溺れたっす
ごぼぼ、ごぼぼばばぶっぶぶっは!! (どうも、クゥトアヌっすぶっは!!)
空飛ぶ船から落っこちて、気を失ってる内に多分海に落ちたんすね。
あの高さから落ちたら下が水でも、地面に落ちたのと変わらない衝撃のはずなんすけどなんか無事っす。
『てメえノ魂の格が上がってなけリゃ完全に死ンでンぞ。つーか今も無事じゃねえかラな? 瀕死だ瀕死オレ様が痛覚遮断してやってルかラ感じないだけで全身ボロボロだぞてメえ』
え!? そんなまずい感じなんすか!? 痛覚遮断とかなんか怖いんすけど!?
『今痛覚戻したラ、ショック死すルかラ黙っとけ』
怖いっす! だからさっきから泳ごうとしても動けなかったんすね。これは危機的状況っすよ!!
奇跡的に息が続いてるっすけど、すぐに体内の酸素が尽きるっす!
そうしたら溺死待ったなしっす! 溺死は嫌っす! 物凄く苦しいらしいっすよ!
どうにか海面に浮上できれば息継ぎもできるんすけど、この身体どんどん下に沈んでいくんすよね。そんなに重いんすか自分?
『石魔猿は地ノ属性を持つ魔物だかラな、水との相性ハ良くねえな』
属性っすか?
『ああ、森羅万象に宿る力ノ源みてえなもンだ。地に生まれ落ちりゃ地の力が強くなル、水に生まレりゃ水の、空に生まれリゃ空のって具合にな。そレぞれが宿す根幹ノ力だ。今のてメえは地の力が強すぎて水ン中じゃ普段よリも力が出せねえンだよ』
なるほどっす……それはわかったんすけど、自分が沈んでいることの解決には一切なってないっすよね?
『今のてメえはクラゲ以下の軟体動物状態だかラな……奇跡が起こルのを待つしかねぇな』
そんな悠長な!? ああ、海面が遠いっす……。
「くぷくぷくぷ?」
「ごぽぽぽぽ」
自分の口から多量の空気が抜けたっす。
まずいっす。かなり沈んだせいか水圧がきつくなってきてる気がするっす! なんだかすごい圧迫感が!
『いや、そレは水圧ノせいじゃ……おい?』
ああ、一度意識したら我慢の限界が……。
「こぱっぼばば」
残った空気も吐き出してしまい、自分の意識はまた途切れてしまったっす……。
『ちょっおい!? なンだてメえ!? やめろ食うなああ畜生!』
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ここは広い。ここは自由。暗くて明るくて暖かくて冷たい。
とてもとても好きな場所。
今日はとても気持ちが良かったから。
ここでお昼寝。
――こわいものがきた。
「ごぽぽぽぽ」
わからない。何かわからないのに。とてもとても怖いもの。
恐くて怖くてこわいもの。
上にいる。まだ遠い。だから大丈夫。
でも近づいてきてる。
逃げないと。
「ごぱっぼばば」
うん。君も一緒に逃げよう。
とてもとても怖いから。目の前にあるものをぱくりと飲み込んで急いで逃げた。
ところで。今飲み込んだのは誰だろう?。




