ウーパールーパーさんの正体
「くぷくぷくぷぷ」
ウーパールーパーさんはこちらを見ながら小首を傾げていたっす。
顔つきは可愛らしいんすけど大きさが大きさなだけに素直に可愛いと言い難いっすね。
うん、可愛いんすけど……。
しかしここはどこっすか?
入江ってやつっすかね? 袋小路になってるっす。
まあ周りに絶壁がそびえてるので多分上に登れば辺りを見渡せると思うんすけど。
『わけわかンねえ何だこいつ……オレ様が理解できない? ありえねえ……ありえねえぞ……』
珍しく輪っかさんが混乱しててこっちの声を聞いてくれないっす。
とりあえず大きなウーパールーパーさんは自分に対して敵意はないみたいなので、なんとか上まで登ってみるっす。
絶壁っすけどゴツゴツしてるので掴まる所は多そうっすね。
多分岩っぽいので崩れたりはしなさそうっすし、多分これなら行けるっす。
気がついたら身体も動くようになってるっすし。恐るべしファンタジーの回復力っすね。
「くぷぷ」
ああ! お礼が遅れて申し訳なかったっす! 溺れているところを助けていただきありがとうございましたっす!
このご恩は一生忘れないっす!
伝わるかはわからないっすけど、誠心誠意頭を下げてお礼をするっす。どんな意図があったのかは存じ上げないっすけど、命を救っていただいたのは間違いないっすから。
「くぷぅくぷぅー」
何やらご機嫌のご様子っす。
気持ちが伝わったんすかね?
『……よっしゃあ!! ビンゴだゴラァ!!』
うきゃぁあっ!? びびびっくりしたっす!? 輪っかさん急に大声出さないでくださいっす!
『キッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! こノ三千世界にわたル叡智を前に正体不明でいラレルと思ったラ大間違いだ! キヒャヒャヒャ!! どこノ物好きが呼び込ンだンだか知ラねえが特定したぞ! 堕神! 異界ノ神がこンなとこロで何してやがル!』
輪っかさんがもとに戻ったっす。相変わらず自分にはわからない事だらけっすけど、ウーパールーパーさんの正体がわかったってことでいいっすか?
「くぷくぷ?」
こちらを見つめて小首を傾げるウーパールーパーさん。
輪っかさんの声聞こえてないんすかね?
『んなわきゃねえだろ、そいつは異界の神だ。界渡りで能力が減退してても魔王クラスの力は持ってるはずだ』
異界の神様っすか?
『ああ。世界が一つじゃねえノはてメえが一番よく理解してンだろ? 神ってのハ世界ノ管理者だ。神にも能力差があって複数の世界を抱えてルやつもいレば、一つしか受け持ってないやつもいル。んで、本来そノ世界の魂は世界の管理者が循環させル。ちなみに同じ管理者の世界はだいたい同じ物理法則になルかラ、てメえはイレギュラーにこの世界に来てるわけだな。わざわざ肉体を降ロして世界に干渉していル管理者のことを堕神と呼ぶわけだ。こいつはさラに自分の世界じゃなく他の世界に肉体を降ろしてやがルからオレ様の生態系検索に引っかかラなかったンだな!』
うーん……何となくわかったようなわからないようなっす。
『別に猿畜生ノ理解力にそこまで期待してねえかラ安心しろ』
ひどいっす?!
『とにかくそいつは腐っても神だ! 魔王並みの能力を持っていルはずだかラオレ様の声も聞こえてるし、てメえの思考も読まレてルってことだ。そうだロう? 異界の堕神!』
「くぷくぷくぷ」
まっすぐこちらを見つめるウーパールーパーさんの表情からは何も読み取れないっす。
しばらく見つめ合っていたらゆっくりとウーパールーパーさんが動いたっす。
「くぴゃー」
大きく口を開けて、空気を吐き出したら目を瞑って動かなくなったっす……寝たっす?
……輪っかさん? これほんとに意思疎通取れてるんすか?
[SYSTEM:神秘知識の共有化によりシンクロ率の上昇を確認しました。シンクロ率24%から32%に上昇。一部表層意識の共有が可能。任意で有効化状態への移行が可能です。]




