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ジェントーレ領②

読んでいただいてありがとうございます。

「うわー、すごいですねー」


 ジェントーレ領に入ってしばらくすると、最初の街が見えてきた。

 王都からもっとも近いジェントーレ伯爵領の街は、とても活気に満ちていた。

 交通の要所である大きな街道沿いにあり、裏側には少し小さめだが港も完備されているそうだ。

 街中を商人が行き交い、各店舗には宝石を売っていることを表す絵が描かれた看板が掲げられ、店を持たない露天商では手頃な装飾品が売られていた。


「まぶしいです」


 色とりどりの宝石と装飾に使われている金色や銀色が、太陽の光を反射して目に入ってくる。


「ここは王都に一番近い街だからな。商人たちがこぞってここに来るんだよ」

「領都ではないのですか?」

「領都はもう少し先なんだが、港がなくてね。ここから船に載せて各地に運んでいくから、物が集まりやすい場所なんだよ」

「物が集まれば自然と人も集まる、ってやつですね」

「そう。特に外国に運ばれていくからそれなりに高級な物もあってね。うちの商品がほしい外国の商人たちは、まずこの港を目指すんだ。この街では買った物を一時的に預かってくれる店もあるから、最初に買っても、他の場所を回って最後に受け取って船に乗って帰ることも出来る」

「へー、治安もバッチリですか?」

「もちろんだ。ここは特に警備がすごい。騎士や兵士たちも普通の街の倍以上はいるし、詰め所も多い。各店舗も独自で護衛を雇ったりしているから、安全性は王都より高いんじゃないかな。そうじゃないと、安心して買い物をしてもらえないだろう?」

「はい。そう思います。領都もこんな感じですか?」

「領都もすごいよ。この街は基本的に完成品を扱う店ばかりだけど、領都は運ばれてきた原石を商品にする多くの職人たちが暮らす職人街と、それらを扱う店が並ぶ商店街がある」


 カメーリアの思う商店街とはちょっと違う商店街っぽい気がする。

 そっちもキラキラしていて凄そうだ。

 カメーリアの興味はもちろん職人街の方にある。

 領都に着いたら、職人街を中心に回ろう。

 きっとそこら中にくず石が落ちているに違いない。


「基本的に、領都は原石から宝石に加工して、それらを売る場所だと考えればいいと思う。装飾品も作っているけど、宝石そのものを売っている店も多い。もちろん全員がそういう仕事に従事しているわけではなくて普通の店も多く、活気はここ以上にある街だよ」


 当然、治安維持対策も施してある。

 伯爵が住む領都だし、価値ある宝石がそこら中の店にある場所だ。

 夜中だろうが何だろうが、騎士や兵士たちの見回りはしょっちゅうしている。

 宝石ばかりが話題になっているが、それ以外にも鍛冶屋などが武器を作っている。

 宝石鉱山が有名ではあるが、宝石ではない鉱石も多く採取されているのだ。


「鉱石全般の関係が多い、と考えていればいいですか?」

「そうだね。うちの鉄は良質な物が多いから、そっち目当ての人商人もいるくらいだよ」


 宝石だけではなく鉄鋼全般を取り扱っているとなると、伯爵領全体での儲けってどれくらいになるのだろう……?

 そりゃー女性陣が伯爵様を狙うわけだ。

 伯爵夫人ともなれば、宣伝のためにも良質な宝石を身に着けることになるだろうし……。

 そこまで考えて、カメーリアは軽くブルリと身を震わせた。

 これから働く家だが、出来ればそういうお高い宝石には触りたくない。

 落としただけでもめちゃくちゃ怒られそう……。

 私はやっぱり磨く前の原石とか、そこまで値段の高くない半貴石とかがいいなー。

 イラーリオの説明を受けながら、カメーリアはそんなことを考えていたのだった。

 



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