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目が覚めたら真っ暗だったっす

すみません大遅刻しました。

ちょっと、とある平行世界の大奥救わないといけなかったので……

『――い―――お――ろ』


うぅん……もうすこし……あと、五、分……。


『お――てンだロ――』


んー


『さっさと起きやがレぇ!!』


いだだだだだだだだだっ!!!!

いだいっす!!!


『やぁっと起きやがったかこノ猿畜生が!』


んぇ!?  あ、輪っかさんっす?! おはようっす! 急に頭痛くするのはやめてほしいっす!


『てメえが呑気に寝てルかラだろうが! 状況わかってンのかおい!』


状況っすか? そういえば自分はなんで寝て……ああ!! 溺れて意識失ったんす! 溺死っすよ! ……いや、死んでないっすね?

輪っかさんここどこっすか? 真っ暗で何も見えないっす。


『はぁ……ここは魔物の腹ン中だ。てメえが意識失ったら急に食いつきやがった』


えっ!? 自分、食べられちゃったんすか?!


『不幸中ノ幸いといえば丸呑みなことだな。一瞬見ただけだかラ確定はできてねぇが、相手は海龍種(シファノフタム)。こと海の中においてハ魔王にすラ匹敵すル。正真正銘バケモンだ』


そ、そんな恐ろしい方に呑み込まれたんすか!?

むしろなんで生きてるんすか!?


『そリゃこっちが聞きてえよ。明ラかに意識して呑み込ンできやがったかラ捕食さレたンだと思ったんだが……噛み砕くわけでも溶かすわけでもすり潰すわけでもない、本当にただ呑み込まレただけだ。ご丁寧に海水ハ排出さレてルし空気もあル』


溺れてたから助けてくれたんすかね?


『はあ? 馬鹿かてメえ……いや馬鹿だったな』


ひどい言われようっす!?


『魔物が知性を持って他者を助けルなンてこたぁあリえねえンだよ。知性があレばそレは狭義ノ意味で魔族だ。海龍種の魔族なンざそれこそ魔王と同義だぞ? 歯牙にもかけラれず放置さレるなラわかルが、わざわざ木っ端を助けル意味がねえ』


輪っかさんは悲観的すぎるっす! 魔王のお姉さんがあんなに優しかったんすよ? 他にも優しい魔族の方がいないなんてありえないっす! 知性があるってことは他人を思いやる心があるってことっす! なら弱い存在を助けようとしたっておかしくないっすよ!


『てメえのは楽観的すぎンだよ! 前世じゃ当たリ前ノことだってここじゃあり得ないことだったりすンだ! 死なねえようにすル為に、生きル為にハその甘っちょロい考え方をどうにかしロ!』


「くぷっぷ」


んーそうは言われましてもっすねーってうわわわわ!! ゆ、揺れてるっす!? 地震すっか!?


「くっぷしゅー!」


急な浮遊感から突風に襲われて自分の体は飛ばされたっす。

暗い道の先に光が見えたっす。

ならあそこが出口っすね! 風に飛ばされた体はどんどん出口に向かって行くっす。

この速度いっそ怖いんすけど!? 出口から出た瞬間ミンチとかにならないっすよね?!


そんなことを考えていたら外に出てたっす。

周りの明かりが眩しくて、目が開かないっすー!

体勢を整えて落ちても怪我しないようにしないとっす!


と、思ってたんすけど突然体が止まったっす。

ぬるりとした感触が体に巻き付いて、これが体を止めてくれたみたいっす。


ほんのり暖かくてぬるりとしたこの柔らかいものは一体何なんすかね? 光に目がなれたからそっと目を開いたら、大きなお顔があったっす。


「くぷくぷ」


まんまるつぶらなお目々がこちらを見て、大きなお口からでたピンク色のものが自分の体に巻き付いていたっす。

舌っすね。

自分今舌を巻きつけられてるっす。

控えめに言って捕食風景っすね。


ぎゃー!! っす!! 自分食べても美味しくないっすよー!!


「くぷぷ?」


あ、あれ? 下ろしてくれるんすか?あ、ありがとうございますっす!

輪っかさんやっぱりこの方良い方っすよ!

……? 輪っかさん?


『……あリえねえ……』


なんすか? まだ魔物が魔物助けするのはおかしいっていうんすか? 実際に今起こってるんすから現実を受け入れ――


『ちげえ! そンな話じゃねえンだよ! あリえねえンだ!!』


な、何がっすか?


『全能であルこのオレ様が、こノ世界に存在していルにも関わラず、知識としてすラ知り得ない魔物なンざいルはずがねえ!! 何だこいつハ! 新種だロうが珍種だろうが希少種だロうが、種として存在すルならオレ様が知ラないはずがねえ! 知ラねえとおかしいンだよ!』


お、落ち着くっす輪っかさん!

この大きな方のことを知らないから混乱してるんすか?


つぶらなお目々に、大きなお口。

薄ピンク色の体から生えている短めの手足。

横長のお顔の横から出ている突起。


この、えーと。

大きな……ウーパールーパーさん? っす?

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