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劇場版 超機械生命体アストライア 〜火星人と入れ替わりの秘密〜  作者: 獅子王子(元桂ヒナギク)


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6.ハッタリ研究主任

 エルザーレは椅子にもたれた。

「……なるほどね」

 アルクノアが眉を動かす。

「何がだ」

「整理してるの」

 数秒。

「まず、精神入替装置は事故を起こした」

「……ああ」

「研究所は大混乱」

「そうだ」

「火星軍も壊滅状態」

 アルクノアは頷く。

「そして黒い巨人も現れた」

 数秒。

「その上であなたは、私を疑ってる」

「疑いじゃない。確信だ」

「はいはい」

 エルザーレは軽く手を振った。

「じゃあ次」

 数秒。

「なんで?」

「……何?」

「なんで私はそんな危険な計画に参加したの?」

 沈黙。

「火星のため? 上から命令された? 地球が欲しかった?」

 数秒。

「それとも」

 エルザーレはアルクノアを見る。

「もっと別の理由?」

 沈黙。

 アルクノアはエルザーレを見つめていた。

「……妙なことを聞く」

「そうお?」

「お前なら答えを知っているはずだ」

 数秒。

 エルザーレは肩をすくめる。

「記憶が飛んでるって言ったでしょ」

「……………………」

 アルクノアはしばらく黙っていた。

 やがて小さく息を吐く。

「火星は終わりかけている」

「え?」

「環境悪化は限界だ。地下施設だけでは人口を支えきれない」

 数秒。

「だから上層部は捨てた」

「……何を?」

 アルクノアの目が僅かに細くなる。

「火星そのものをだ」

 静寂。

「精神入替装置。人工機械生命体。地球移住計画。全部繋がった」

 数秒。

「地球人を排除し、自分達が住むための計画だった」

 エルザーレは固まる。

(スケールでかっ!)

 静寂。

 エルザーレは腕を組み、椅子にもたれた。

「……なるほどね」

 数秒。

「つまり今の火星は、軍は壊滅し、研究所は機能停止。精神入替事故発生、おまけに黒い巨人まで出現」

 数秒。

「詰んでるじゃない」

 アルクノアは眉をひそめた。

「笑い事ではない」

「笑ってないわ」

 エルザーレは真顔だった。

「現実確認してるの」

 数秒。

「で?」

「……何だ」

「私を拘束してどうするの?」

 沈黙。

「取調べ? 軍の偉い人に引き渡す?」

 数秒。

「その軍、今まともに機能してるの?」

「……………………」

 アルクノアが黙る。

 エルザーレは続けた。

「精神入替装置を理解してる人間。研究所を知ってる人間。黒い巨人について情報を持ってる可能性がある人間」

 自分を指差す。

「誰?」

 数秒。

「私でしょ」

 静寂。

(知らないけど!)

 アルクノアは腕を組む。

「……続けろ」

 エルザーレは小さく笑った。

「解放して。そして協力しなさい」

 数秒。

「この大混乱、私がなんとかしてあげる」

(なんとかなるかは知らないけど!)

 静寂。

 アルクノアは黙ったままエルザーレを見ていた。

 数秒。

「……お前は変わったな」

「え?」

「前のお前なら、火星の未来だの、人類存続だの、そういう話をしていた」

 数秒。

「だが今のお前は違う」

 静寂。

(まずい。どっち!?)

「前のお前なら、もっと理屈で押し通していた」

 アルクノアは目を閉じ、小さく息を吐いた。

「……いいだろう」

「え?」

「全面的に信用したわけじゃない。だが今は人手が足りん」

 ガコン。

 拘束具のロックが外れる。

「しばらく自由行動を認める」

「ほんと!?」

 アルクノアは立ち上がる。

「ただし。怪しい動きをしたら、その時は容赦なく拘束する」

 静寂。

 エルザーレは笑顔で頷いた。

「任せなさい」

(よし! なんとかなった!……で、これからどうしよう)


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