑な生態のもいるし、こだわりの強いのもいるし、それに…」
「分かってる。でも…やらなきゃ」
サクラはプラティの手を、もう一度優しく握り返した。
その後、プラティは笑顔でサクラの家を出て行き、家の中にはサクラとタキの2人だけになった。
「で?次の美少魚とやらは、いつ来るんだ?」
タキはペットボトルの飲み物を開けると、コップにそそぐ。
「さあ…オレンジちゃんは、自分から来たから、次もそうなんじゃないかな?たぶん、明日の朝とか?」
「それなら、俺は少し寝てもいいか?またいつ仕事で呼び出されるか分からない」
「あ、うん、もちろん」
「ありがとな」
タキは上半身をストレッチしながら、サクラの貸した部屋に入っていった。
「まあ、こんな夜中には来ないだろうし、私もそろそろ寝ないと…」
サクラも自室に戻り、ベッドに潜り込んだときだった。
ピンポーン
自宅のインターフォンが鳴った。
サクラは目を開けて、ガバッと起き上がる。
「……嘘でしょ…?だって、真夜中よ…?」
サクラは足跡を立てずに静かに玄関へ向かうと、そっとドアスコープを覗く。
「きゃっ!!!」
サクラは大きな叫び声を上げて、その場で尻もちをついた。
「どうしたんだ!?」
既に寝ていた様子のタキが、頭をかきながらサクラの元に走ってきた。
「その穴…穴を見たら、目が…目が…!!」
タキはゆっくりとドアスコープに近寄り、中を覗く。
「なんだ…?何も見えないぞ…?」
そのとき、突然、ドアスコープに黒い目だけが、うつり込んだ。
タキはドアスコープから体を離し、息を整える。
「おい、なんだ、あれは…」
タキの後ろで座り込むサクラは、不安な顔で首を振る。
すると、ドアが静かにゆっくりと叩かれ、ドアに声が反響する。
「こんばんは。入れてくださいよぉ。2番目の美少魚ですよぉ」




